質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第六二号

ジェネリック医薬品の普及と慢性疾患予防に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年三月四日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   ジェネリック医薬品の普及と慢性疾患予防に関する質問主意書

 医薬品には新薬と後発医薬品(ジェネリック医薬品)があるが日本ではほとんどが新薬であり、ジェネリック医薬品があまり流通していないのが現状である。
 アメリカでは二〇〇二年のジェネリック医薬品のシェアは約五一パーセントであり、価格は新薬の約八パーセント以下である。これに対し、日本ではジェネリック医薬品のシェアは約一六パーセントであり、価格は新薬の七〇パーセントとされている。
 アメリカでの普及の拡大の背景にあるのは、薬局は指定がなければブランド医薬品の代わりにジェネリック医薬品を処方することが可能とする医薬品代替投与法(Substitution Low)の施行である。これにより、医療費支出抑制のためにジェネリック医薬品を推奨したのである。このため、ジェネリック医薬品のシェアは一九八四年には一九パーセントに過ぎなかったが、先に述べたように二〇〇二年には五一パーセントまで上昇したのである。
 日本においては、平成一七年の調査で、生活習慣病の患者数は、約一四〇〇万人となっている。そして、治療費は平成一六年の調査において約七兆八八六九億円という結果となっている。これは、一般診療費の三二パーセントになり、国民一人当たり約六万一七二八円に値する。二〇〇七年のミルケン・インスティテュート(独立系のシンクタンクmilken経済研究所)の調査によると、アメリカでは慢性疾患による生産性の低下の損失が一兆ドル以上と言われている。しかし、慢性疾患の予防や管理において適切な改善が為された場合、その費用が二〇二三年時点で約一兆一〇〇〇億ドル削減出来るとされている。また、肥満率を低下させるだけで約二五四〇億ドルの生産性を獲得でき、そのうち、治療費に一年あたり約六〇〇億ドルを充てられる、とある。
 そこで、以下質問する。

一 日本では近年の高額な医療費を抑える為には、このようにジェネリック医薬品を積極的に推奨していくべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 先に述べたようにアメリカでは様々な改革によりジェネリック医薬品の普及が進み、その分の医療費を他に充てることが可能になっているが、今後、日本はジェネリック医薬品を推奨するために何らかの施策を講じるのか、政府の見解を示されたい。

三 平成二〇年度厚生労働省の予算にある「後発医薬品の促進」として二億四〇〇〇万円が計上されているが、促進の方策を具体的に示されたい。また、二億四〇〇〇万円で促進費用は充分だと考えているのか、政府の見解を示されたい。

四 政府におけるこれまでの慢性疾患への取り組みとして、具体的にどのような対策をしてどのような結果が出たのか、具体的に示されたい。

五 アメリカは発症者の家系を調べ、遺伝的素質を明らかにすることで予防や対策を講じるということが行われているが、日本では早期発見、早期治療として、このような遺伝的素質を明らかにするような試みは行われているのか。行われていないのであれば、今後これらのことを行っていく予定はあるのか、政府の考えを示されたい。

六 平成一七年に廃止された「健康づくりのための運動指導者が修得した知識・技能の水準についての審査及び証明」について、廃止理由が「民間において実施されている各種技能審査等の間における差別化を必要以上に助長する」とある。また、「これを国が実施するには相当程度の負担が伴い、行政の効率化に反する」ともあるが、実際どのようなことが行われたのか、明らかにされたい。また、この施策による成果を具体的に示されたい。

  右質問する。