質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一○一号

内閣参質一六八第一○一号
  平成十九年十二月二十八日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 町村 信孝   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出タクシー運賃改定実施の影響の把握と対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出タクシー運賃改定実施の影響の把握と対応に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 国土交通大臣が道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第九条の三第一項によりタクシー運賃の認可を行う際には、同条第二項に規定する「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであること」等の基準に基づき審査を行っているところであるが、当該「適正な原価」の中にはタクシー運転者の適正な人件費も含まれている。全国各地域における平成十八年六月からの運賃改定の認可の申請(以下「今般の運賃改定申請」という。)については、タクシー運転者の労働条件の改善が改定の主な理由であることを踏まえ、実績における運送収入に対するタクシー運転者の人件費の割合を維持した上で健全な経営が成立する水準の運賃であるかどうかという観点等から審査を行っている。
 一方、タクシー運転者の労働条件の改善については、基本的には労使間の協議などを経て、個々のタクシー事業者の判断と責任においてなされるべきものであるが、今般の運賃改定申請については、その主な目的がタクシー運転者の労働条件の改善であることから、国土交通省として、運賃改定に対する利用者の理解を促すためにも、タクシー事業者団体に対して労働条件の改善等の実績の自主的な公表を指導するとともに、タクシー事業者団体における公表の結果が、今般の運賃改定申請の趣旨を逸脱すると認められるときには、国土交通省としてその事実関係を公表し、必要な指導等を実施することとしているものである。

五について

 御指摘のとおり、タクシー事業の原価に占める燃料費の割合は、例えば、平成十九年十二月三日から実施された東京地区の運賃改定についての審査の際に、抽出した標準的と考えられる事業者の費用を集計したところ、約五パーセントであり、原価の一割以下であるが、燃料費も原価の構成要素の一つである以上は、その高騰が運賃改定の理由の一つとなることは十分にあり得るものと考える。
 また、燃料費の高騰を理由として運賃を値上げするか否かは、基本的にはタクシー事業者の自主的な経営判断にゆだねられている。

六について

 運賃メーターはタクシー事業の運営上必要不可欠な設備であり、その交換に係る費用については、タクシー事業者が負担すべきものと考える。

七について

 タクシー運賃改定の認可の申請は、タクシー事業者の自主的な経営判断に基づくものであり、タクシー事業者から運賃改定の申請がなされた場合には、国土交通大臣は、道路運送法第九条の三第二項に規定する「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであること」等の基準に基づきこれを審査することとなっており、具体的な審査の細目については通達で定めている。審査の結果、これらの基準に合致する場合には、改定を認めることとなる。

八について

 御指摘のような需要及び供給と価格との相関関係等を踏まえ、道路運送法に基づく運賃認可基準に合致することを前提として、どのような運賃を設定するかについては、タクシー事業者の自主的な経営判断にゆだねられている。また、一定の営業区域において旅客が一定の場合には、タクシー車両数の減少によってタクシー一台当たりの運送収入が増えると考えられるが、車両数の増減は、こうした点等を踏まえつつ、基本的にタクシー事業者の自主的な経営判断に基づきなされるものである。