質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五七号

内閣参質一六八第五七号
  平成十九年十一月二十二日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員福島みずほ君提出地震時における原子力空母の安全性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出地震時における原子力空母の安全性に関する質問に対する答弁書

一の1について

 米海軍より、原子力推進の空母(以下「原子力空母」という。)が横須賀海軍施設に入港中に大規模地震が発生したとしても、原子力空母の周りの水が緩衝材となり地震の衝撃を吸収するため、原子炉を含む船体にほとんど影響がなく、また、引き波により船体が海底に接触する事態が発生した場合でも、原子炉は船の中で最も安全である船の中心に置かれているため、原子炉の安全は維持されるとの説明を受けている。
 お尋ねの原子力空母の冷却用の海水の取入口の位置等については、米海軍は、軍事上の理由により、それを公開しない方針であり、お尋ねの点については、政府として承知していない。

一の2について

 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には、特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、我が国に駐留する米軍についても同様である。したがって、御指摘の建築物の耐震設計基準について、我が国の法令は適用されないが、米海軍からは、御指摘の建築物については日本国内の耐震設計基準に準じた米国の耐震設計基準に基づく厳重な審査が行われているとの説明を受けている。

一の3及び4について

 お尋ねの「非常用設備」が具体的に何を意味するのか必ずしも明らかではないが、米国政府は、米海軍の原子力推進型の軍艦(以下「原子力軍艦」という。)について、累次にわたる政府声明及び覚書をもってその安全性を保証するとともに、その運航に関連して米国の港においてとられる安全上のすべての予防措置及び手続を我が国の港においても厳格に実施することを保証してきていること、平成十八年四月十七日にシーファー駐日米国大使から麻生外務大臣(当時)に対して手交された、米海軍の原子力軍艦の安全性に関する事項が記載された文書(以下「ファクトシート」という。)において、米海軍の原子力軍艦の安全性に関する方針をすべて堅持し厳格に実施するとの米国政府の従来からの方針が改めて明示的に確認され、また、米海軍の原子力軍艦の設計や構造に関する情報を含め、従来よりも詳細な説明がされていること、並びに我が国寄港時を含め、米海軍の原子力軍艦について、これまで長期間にわたって安全に運航してきた実績があることから、政府としては、米海軍の原子力軍艦の我が国寄港時の安全性が確保されることを確信している。

二及び三について

 米国政府は、ファクトシートに述べられているとおり、我が国において米海軍の原子力軍艦の原子炉の修理や燃料の交換を行わないことも含め、米海軍の原子力軍艦の安全性に関する従来からの方針を今後とも堅持する旨を明言している。
 また、米国政府からは、今後とも我が国における米海軍の使用する施設及び区域において原子炉の修理が行われることはなく、そのための施設が整備されることはないとの説明を受けている。

四について

 お尋ねについては、現在、米国政府に対して確認を行っている。

五について

 政府として、本年八月末から九月上旬にかけ、横須賀市が原子力空母への交替に向けた安全・安心に関する市民説明会を主催したことは承知している。政府としては、「米海軍の原子力艦の安全性」についてのパンフレットを作成し、関係する地元自治体に対して配付しているところであり、地元の理解を得るべく、努力を行っていく考えである。