質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第五二号

ビルマ(ミャンマー)軍政の新憲法承認手続き及び総選挙実施計画に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月二十五日

近藤 正道   


       参議院議長 江田 五月 殿



   ビルマ(ミャンマー)軍政の新憲法承認手続き及び総選挙実施計画に関する質問主意書

 本年二月九日、ビルマ(ミャンマー)軍事政権は、五月に新憲法の是非を問う国民投票を実施し、二〇一〇年に総選挙を実施すると発表した。
 軍事政権の発表を受け、日本政府は二月十日に、「これまでの憲法制定過程において、アウンサンスーチー氏その他の参加が実現していない。すべての関係者を含めた実質的な対話が行われることがミャンマーの国家和解にとって重要だと考える」という声明を発表した。
 そこで、以下質問する。

一 声明にもある通り、アウンサンスーチー氏ほか民主化勢力の参加がなかったまま、約二か月後という早い時期に国民投票が行われる予定になっている。日本が重要だと考える「すべての関係者を含めた実質的な対話」が行われるようにするため、日本政府はどのような働きかけを行っているか、詳細に示されたい。

二 新憲法の是非を問うものとして行われることになっている国民投票についても、公正な手続きが踏まれ、国民が投票を通じて自由に意思表示できるのかは確かではない。報道によれば、軍政の大衆動員団体である連邦連帯発展協会(USDA)が国民投票および総選挙の運営、監督を行う予定である。USDAの活動や問題点については数年前から米国国務省や国際人権団体などの報告書が詳述しているが、特に二〇〇三年のスーチー氏襲撃事件への関与が指摘されているほか、二〇〇七年の抗議行動に際しても、会員がデモ参加者を殴打、逮捕している。USDAが国民投票の手続きを指導・監督することで、「承認」の投票をするよう有権者に有形無形の圧力が加えられたり、国民民主連盟(NLD)系の候補者の選挙活動への妨害など、様々な制限や介入が入ることが容易に想像できる。また、開票の際にも不正がなされる可能性がある。
 ビルマ軍事政権が発表通り国民投票を実施する場合、投開票時の不正を防ぐためには独立した選挙監視団が入ることが必要だと思われる。国民投票の公正な実施を支援するため、日本から、あるいは日本も参加した形での国際的な選挙監視団の派遣を検討する予定はあるか。

三 公正な手続きが踏まれず、国民が自由に意思表示ができないまま軍政起案の憲法が制定された場合、日本政府はその新憲法およびそれに基づく政府や諸機関をどう位置づける予定か。

  右質問する。