質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七五号

内閣参質一六八第七五号
  平成十九年十二月十四日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員尾立源幸君提出「道路の中期計画(素案)」とその積算根拠に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員尾立源幸君提出「道路の中期計画(素案)」とその積算根拠に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十九年十一月十三日に国土交通省が発表した「道路の中期計画(素案)」(以下「素案」という。)で示した事業量のうち、「国際競争力の確保」として計上した二十四兆円については、「基幹ネットワークの整備」として二十四兆円を計上したものである。「地域の自立と活力の強化」として計上した三十三兆円については、「生活幹線道路ネットワークの形成」として七兆円を、「慢性的な渋滞への対策」として二十六兆円をそれぞれ計上し、これらを合算したものである。「安全・安心の確保」として計上した十九兆円については、「防災・減災対策」として五兆円を、「交通安全の向上」として七兆円を、「安全・安心で計画的な道路管理」として七兆円をそれぞれ計上し、これらを合算したものである。「環境の保全と豊かな生活環境の創造」として計上した三十一兆円については、「地球温暖化対策」として二十六兆円を、「道路環境対策」として二兆円を、「生活環境の向上」として三兆円をそれぞれ計上し、これらを合算したものである。

二について

 素案は、「道路特定財源の見直しに関する具体策」(平成十八年十二月八日閣議決定)に基づき、真に必要な道路整備を計画的に進めるため、今後の具体的な道路整備の姿を示すものとして必要な事業量を明示したものであり、素案の中で事業量の積算根拠を示す必要はないものと考えている。なお、事業量の積算根拠については、一般の方への説明の際や一般の方から問い合わせを受けた際には示している。

三について

 素案に示した事業量を算出するに当たって、「県庁所在地など主要都市間で、規格の高い道路で連絡されていない区間」及び「大都市の環状道路のうち、未だ整備がなされていない区間」等の基幹ネットワークの整備に係る事業量については、「道路の中期計画」が始まる直前の平成十九年度におけるこれらの区間等の整備についての予算である二兆三千三百億円を計画期間である十年間における毎年の事業量と想定し、十年間で合計二十三兆三千億円を計上している。
 「物流活動などの中核となる拠点的な空港・港湾へのアクセスが不十分な区間」及び「既に供用している国際物流基幹ネットワークにおいて、国際標準コンテナ車の通行の支障となる区間」の基幹ネットワークの整備に係る事業量については、これらの区間における対策を講じる箇所ごとの十年間の事業量を勘案し、合計一兆三千億円を計上している。
 「県庁所在地など主要都市間で、規格の高い道路で連絡されていない区間」、「大都市の環状道路のうち、未だ整備がなされていない区間」及び「物流活動などの中核となる拠点的な空港・港湾へのアクセスが不十分な区間」等の基幹ネットワークについては、素案において計画期間である十年間で整備する個別具体の道路を位置付けていないことから、これらの区間の延長をお答えすることはできない。また、「既に供用している国際物流基幹ネットワークにおいて、国際標準コンテナ車の通行の支障となる区間」の延長は約四百五十キロメートルである。

四について

 素案に示した事業量を算出するに当たって、「生活幹線道路の移動支障区間(約五千区間、約一万三千キロメートル)」の対策に係る事業量については、これら約五千区間のうち、地方自治体が国の負担又は補助を受けないで実施する事業(以下「地方単独事業」という。)として対策を講じる区間を除いた約二千三百区間について、一区間当たりの対策に要すると見込まれる費用を三十三億円と想定し、これらの積である約七兆六千億円から、平成十九年度末までに整備される予定の事業量を除いた額である七兆円を計上している。
 「全国の信号交差点等の箇所(約十九万箇所)」のうち「日常的に混雑が発生している箇所(約九千箇所)」の中で「特に事業効果が高い三分の一程度の箇所(約三千箇所)」の渋滞対策に係る事業量については、これら約三千箇所について、一箇所当たりの対策に要すると見込まれる費用を七十二億円と想定し、合計で二十一兆六千億円を計上している。
 「開かずの踏切(約六百箇所)と交通が集中する踏切(約八百箇所)の約千四百箇所」の渋滞対策に係る事業量については、これら約千四百箇所について、一箇所当たりの対策に要すると見込まれる費用を二十九億円と想定し、合計で四兆千億円を計上している。

