質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三四号

内閣参質一六八第三四号
  平成十九年十一月二日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出独立行政法人産業技術総合研究所と特許特別会計に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出独立行政法人産業技術総合研究所と特許特別会計に関する質問に対する答弁書

一について

 独立行政法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)が保有する平成十四年度の会計書類のうち、「TF二十」の買取りを行うために作成した書類において、賃貸借契約期間内の支払実績として、平成十一年度に五千五百二十万円、平成十二年度に一億千四十万円を支払った実績が記録されており、これらの金額に消費税分を加算すると御指摘の金額となるものと承知している。また、産総研によれば、平成十三年度においては、「TF二十」の賃貸借料、消耗品費、修理費等として、約九千四百五十八万円を支出したとのことである。

二について

 旧工業技術院生命工学工業技術研究所(以下「旧生命研」という。)は、平成十一年十二月に、特許生物寄託業務に必要となる保存技術の高度化等を目的として「TF二十」を賃借しているが、産総研によれば、その結果、当該保存技術に係る研究成果が創出され、その高度化に資するものとなったとのことであることから、現時点において、経済産業省としては、「TF二十」は特許生物寄託制度のために使われたものと認識している。

三について

 産総研によれば、「TF二十」による精密な測定・観察を行うためには、振動を極力低減することが必要であることから、「TF二十」は、旧工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センター(以下「旧工技院特許微生物寄託センター」という。)のある建物内ではなく、旧工技院特許微生物寄託センターに隣接する高い防振機能が整備された研究棟に設置され、現在も同じ場所で運用されているとのことである。
 また、産総研によれば、特許生物寄託業務に必要となる保存技術の高度化等を目的として「TF二十」を賃借した結果、当該保存技術に係る研究成果が創出され、その高度化に資するものとなったとのことであることから、現時点において、経済産業省としては、「TF二十」は特許生物寄託制度のために使われたものと認識している。

四について

 三についてで述べたとおり、産総研によれば、「TF二十」は、旧工技院特許微生物寄託センターのある建物内ではなく、旧工技院特許微生物寄託センターに隣接する高い防振機能が整備された研究棟に設置され、現在も同じ場所で運用されているとのことである。
 産総研によれば、「TF二十」の管理責任者については、平成十二年度までは旧工技院特許微生物寄託センターの研究者であったが、平成十三年度は産総研特許生物寄託センターの研究者であり、平成十四年四月以降は産総研生物機能工学研究部門の研究者であり、平成十六年十月以降は産総研脳神経情報研究部門の研究者であるとのことである。
 産総研によれば、「TF二十」の使用者及び使用状況については、平成十二年度は旧工技院特許微生物寄託センターの研究員が八十一日、旧生命研微生物機能部の研究員が三日、旧生命研分子生物部の研究員が二十一日それぞれ使用し、平成十三年度は産総研特許生物寄託センターの研究員が百十七日、産総研生物遺伝資源研究部門の研究員が九日、産総研脳神経情報研究部門の研究員が八十四日それぞれ使用し、平成十四年度は産総研特許生物寄託センターの研究員が百二十九日、産総研脳神経情報研究部門の研究員が九十七日それぞれ使用し、平成十五年度は産総研生物機能工学研究部門の研究員が四日、産総研脳神経情報研究部門の研究員が六十四日それぞれ使用し、平成十六年度は産総研脳神経情報研究部門の研究員が三十八日使用し、平成十七年度は産総研脳神経情報研究部門の研究員が百二十八日使用し、平成十八年度は産総研脳神経情報研究部門の研究員が九十一日使用し、平成十九年度は、平成十九年十月十八日までの間、産総研脳神経情報研究部門の研究員が六十一日使用している。
 また、産総研によれば、主な使用用途については、旧工技院特許微生物寄託センター及び産総研特許生物寄託センターの研究員は保存技術を高度化するに当たって必要な凍結微生物の観察であり、その他の研究員は生体物質の観察等であるとのことである。

