質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第三二号

裁判員制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月十四日

水戸 将史   


       参議院議長 江田 五月 殿



   裁判員制度に関する質問主意書

 裁判員制度があと一年余でスタートする。しかし、未だに国民はこの制度について十分認識しているとは言えないというのが実態である。「開かれた司法」を目指すものとして、本制度が創設されたにもかかわらず、いまだに多くの問題点も指摘されている。
 そこで以下の通り、質問する。

一 裁判員の選任に当たって、裁判長は、不公平な裁判をする恐れがないかどうかの判断をするため必要な質問をすることができるとされているが、どこまで立ち入って行われるのか。どういう場合に不選任となるのか、政府の見解を示されたい。

二 裁判員の拘束期間は標準的なケースで四日間とされているが、裁判の難易度によって拘束期間も異なってくる。最高裁が発表している数字によれば否認事件の平均公判日数は九・四回である。反面、裁判員への負担を軽減させようと期間を短くすると適正な判断ができなくなる恐れがあり、ひいては被告人の人権を軽視することにもなりかねない。この調整をどのようにする考えなのか、政府の見解を示されたい。

三 裁判員のための特別有給休暇制度を採用している企業は少ない。多くの場合、有給休暇を取るか無給で参加するしかない。特別有給休暇制度の普及をどのように進めるのか、政府の見解を示されたい。

四 裁判員は拘束される期間一日につき一万円が支給されるが、拘束された結果、本来の業務に重大なる支障を来した場合、その補償はなされるのか、政府の見解を示されたい。

五 重要な役割を担う従業員が裁判員に選任された結果、業務の停滞等の不利益を被った場合、その補償はなされるのか、政府の見解を示されたい。

六 裁判員に課せられた守秘義務はきわめて重い。その精神的な負担を軽減するため秘密の漏示に「正当な事由なく」等の縛りを設ける必要があるのではないか。また、精神的な負担をケアするための制度を国として設ける必要があるのではないか、政府の見解を示されたい。

七 裁判員の十分な議論を担保するため取り調べの録音・録画の活用を検討すべきではないか。また、意志の疎通を図るため六人の裁判員を今後縮小する考えはないか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。