質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第四三号

日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(案)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月二十日

谷 博之   


       参議院議長 江田 五月 殿



   日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(案)に関する質問主意書

 今般、厚生労働省は、日雇派遣労働が社会問題化し、労働者派遣法を改正して日雇派遣そのものを禁止すべきとの声も高まる中、労働者派遣法の改正には手をつけずに、日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(案)(以下、「指針案」という。)を公表し、現在パブリックコメントにかけている。
 そこで以下、質問する。

一 派遣労働者の権利保護に関し、派遣先も派遣元と共同で一定の責任を負うべきと考える。その点、指針案では派遣先の講ずべき措置が定められているが、実態として派遣先責任者や指揮命令者がこれらを十分に理解するためには、派遣元責任者に準じた実務経験と資格取得を義務づけるべきではないか。

二 派遣先と派遣元の間には、そもそも発注者と受注者という関係上、派遣先(発注者)の優位性が成立しており、派遣先に対する行政処分は、「勧告」・「公表」にとどまっている。一方、派遣労働者を巡る問題のかなりの部分は、就業場所である派遣先で発生し、派遣先に起因している。そのような現状を鑑み、派遣先・派遣元双方に対し、平等かつ公正な責任を持たせることが、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等の実行には不可欠ではないか。

三 また、派遣先としての社会的責任の自覚と実践を確保するために、派遣先に対する行政指導の強化と科罰の強化について早急な検討が必要ではないか。

四 労働者派遣事業適正運営協力員制度は、労働者派遣事業の適正な運営及び適正な派遣就業の確保に関する施策を補うために不可欠であると考えるが、形骸化しているのではないかとの意見がある。そこで労働者派遣事業適正運営協力員の活動状況について、年度毎の相談件数を都道府県単位で明らかにされたい。

五 労働者派遣事業適正運営協力員について、ハローワークでの名簿閲覧や労働局ホームページでの名簿掲載だけではなく、個々の派遣労働者がアクセスしやすいよう、例えば携帯電話からでもその存在や活動状況、連絡先がわかるようにするべきではないか。

六 労働者派遣事業適正運営協力員制度を活性化するために、協力員に対して政府は一層の支援を行うべきと考えるが、このことについて協力員から意見を聴取するべきではないか。

七 偽装請負が横行跋扈する実態に対し、請負事業についても資格や官公庁の許認可・罰則規定などを定める民法の特別法としての請負法制の整備が必要なのではないか。

  右質問する。