五について

 素案に示した事業量を算出するに当たって、「落橋・倒壊のおそれのある橋梁(約二千橋)に加え、特に広域応援部隊等の移動のための県庁所在地間を結ぶ道路に存在する橋梁(約八千橋)」の耐震対策に係る事業量については、これらを合計した約一万橋について、一橋当たりの対策に要すると見込まれる費用を一億五千万円と想定し、合計で一兆五千億円を計上している。
 「落石や土砂崩れ、地すべり、雪崩等のおそれのある区間(約一万七千区間、約五万キロメートル)」のうち「公共施設や病院などを相互に結ぶ生活幹線道路で通行止めにより生活に大きな影響を与える区間(約六千区間、約一万八千キロメートル)」の防災・防雪対策に係る事業量については、これら約六千区間について、一区間当たりの対策に要すると見込まれる費用を二億七千万円と想定し、合計で一兆六千億円を計上している。
 「防災上の懸念がある市街地(約千五百平方キロメートル)」のうち「大規模な延焼の可能性があり、特に防災上危険な地区(約百五十平方キロメートル)」の防災対策に係る事業量については、これら約百五十平方キロメートルについて、一平方キロメートル当たりの対策に要すると見込まれる費用を百五十億円と想定し、これらの積である約二兆三千億円から、平成十九年度末までに整備される予定の事業量を除いた額である一兆九千億円を計上している。
 「全国の国道・都道府県道等(約七十一万区間)」のうち「事故の発生割合の高い区間(約十五万区間)」の中で「特に効果の高い四分の一程度の区間(約四万区間)」の交通事故対策に係る事業量については、これら約四万区間について、一区間当たりの対策に要すると見込まれる費用を一億四千万円と想定し、合計で五兆六千億円を計上している。
 「全国の通学路(約十九万キロメートル)」のうち「多くの児童が利用するなど、事故の危険性が高い通学路(約十一万キロメートル)」の中で「歩道等のない箇所(約四万四千キロメートル)」の交通安全対策に係る事業量については、これら約四万四千キロメートルのうち、地方自治体が地方単独事業として対策を講じる箇所を除いた約二万五千キロメートルについて、一キロメートル当たりの対策に要すると見込まれる費用を一億三千万円と想定し、これらの積である約三兆三千億円から、平成十九年度末までに整備される予定の事業量を除いた額である二兆八千億円を計上している。
 「安全上課題のある踏切(約千九百箇所)」の安全対策に係る事業量については、これら約千九百箇所について、一箇所当たりの対策に要すると見込まれる費用を二億八千万円と想定し、合計で五千億円を計上している。
 「全国の道路橋(約十五万橋)」の予防保全に係る事業量については、これら約十五万橋のうち、地方自治体が地方単独事業として予防保全を講じる橋梁を除いた約十万橋について、一橋当たりの対策に要すると見込まれる費用を三千万円と想定し、合計で三兆円を計上している。

六について

 素案に示した事業量を算出するに当たって、「地球温暖化を防ぐため、自動車からの二酸化炭素の排出量を減らすことや、排出された二酸化炭素を吸収する樹木を増やすための対策等」の地球温暖化対策に係る事業量については、四についてで述べた信号交差点等の渋滞対策として計上した二十一兆六千億円と開かずの踏切等の渋滞対策として計上した四兆千億円の合計である二十五兆七千億円を再計上している。
 「全国の自動車排出ガス測定局(約四百四十箇所)」のうち「環境基準非達成の箇所(約三十箇所)」の大気質対策に係る事業量については、これら約三十箇所について、一箇所当たりの対策に要すると見込まれる費用を八十九億円と想定し、これらの積である約三千億円から、平成十九年度末までに整備される予定の事業量を除いた額である二千億円を計上している。
 「騒音の状況を把握している国道、都道府県道のうち、夜間の環境基準を達成していない地域(約七千キロメートル)」のうち「夜間の騒音要請限度を達成していない地域(約二千七百キロメートル)」の騒音対策に係る事業量については、これら約二千七百キロメートルについて、一キロメートル当たりの対策に要すると見込まれる費用を六億九千万円と想定し、これらの積である約一兆九千億円から、平成十九年度末までに整備される予定の事業量を除いた額である一兆七千億円を計上している。
 「全国の市街地等の道路(約三十万キロメートル)及び駅前広場(約二千九百箇所)」のうち「駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路(約八千八百キロメートル)及び駅前広場(約千七百箇所)」の中で「バリアフリー化されていない道路(約六千四百キロメートル)及び駅前広場(約九百箇所)」のバリアフリー対策に係る事業量については、これら約六千四百キロメートル及び約九百箇所について、バリアフリー化されていない道路については一キロメートル当たりの対策に要すると見込まれる費用を一億二千万円と想定し、またバリアフリー化されていない駅前広場については一箇所当たりの対策に要すると見込まれる費用を十億円と想定し、それぞれの積である約八千億円と約九千億円を合算した約一兆七千億円から、平成十九年度末までに整備される予定の事業量を除いた額である一兆五千億円を計上している。
 「全国の市街地や日本風景街道等の道路(約三十三万キロメートル)」のうち「安全で快適な道路空間を形成する上で、電柱や電線類が特に支障となる道路(約七千六百キロメートル)」の中で「無電柱化されていない道路(約三千七百キロメートル)」の無電柱化対策に係る事業量については、これら約三千七百キロメートルについて、一キロメートル当たりの対策に要すると見込まれる費用を四億四千万円と想定し、これらの積である約一兆六千億円から、平成十九年度末までに整備される予定の事業量を除いた額である一兆五千億円を計上している。

七について

 素案における道路関連施策については、「道路の中期計画」が始まる直前の平成十九年度予算において道路特定財源を活用した関連施策に係る経費として二千八百七十八億円を計上していることを踏まえ、また、既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置を講ずることとしていることから、計画期間である十年間において毎年、少なくとも平成十九年度と同程度の予算の額を確保して施策を講じることを想定し、十年間の経費を合計すると二兆八千七百八十億円以上となると見込まれ、これを四捨五入して、三兆円以上を計上している。既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化を含め、道路関連施策の具体的な内容については、今後整理を行うこととしている。