質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第九三号

「大江・岩波訴訟」の判決に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年四月九日

糸数 慶子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「大江・岩波訴訟」の判決に関する質問主意書

 文部科学省は平成一九年三月三〇日、平成二〇年度から使用される高等学校用日本史の教科書について審査する教科用図書検定調査審議会(以下「審議会」という。)において、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍の関与を削除する修正を行った。文部科学省は、その検定意見に関する質問(平成一九年四月一一日の衆議院文部科学委員会、同四月二四日の衆議院決算行政監視委員会第一分科会、同四月二五日の衆議院教育再生に関する特別委員会での質問)に対し、検定意見を付すに至った理由の一つとして、「平成一七年八月に、従来の通説におきまして集団自決の命令を出したとされてきた元隊長等から訴訟が提起をされたというふうにも承知をいたしております」(以下、この訴訟を「大江・岩波訴訟」という。)との答弁を繰り返した。「大江・岩波訴訟」は、本年三月二八日に大阪地方裁判所で判決(以下「本判決」という。)が出され、「元戦隊長の命令があったとは断定できないが、関与は十分確認できる」とし、集団自決には「旧日本軍が深くかかわった」と認定した。「大江・岩波訴訟」の本判決は、文部科学省の検定意見の根拠を覆すものであり、今後の高等学校用日本史の教科書検定において重大な影響を与え、かつ集団自決で生き残った住民の証言、犠牲者、遺族にとって極めて重い意味を持つものである。
 よって、以下質問する。

一 本判決に対する政府の見解を示されたい。

二 本判決に対する審議会の見解を示されたい。

三 本判決を受け検定意見を撤回するか否か示されたい。

四 本判決は、今後の審議会において審議の事項等、検定に際しての検討事項となるのかどうか明らかにされたい。

  右質問する。