質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第九一号

那覇市の地域再生計画の認定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年四月三日

喜納 昌吉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   那覇市の地域再生計画の認定に関する質問主意書

 沖縄県那覇市は同市新都心地区おもろまちに「公共公益施設用地」として一九八四年から一九九〇年にかけて土地を取得したが、二〇〇六年にその土地の売却を決め、二〇〇七年七月四日に安倍内閣総理大臣から「地域再生計画」の認定を受け、二〇〇八年二月、業者に土地を売却した。その間、業者が住宅用超高層ビルなど大型建築物を建設する計画であるのを察知した住民らは、日照、風害、電波障害、交通渋滞などによる生活環境の著しい劣化によって日常生活が脅かされることになると危惧し、那覇市当局者に対し、融和的解決を目指して積極的な意見陳述を行なおうと努めたが、その意見が大方無視されたり、陳述の機会が与えられなかったりした。那覇市当局の一方的決定や情報隠しなどの実態が目立つ決定過程を検証すると、内閣総理大臣認定にふさわしくないと受け止めざるを得ない。
 そこで、以下質問する。

一 地域再生法第五条六項三号は、地域再生計画が「円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること」と規定しているが、「おもろまち1丁目住環境を考える会」をはじめ地元住民らの反対は根強く、住民訴訟の動きさえ出ている。決して「円滑に実施される」見込みはない。内閣総理大臣は、この点をどう判断するのか、明らかにされたい。

二 地域再生法第十条は、「認定地域再生計画が第五条第六項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる」と規定している。「円滑に実施される」見込みがない以上、認定を取り消す理由はある。内閣総理大臣は速やかに認定を取り消すべきだと思うが、事実関係を検証し取り消すつもりはないか、見解と理由を明らかにされたい。

三 閣議決定に基づいて作成された「地域再生基本方針」の「2 地域再生のために政府が実施すべき施策に関する基本的な方針」「(1)知恵と工夫の競争のサポート・促進」④「地域のつながり再生プログラム」の推進――には、「地域再生を支える力は、〈ひと〉であり、〈ひと〉と〈ひと〉のつながりである」と明記されている。ところが、那覇市当局者および業者と、肝心の地元住民の間には確執がある。明らかに、「基本方針」当該規定に反している。この点からも、内閣総理大臣認定はなされるべきではなかったと言わざるを得ない。政府の判断と理由を明らかにされたい。

四 同「基本方針」「3 地域再生計画の認定に関する基本的な事項」「(1)地域再生計画の認定基準」③には、「ロ 事業の実施スケジュールが明確であること」と謳われている。ところが、那覇市が当該地域再生計画を申請した当時のスケジュールが実行されないのは確実と見られ、また、それに代わる新たなスケジュールも提示されていない。したがって同③の基準を満たしていない。この点を政府はどう判断するか、見解および理由を問う。

五 当該地域再生計画に異議を申し立てている住民らは、問題の那覇市所有地が周辺の用地価格と比較して破格の安値で業者に販売されたことも含め、市民の財産が、地域住民をはじめとする市民の意向を十分に反映させないまま安易に処分されたと受け止めている。政府は、住民らの意見および那覇市の土地処分過程を検証し、内閣総理大臣認定を見直すことが賢明だと考えないか。見解および理由を明らかにされたい。

  右質問する。