質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第七一号

電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の運用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年三月十四日

友近 聡朗   


       参議院議長 江田 五月 殿



   電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の運用に関する質問主意書

 二〇〇三年に全面施行された電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(以下「RPS法」という。)は、新エネルギー等のさらなる普及のため、電気事業者に対して、一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務付けることにより、新エネルギー等の利用を推進していくことを目標としている。
 経済産業大臣が定める新エネルギー等電気の利用目標については、同法の規定に基づき、二〇〇七年三月に改定され、新たに二〇一四年度までの目標が追加されたが、二〇〇七年度から二〇一〇年度までの各年度の目標量は改定前の目標量と同じであり、今回の改定は、二〇一一年度以降四年度分を新たに定めたものである。しかも、二〇一四年度の利用目標量自体が、百六十億キロワット時、総発電量の約一・六パーセントとかなり低い水準にとどまっている。
 一方、調整後基準利用量(義務量)を上回る量が供給されれば、翌年度へと繰り越すことのできるバンキング制度があるが、二〇〇六年度には、全ての義務対象事業者が義務を履行しており、二〇〇七年度はバンキング量で義務量の約九割を賄うことができるまでに至った。
 RPS法では、電気事業者が新エネルギー電気発電事業者より新エネルギー電気を購入する枠組みが用意されている。しかし二〇〇六年度、九州電力には「風力発電系統連系受け付け」の申し込みが八十五件あったものの採択件数が非常に少ないなど、新事業者の風力発電の導入が困難になっている。この状況は、風力発電に限ったものではない。
 よって、以下質問する。

一 二〇〇七年の制度見直しにより、二〇一四年度までの新たな利用目標量が定められ、二〇一〇年度までの義務量が引き上げられた。しかしながら、二〇一〇年度までの利用目標量はRPS法施行時のまま見直されていない。これまでの義務量の履行状況を踏まえれば、全体をもっと意欲的な数値に引き上げても良かったのではないか。なぜ、二〇一〇年度目標の修正を行わないのか、政府の見解を示されたい。

二 ドイツでは総発電量に対し二〇一〇年までに十二・五パーセント、二〇二〇年までに二十パーセントを再生可能エネルギーで賄うとしている(水力含む)。それに対し、単純に比較はできないものの約一・六パーセントという日本の目標量は低いと考えられる。この目標量の数値的な根拠を具体的に示されたい。

三 将来において、科学技術のさらなる発展が予測され、新エネルギー分野においても進歩が可能であると予測される。しかしながら、二〇一〇年度から二〇一四年度までの年度毎目標量の増大ペースは、従来のペースに比べペースダウンである。新エネルギーをさらに普及させるには、将来の増大ペースを上げるべきだと考えるが、なぜペースを下げたのか、政府の見解を示されたい。

四 二〇〇七年度は前年度からのバンキング量で義務量の約九割を賄うことが出来ることから、改定されたとはいえ毎年の義務量が低いと考える。そこで義務量算出の数値的な根拠を具体的に示されたい。

五 新エネルギー等発電事業者の新発電設備導入に対する補助を拡大するなど促進効果のある政策を実施する必要があると考えるが、この点について政府はどのように考え、今後どのような方策を講ずるのか具体的に示されたい。

六 一九九七年に新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法が制定された。RPS法はこの法律で推進する、新エネルギーの種類の一部を電気の供給に限って電力会社に義務化したものといえる。電力会社以外に対しては新エネルギー推進を義務化しないのはなぜか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。