質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九〇号

内閣参質一六八第九〇号
  平成十九年十二月二十五日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川田龍平君提出仙台市地下鉄東西線の建設への補助金支出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出仙台市地下鉄東西線の建設への補助金支出に関する質問に対する答弁書

一について

 第四回仙台都市圏パーソントリップ調査(以下「第四回調査」という。)については、国土交通省も調査主体である仙台都市圏総合都市交通協議会の構成員であり、その内容については把握している。

二について

 平成十五年九月に国土交通大臣が、仙台市地下鉄東西線(以下「東西線」という。)について、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第三条第一項の規定に基づく鉄道事業の許可をした際の前提となっている需要予測の数値については、仙台都市圏の交通施設整備の方針について検討することを目的として、将来想定される現実的な条件を設定して東西線を含む個別路線の旅客需要の予測等を行った第三回仙台都市圏パーソントリップ調査の結果をもとに作成されたものであり、信頼に足るものであると考えている。これに対し、第四回調査は、仙台都市圏の将来像の検討を行うために、交通機関等について、実現可能性等を考慮せずにいくつかの仮定の条件を設定して都市圏全体の交通手段ごとの輸送需要を推計し、都市圏全体の交通の利便性や環境負荷等について実験的な比較を行ったものであり、この結果に基づいて東西線の需要予測を行うことは適切ではない。

三について

 二についてで述べたとおり、第四回調査に基づいて東西線の需要予測を行うことは適切ではなく、その需要予測をもとに東西線の事業に関する費用便益比の算定を行うことは適切でないと考えている。また、平成十五年九月に国土交通大臣が東西線の鉄道事業の許可をした際の前提となっている需要予測の数値については、現時点においても予測の前提条件である社会経済情勢に大きな変化が生じていないことから、これに基づいて算出された費用便益比一・六二を前提として、当該事業に補助金を支出することは妥当であると考えている。

四及び五について

 公共事業については、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)等に基づき、事前評価や事後評価を行っているところである。
 例えば、国土交通省では、新規事業採択時評価、事業採択後に実施する再評価及び事業完了後の事後評価を実施しており、評価に当たっては、費用便益分析とともに、貨幣換算することが困難な効果等についての評価も含め総合的に行っている。再評価については、事業採択後五年が経過した時点で未着工の事業、事業採択後十年が経過した時点で継続中の事業等について実施しており、原則として費用便益分析を行い、事業の投資効率性を評価することとしている。
 新規事業採択時評価において費用便益比が一・〇以上を満たしながら、事業採択後に実施した再評価において費用便益比が一・〇を下回った事業は、国土交通省において事業評価制度を導入した平成十年度から平成十八年度までに一事業あり、これについては中止している。なお、事業評価制度の導入前に採択された事業で、事業採択後に実施した再評価において費用便益比が一・〇を下回った二十五事業はいずれも中止している。

六について

 平成十五年九月に国土交通大臣が東西線の鉄道事業の許可をした際の前提となっている需要予測の数値については、現時点においても予測の前提条件である社会経済情勢に大きな変化が生じていないことから、見直しを行う必要性はないものと考えている。