質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質一六八第二九号
  平成十九年十一月二日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大久保勉君提出株式会社ゆうちょ銀行の定額貯金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出株式会社ゆうちょ銀行の定額貯金に関する質問に対する答弁書

一について

 日本郵政公社から公表された資料によると、平成十八年度末現在における定額貯金の残高は百二十兆二千五百三十五億円であると承知している。なお、株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀行」という。)を含め一般に銀行については、これに対する立入検査、報告徴求、日々のヒアリング等を通じて、日頃からその実態把握に努めているところであるが、ゆうちょ銀行に係る御指摘の平均金利等については、個別銀行の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

二について

 民営化当初におけるゆうちょ銀行の収益構造は、負債サイドは預け替えが可能な定額貯金が大宗を占める一方、資産サイドにおいては、その大半を国債の運用に充てているため、金利上昇の影響を受けやすいものであると認識している。このため、日本郵政株式会社が策定した「日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画」においては、ゆうちょ銀行の「健全経営を確保するためには、金利リスクを適切にコントロールしながら、運用手段の多様化を通じ、リスクの分散・収益源の多様化を図る運用ビジネスモデルを実現することで、安定的な期間収益の確保を達成していく必要があり、そのためには早期にALMの高度化を実現していくことが重要である」旨が示されたところであり、政府としては、検査・監督を通じ、リスク管理を含めたゆうちょ銀行の業務の適切性及び財務の健全性を検証してまいりたい。

三について

 ゆうちょ銀行に係る御指摘のアウトライヤー規制については、金融庁が定めた「主要行等向けの総合的な監督指針」(以下「監督指針」という。)において、他の銀行と同様のアウトライヤー基準を適用することとしている。アウトライヤー基準に該当する銀行があった場合には、監督指針において、原因及び改善策等について、ヒアリングを行い、必要な場合には銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二十四条に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すこととされている。なお、監督指針においては、「アウトライヤー基準に該当する場合であっても、当該銀行の経営が不健全であると自動的にみなされるものではなく、当局としても、必ずしも直ちに経営改善を求めるものではない。また、改善が必要とされる場合でも、金融市場への影響等に十分配慮し、改善手法や時期等が適切に選択されるように、特に留意して監督を行う」こととされている。
 また、御指摘のゆうちょ銀行のALMリスク及び金融市場への影響については、御指摘のそれぞれの機関が、法令の権限等に基づき、必要に応じ情報収集等を行い、適切な対応が行われることとなると承知している。