質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第六〇号

特例子会社等による障害者雇用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年三月三日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 江田 五月 殿



   特例子会社等による障害者雇用に関する質問主意書

 障害者雇用に関しては、特例子会社の設立により新たな雇用の場をつくり出す対策が昭和六十三年から施行されているが、平成十九年四月現在、特例子会社は全国で二百十三社、障害者の雇用数は約五千七百人にとどまっている。
 そこで、政府の障害者雇用対策に関して質問する。

一 安定した職に就くことを希望している障害者に対して、政府はどのような取組をしているのか。身体障害者、知的障害者、精神障害者、それぞれについて現在の就業率、取組内容と今後の政府の方針を具体的に示されたい。

二 「障害者雇用状況報告(平成十九年六月一日現在)」によると、民間企業の障害者雇用にかかる実雇用率は一・五五パーセントと、一・八パーセントの法定雇用率を下回るものであり、更なる政府の支援策が必要であると考えるが、この点の認識はいかがか。先進主要国の障害者雇用率などの実態も考慮して、示されたい。

三 第一六九回国会において内閣から提出が予定されている障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案では、中小企業が事業協同組合等を活用することが検討されている。事業協同組合等が、共同事業として障害者を雇用した場合に、当該組合等と組合員企業とをまとめて雇用率を算定できるものと認識しているが、これにより政府はどのような職種で障害者の雇用創出に繋がると考えているか。また、雇用創出の見通しとして、新制度運用後の障害者雇用が現状に比べてどの程度増加すると考えているのか具体的な数値を示されたい。

四 今般の法改正では、中小企業が障害者雇用促進のために事業協同組合等を活用することができるとしている。ならば、地方自治体が、その信用力をいかして事業協同組合設立時に補助金を拠出することや、同じく事業協同組合設立時の重荷となる事務局への人的資源の提供等、持続可能で安定的な組織構築の手助けをしていく方法も一考に値する。中小企業が設立する事業協同組合への地方自治体のこうした支援のあり方について、政府の見解を示されたい。

五 今般の法改正によって、従来、障害者雇用納付金制度の適用が免除されていた中小企業にも同制度の適用が拡大されることになる。
 この結果、民間企業に雇用される障害者が増加するものと考えられるが、一方では高齢・障害者雇用支援機構から雇用率を達成した事業主等に支払われる調整金・報奨金が増加することにもなる。また、法定雇用率を下回っている企業からの納付金も減る傾向にあり、高齢・障害者雇用支援機構の財政が逼迫することになり、最終的には政府から同機構に対する運営費交付金等を増やさなければならない事態となる可能性がある。
 政府は新制度運用後の納付金の規模及び調整金・報奨金それぞれの規模について試算するに当たっては、制度の適用拡大に伴う影響を考慮に入れているのか、また政府による高齢・障害者雇用支援機構への財政支援の規模は増加するものと考えているのか明らかにされたい。

  右質問する。