質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇号

道路建設計画と高規格道路および暫定工事の問題事例に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月十三日

又市 征治   


       参議院議長 江田 五月 殿



   道路建設計画と高規格道路および暫定工事の問題事例に関する質問主意書

 本年三月の、道路特定財源の暫定税率期間の法定期限切れを期にわが党などが、暫定部分を廃止し減税および環境税への転換に充てること、および道路特定財源の制度を廃止し一般財源に移行して、交通弱者への配慮・過疎地等の公共交通手段の整備および自動車公害・交通事故抑制等に充てることを主張していることは周知のとおりである。暫定税率が最大三十四年も続いていることも問題だが、社会環境の変化に対応せず、毎年五兆円規模(本則分含む)の使途を道路に特定し、毎年一兆円規模で生ずる余剰財源を含めて既得権化しているしくみを改めるべき潮時である。
 しかし政府は、あらたに「道路の中期計画」により五十九兆円を要するという道路建設固執の意向を示している。その一翼をなす論法が、飽和状態となった道路需要を人為的に高度化する「高規格道路」論である。もとより山間の積雪地や多雨量の河川沿線等において、自然災害等による交通遮断に耐える道路の整備は望まれるところであるが、「高規格道路」論がその声を利用して不要不急の道路建設に多額の地方負担を強要するしくみと化してはならない。
 以上の観点から、以下富山県内に例をとって質問する。

一 高規格道路として建設することの意味について

 国土交通省が定めた富山高山連絡道路(計画)は、延長八十キロメートルの「地域高規格道路」とされる。
1 この区間を高規格道路として建設する必要性とされるもののうち、自然災害による交通規制の弊害とは、どのような規模・頻度のものか。
2 「連続雨量百二十ミリで通行規制となるため二車線のバイパスが必要」というのが高規格道路建設の必要の根拠だというが、一九七九(昭和五十四)年から二〇〇六(平成十八)年までの二十八年間に通行規制がかかったのは二十六回、年平均で〇・九回にすぎない実情をどう理解しているか。

二 全線開通の時期と効果について

1 経済社会的にみた場合、この道路(計画)の効果は、両端の富山と高山の都市を直結することにあるとされているようだが、その効果はいつ、どのように計測したもので、競合する交通計画(北陸新幹線、東海北陸自動車道等)のその後の進展による需要の下方修正はなされているのか。
2 また、現在のところ計画は小糸までの富山県境以北のみであり、小糸以南の岐阜県部分は白紙である。全線の開通により右の効果が発揮されるのは、いつ頃を想定しているか。

三 現在の工事が無駄になる可能性について

 現在、工事は庵谷(いおりだに)と楡原(にれはら)の間三・〇キロで、(仮称)庵谷橋の新設を含めて進められている。しかしこの区間の最終計画では、布尻と片掛の間を、現工事より東寄りに二つの新しい橋と道路で結ぶものとされる。
1 この計画が事実とすれば、現在建設が進められている(仮称)庵谷橋はルートからはずれ、数十億円を投下した同橋はムダとなるのではないか。
2 またそうではなく庵谷トンネルの現道を使うのなら、ここは通行規制区間であり、高規格道路となりえないのではないか。
 この疑問について富山県は、議会において「国が決めること」と述べて責任を回避しているので、国の見解を説明されたい。

四 県負担金の額および、国直轄事業地方負担金の廃止について

 この計画は国の直轄事業とされており、今のところ総事業費は二百六十億円、富山県の負担は八十億円と予想する、と県は答弁している。国直轄事業は全国で年額一兆一千億円、うち道路は六千億円に上るが、この制度そのものが国道の建設費を、国の決定により自治体に負担させるという、分権自治に反したしくみである。
 私は制度の廃止を二〇〇三年以来数度にわたって主張してきたが、地方六団体の毎年の主張、また今般の特定財源改革論においてもその廃止が提案されている。
1 本件につき富山県は、県の負担が八十億円を超えることはない旨、期待を表明しているが、今後、事業費または県負担が増嵩することはないか。
2 また、原則論からいえば国直轄事業にかかる地方負担金制度は廃止し、道路計画のより多くの部分を、自治体の主体的な判断により策定・実施するよう、分権化をすすめるべきと考えるがいかがか。

  右質問する。