質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第三八号

捕鯨問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月十八日

喜納 昌吉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   捕鯨問題に関する質問主意書

 今夏の洞爺湖G8サミットでは、国際的な諸問題や環境問題に対する日本のリーダーシップが試される。政府が財団法人日本鯨類研究所に委託し南極海で行っている「調査捕鯨」に対し、国際社会からの批判が相次いでいることは、サミット開催国として極めて憂慮すべきだと考える。
 そこで、政府の捕鯨政策に関して以下質問する。

一 最近、国際法学者のピーター・サンド教授は、「日本の水産庁が北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNⅡ)で許可しているザトウクジラとイワシクジラの捕殺は、日本も批准している、商業目的での保護動物の移動を禁じるワシントン条約に違反しているのではないか」という主旨の指摘をしている。この件に関する政府の見解を理由と共に明らかにされたい。

二 一九九七年のいわゆる「アイルランド提案」のように、沿岸での捕鯨を認め、サンクチュアリである南極海での捕鯨を禁止する案が、捕鯨、反捕鯨国の間での合意点として望ましいのではないかとの意見があるが、政府の見解を理由と共に明らかにされたい。

三 現在、南極海で行われている「調査捕鯨」でパナマ船籍の船オリエンタルブルーバードが日新丸への燃料補給と、捕殺した鯨肉の日本への輸送を行っている。明らかに捕鯨団の業務の一部を担っていると考えられるが、パナマ政府は了解しているのか。また同パナマ船籍船の参加の法的根拠を示されたい。

四 日新丸の耐用年数は何年までか。報道によると日新丸の後継船として、またより大型の鯨の捕殺のために新たな捕鯨母船を確保する計画があるというが、事実か。事実の場合は、詳細を明らかにされたい。

五 また、新たな捕鯨母船の確保のために水産庁、又は財団法人海外漁業協力財団などから資金、補助金を交付する考えはあるか。

六 報道によると、最近来日した国連環境計画(UNEP)の「移動性野生動物の種の保全に関する条約」(CMS)事務局長、ロバート・ヘップワース氏は、日本が同条約を批准するよう求めたという。日本が批准しない理由を明らかにされたい。

七 捕鯨への影響を懸念する水産庁が反対しているため批准がなされていないという見方があるが、それは事実か。そのような事実が無い場合は、水産庁は「移動性野生動物の種の保全に関する条約」の批准に賛成とする立場であると理解してよいか。

八 洞爺湖サミットの開催国としてまた議長国として環境問題に対するリーダーシップを発揮する事は、国際社会における日本の存在感を示すことになる。そのようなときに捕鯨問題で国際的顰蹙を買うことは、日本の外交にとって極めて不利益になると考えられるが、政府の見解を示されたい。

九 水産庁から、「調査捕鯨」の委託先の財団法人日本鯨類研究所に天下りしている者はいるか。いる場合は氏名と役職、人数を過去にさかのぼって明らかにされたい。

  右質問する。