五について

 御指摘の「平成十一年度概算要求の経緯に関するメモ」と題された文書は、平成十年当時の旧生命研における業務に関する議論の一環として、御指摘の両名による連名の文書として残されたものと承知している。
 産総研によれば、特許生物寄託業務に必要となる保存技術の高度化等を目的として「TF二十」を賃借した結果、当該保存技術に係る研究成果が創出され、その高度化に資するものとなったとのことであることから、現時点において、経済産業省としては、「TF二十」は特許生物寄託制度のために使われたものと認識している。

六について

 当時旧生命研の所長であった大箸信一氏と当時旧生命研の次長であった曽良達生氏に対し、経済産業省が確認したところ、両名ともに御指摘の「覚書の類」を取り交わした記憶はないとのことである。

七について

 六についてで述べたとおり、当時旧生命研の所長であった大箸信一氏と当時旧生命研の次長であった曽良達生氏に対し、経済産業省が確認したところ、両名ともに御指摘の「覚書の類」を取り交わした記憶はないとのことであり、仮定の質問にお答えすることは差し控えたい。

八について

 産総研によれば、平成十三年十一月に、一村信吾氏から日本エフイー・アイ株式会社に対して、試料室をヘリウムにより冷却できる透過型電子顕微鏡の購入を検討してきたが、予算の見込みが立たないことから、平成十三年度の発注を予定していない旨の回答をしたとのことである。

九について

 産総研によれば、平成十四年度に「TF二十」の購入先の日本エフイー・アイ株式会社から売却見積りを取り寄せ、当該見積りにおいて示された価格からそれまでに顕微鏡本体分として支払った賃借料の合計額を差し引いた金額と、日本エフイー・アイ株式会社が提示した金額とを比較したところ、日本エフイー・アイ株式会社の提示した金額である「千三百九十六万五千円」のほうが安価であったことから、当該金額で随意契約を行ったとのことであり、経済産業省としては、当該金額が妥当性に欠けるものとは考えていない。

十について

 六についてで述べたとおり、当時旧生命研の所長であった大箸信一氏と当時旧生命研の次長であった曽良達生氏に対し、経済産業省が確認したところ、両名ともに御指摘の「覚書の類」を取り交わした記憶はないとのことであり、御指摘のような事実があったとは認識していない。

十一について

 産総研によれば、特許生物寄託業務に必要となる保存技術の高度化等を目的として「TF二十」を賃借した結果、当該保存技術に係る研究成果が創出され、その高度化に資するものとなったとのことであることから、現時点において、経済産業省としては、「TF二十」は特許生物寄託制度のために使われたものと認識しており、「国の特別会計からの無駄遣い」とは認識していない。

十二について

 お尋ねの特許特別会計に納入された国際寄託手数料の総額については、その算出を行うための書類確認作業等が膨大なものとなることから、お答えすることは困難である。
 また、特許特別会計から産総研に対する支出については、現時点において確認できる範囲で調査したところ、平成十三年度から平成十八年度までの六年間で、二十二億五千百三十七万九千円が支出されている。

十三について

 お尋ねの「生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターB棟の建設費及び施設整備費」については、確認できる文書の保存期間が経過しており、保存されていないため、お答えすることは困難である。なお、平成八年度及び平成九年度の決算によれば、両年度における特許特別会計の施設整備費の総額は十三億三千六百三十一万五千円となっている。

十四について

 十二についてで述べたとおり、これまでに特許特別会計に納入された国際寄託手数料の総額及び特許特別会計から産総研に支出された総額が確認できないことから、お答えすることは困難である。

十五について

 十四についてで述べたとおり、これまでに特許特別会計に納入された国際寄託手数料の総額及び特許特別会計から産総研に支出された総額が確認できないことから、仮定の質問にお答えすることは差し控えたい。

十六について

 産総研によれば、研究開発も含めた特許生物寄託業務の実施状況についても、第三者から構成される調査委員会において事実関係を調査するとのことであり、経済産業省としても、その結果を踏まえて適切に対処してまいりたい。