質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第四九号

教育および福祉分野における民間企業への公的支援の考え方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月二十一日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   教育および福祉分野における民間企業への公的支援の考え方に関する質問主意書

 税金使用の無駄をなくし、より効率化を図り、サービスの質を向上するためには、公共サービス分野においても、民間企業を含めたサービス主体の自主的な努力を引き出すことが必要だと考えるが、教育・福祉分野においては、憲法第八十九条「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」の解釈により株式会社等民間企業に対する公的助成は認められていない。このため、公的サービスと民間のサービスの競争条件が公正になっていない。
 例えば教育分野では、文部科学省所管の「学校教育法」の規制に服する法人であっても、学校法人ではなく、株式会社が経営する学校は、「公の支配」に属さないとして、私学助成を受けられないというようになっている。
 そこで、以下質問する。

一 憲法第八十九条について、政府の解釈を明らかにされたい。

二 教育機関の経営主体の違いのみによって競争条件に差異が生じているのは問題ではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 教育分野における学校法人と民間法人の事業環境の公正を図るため、「憲法第八十九条」の解釈について、憲法第二十六条「教育を受ける権利と受けさせる義務」との関連も含め、更なる検討を行うべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 日本私立学校振興・共済事業団が、全国の大学・短大法人六百六十五のうち九十八を「経営困難状態」(イエローゾーン)にあり、さらにそのうち十五を「いつつぶれてもおかしくない」レベルと判定している。社会の公器である学校法人は個々の大学・短大だけでなく、それらを経営する主体として自らの財務情報などを株式会社と同等に公開すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 教育分野においては、学校法人等を基本とした機関補助が行われているが、特定の機関に限定した補助方式では、利用者のニーズに応じた補助は行いにくく、また、補助を受ける機関は補助交付先のニーズに対応し、利用者つまり学生のニーズへの対応や運営効率化がおろそかになる可能性があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

六 教育分野の補助機能は、機関補助から利用者補助(バウチャー制度)への転換を図るべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。