質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六九号

内閣参質一六八第六九号
  平成十九年十二月七日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出国立大学法人の会計制度の改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出国立大学法人の会計制度の改善に関する質問に対する答弁書

一について

 文部科学省としては、国立大学法人の各財源の目的、使途等が異なることを踏まえ、財務に関する説明責任を的確に果たす観点から、国立大学法人の会計処理を各財源の種類ごとに区分して行うこととしているところであるが、これに伴い、複数の財源を同一の業務に充てる場合を含め、国立大学法人の会計処理がある程度複雑なものとなる場合が生じることもやむを得ないものと考えている。
 文部科学省としては、国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第三十五条において準用する独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「準用通則法」という。)第四十四条第三項の規定により、同条第一項に規定する残余(以下「目的積立金」という。)を剰余金の使途に充てる場合の会計処理については、国立大学法人の経営努力によって生じた目的積立金の費消により、当該国立大学法人の当期総利益が減少し、その経営評価が損なわれることがないよう、目的積立金の費消に伴って生じた費用と同額の金額を目的積立金取崩額として、当期総利益に反映するなどとしているところであり、このような会計処理によって、特段の問題が生じているとは考えていない。
 また、文部科学省としては、国立大学法人における民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する事業(以下「PFI事業」という。)についても、PFI事業に係る会計処理が施設費と運営費交付金等に区分して行われていることによって、PFI事業自体における施設整備と運営の一体的な取扱いが損なわれているとは考えていない。

二について

 文部科学省としては、準用通則法第三十八条第一項に規定する附属明細書において明らかにすべきセグメント情報の在り方については、国立大学法人間の比較可能性の確保の観点から、各国立大学法人における教育研究組織の実態を踏まえつつ、引き続き、検討してまいりたいと考えている。

三について

 学校法人については、教育研究活動の持続可能性を担保させる必要があることから、学校法人会計基準(昭和四十六年文部省令第十八号)においては、学校法人の帰属収入から当該学校法人の諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべき金額を基本金として控除したものを消費収入とすることとされているが、国立大学法人については、一事業年度における損益が均衡するよう国から運営費交付金の交付等がなされるため、国立大学法人会計基準(平成十六年文部科学省告示第三十七号)においては、学校法人会計基準における基本金のような制度は設けられていないなど、学校法人及び国立大学法人に適用すべき会計基準には、それぞれの法人の基本的な特性等に由来する違いがあり、文部科学省としては、国立大学法人に適用される会計基準について、現時点では、学校法人と国立大学法人の比較可能性を確保する観点からの改訂は考えていない。