質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三七号

内閣参質一六八第三七号
  平成十九年十一月六日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員福島みずほ君提出フィリピンにおける政治的殺害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出フィリピンにおける政治的殺害に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 御指摘のフィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)におけるいわゆる「政治的殺害」の問題については、フィリピン政府は、二千六年五月に国家警察特別捜査班、同年八月に独立調査委員会を設置し、さらに、独立調査委員会の提言等を受けて、二千七年一月に事態解明のための人権委員会及び最高裁判所の機能強化、同年六月に下級裁判所特別法廷の設置を行い、同年七月の人権団体との対話を受けて、同年九月に証人保護に関する措置を行う等事態改善に向けた取組を実施してきているものと承知しており、我が国としては、フィリピン政府に対して事態解明に向けての一層の努力を求めているところである。
 お尋ねの我が国のフィリピンに対する政府開発援助(以下「ODA」という。)については、政府開発援助大綱(平成十五年八月二十九日閣議決定。以下「ODA大綱」という。)にのっとり、基本的人権及び自由の保障状況等も踏まえつつ、フィリピンの援助需要、経済社会状況、二国間関係などを総合的に判断の上、ODA供与を検討していく方針である。いずれにせよ、我が国としては、いわゆる「政治的殺害」の問題について、これまで様々な機会をとらえて、我が国国内の関心や懸念をフィリピン政府に伝えているところ、今後とも、フィリピン政府による対応を注視していく考えである。
 我が国としては、先に述べた事態改善に向けた一連のフィリピン政府の取組を評価しているところであり、フィリピン国内においては、ODA大綱で述べられた「基本的人権及び自由の保障状況」について確保されているものと考える。

二について

 御指摘の「アグノ川統合灌漑事業」については、移転により住民生活に悪影響を及ぼすおそれがあるとの指摘があることから、我が国政府としては、同事業に係る交換公文の署名について、慎重に検討を行っているところである。