質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五五号

内閣参質一六八第五五号
  平成十九年十一月二十日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 町村 信孝   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出障がい者の所得の確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出障がい者の所得の確保に関する質問に対する答弁書

一について

 障害者の所得の確保に係る施策の在り方については、御指摘の附帯決議も踏まえつつ、今後とも検討を進めてまいりたい。

二の1について

 障害基礎年金の給付水準については、公的年金の中核である老齢年金とのバランスに配慮し、障害等級が二級の場合には、満額の老齢基礎年金と同額の年金額とし、障害等級が一級の場合には、介護等に必要な経費等に配慮して、満額の老齢基礎年金の一・二五倍の年金額としているところであり、適切なものであると考えている。
 また、お尋ねの諸外国との給付水準の比較については、社会経済状況等の違いからそれぞれの年金制度の仕組みが異なるため、単純に比較することは困難である。

二の2について

 国民年金基金制度は、自営業者等の老後生活の多様なニーズに応えるために整備され、加入員が年金の給付の種類や加入口数を選択できる任意加入で積立方式の制度である。こうした制度に、普遍的に発生する老齢を支給事由とする給付に加え、発生率の低い障害を支給事由とする給付を導入した場合、その導入に伴い掛金の引上げが必要となるが、これについて加入員の理解が得られるのかといった等の問題があり、現在、国民年金基金制度には障害年金の制度が設けられていないところである。

二の3について

 厚生年金保険制度は、被用者は、自営業者等と異なり、一般に退職等により職業生活の継続が困難となった場合には生活基盤を失うものであるという事情を踏まえ、事業主が保険料の半分を負担することにより、従前の賃金に比例した額を支給するなどの手厚い年金給付を行う制度となっているが、在職中の障害事故についても、このような手厚い年金給付を行う必要があることから、障害基礎年金に加えて障害厚生年金の給付が必要であると考えている。
 なお、パート労働者等の増加を踏まえ、第百六十六回国会に提出した被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案においては、正社員に近いパート労働者に適用拡大をするという考え方の下、パート労働者に対して厚生年金の適用拡大をすることとしている。

三の1について

 障害者職業能力開発校における身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」という。)の有無別の受講状況は把握しておらず、お尋ねの手帳を持たない発達障害者、高次脳機能障害者、難病者等の受入れ実績のある学校の数についてお答えすることは困難である。
 応募資格に係るお尋ねについては、身体障害者及び知的障害者のいずれにおいても手帳の所持者であることを要件としていたものが一校あったが、平成十九年度にこの要件を廃止したところである。また、身体障害者又は知的障害者のいずれか一方について手帳の所持者であることを要件としていたものが九校あったが、このうち、三校については、平成十九年度にこの要件を廃止し、六校については、同年度に児童相談所等の公的機関の判定や医師の診断等でも応募可能となるよう要件の見直しを行ったところである。

三の2について

 障害者雇用率制度は、広く事業主に一定割合の障害者の雇用義務を課すものであり、事業主が障害者を雇用するに当たっては、当該事業主が就労支援や雇用管理を十分に行えること、障害の特性に配慮した職務が開発されていること及び障害者であることの確認が可能であることが必要となるものと考えるが、御指摘の「手帳を所持しない発達障がい者、高次脳機能障がい者、難病者等」については、現時点においては、このような条件が整っていないことから、障害者雇用率制度の対象とすることは困難であると考える。
 また、特定求職者雇用開発助成金制度においては、助成金の支給に当たっては、事業主が雇用した者が障害者であることの確認が必要であるため、原則として障害者雇用率制度の対象となる障害者を対象としているところである。

三の3について

 御指摘の「制度」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、仮に障害者職業能力開発校、特定求職者雇用開発助成金及び障害者雇用率制度を指すものであるとすれば、障害者職業能力開発校については、御指摘の障害者はすべて手帳の有無にかかわらず受講対象となっており、また、特定求職者雇用開発助成金及び障害者雇用率制度については、三の2についてでお答えしたとおり、現時点で御指摘の障害者をその対象とすることは困難である。

四について

 厚生労働省としては、できるだけ多くの公共職業安定所に障害者を配置するよう努めてまいりたい。

五について

 御指摘の「工賃倍増五か年計画」の対象となる施設は、就労継続支援B型事業所並びに障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)施行前の身体障害者授産施設、知的障害者授産施設及び精神障害者授産施設であるが、同法においては、手帳の有無にかかわらず、御指摘の発達障害者等であっても、同法第四条第一項の障害者に該当する場合には、これらの施設を利用することが可能である。
 また、障害者自立支援法の対象となる障害者等の範囲については、同法附則第三条第一項等を踏まえ、検討を進めてまいりたい。

六について

 御指摘の民間団体の行った調査結果とは、社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会就労センター協議会の「平成十五年度社会就労センター実態調査」の結果のことと考えられるが、当該調査については、厚生労働省が平成十九年に実施した調査とは、調査対象事業所の範囲が異なることなどから、これらの調査結果を単純に比較することはできないと考える。

七から九までについて

 厚生労働省としては、事業者に対する報酬の支払方式について、障害者自立支援法が施行される前の月額払方式から日々の利用実績に応じた日額払方式に改めるとともに、一定の欠員等があった場合においても運営に必要な費用が賄えるよう配慮して報酬単価を設定するとともに、一定期間利用を休止している利用者に対する相談援助等を行った場合の加算措置を講じているほか、平成二十年度までの措置として、従前の月額払による報酬額等の九割を保障するなどの対策を講じているところであるが、今後の報酬のあり方については、与党の障害者自立支援に関するプロジェクトチームにおける議論等も踏まえ検討してまいりたい。