質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第八二号

原子炉立地審査指針に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年三月二十七日

近藤 正道   


       参議院議長 江田 五月 殿



   原子炉立地審査指針に関する質問主意書

 原子力発電所の建設に際して、活断層を避けることは当然のことと思われるが、原子炉立地審査指針(以下「指針」という。)には活断層に関する具体的な文言がない。
 例えば、指針の「1 基本的考え方 1・1 原則的立地条件」では、「原子炉は、どこに設置されるにしても、事故を起さないように設計、建設、運転及び保守を行わなければならないことは当然のことであるが、なお万一の事故に備え、公衆の安全を確保するためには、原則的に次のような立地条件が必要である。」として、「(1)大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと。また、災害を拡大するような事象も少ないこと。」と規定されている。
 一方、文部科学省の教育支援事業「あとみん(原子力・エネルギー教育支援情報提供サイト)」にある原子力百科事典ATOMICAには、「原子力発電所は津波に対してどんな対策が取られていますか」(一五-〇二-〇二-一一)において、「原子炉立地審査指針」の解説の中に、「原則的に次のような立地条件が必要である」として、「(1)大きな事故の要因となるような事象、例えば、立地場所で極めて大きな地震、津波、洪水や台風などの自然現象が過去になかったことはもちろん、将来にもあるとは考えられないこと。活断層の真上を避けることは当然のことであるが、設置場所の過去の地震歴、周辺の活断層の分布状況等を十分に調べ、地盤についても十分調整した上で、敷地として適切か否かを評価している。」とある。また、これに関する添付図1「わが国における原子力発電所の地震対策」には、「地震対策の7つのポイント」と題して、一番目に「徹底した地質調査を行い、地震の原因となる活断層の上には作らない」があげられている。
 こうしてみると、事業者は「活断層の上には原子力発電所を作らない」ことが「指針」にあると理解していると解され、当然、それは原子力安全委員会ないしは保安院の指導によると思われる。
 そこで、以下質問する。

一 断層関連褶曲に関する二〇〇〇年の岡村論文を踏まえて、国は二〇〇二年に、日本原燃と日本原子力研究開発機構以外の全ての電力事業者に原発の周辺海域にある活断層の再評価を指示している。断層関連褶曲という知見を踏まえて、改めて活断層の定義を示されたい。

二 「指針」においては具体的に活断層という文言はない。では、国は、「指針」において活断層に関して、いかように扱ってきたか。活断層に関する規定があるなら、その内容及び文書の情報(表題、年月日、主体)を示されたい。

三 前記二に関して、活断層に関する規定があるなら、その内容は電力事業者にいつ、どのように周知されたのか。

四 「活断層の上」に原発を建てることは「指針」に違反するか。

五 「活断層の上」とはいかなることか具体的に示されたい。

六 設置許可申請時に活断層の存在が不明で、従って「活断層の上」には原子力発電所が建っていなかったが、その後、新たに判明して「活断層の上」に立地している状況になった場合、「指針」に違反するか。違反する場合、いかなる措置がとられるのか。

  右質問する。