質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質一六八第一五号
  平成十九年十月九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員辻泰弘君提出柔道整復師による療養費の不正請求問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻泰弘君提出柔道整復師による療養費の不正請求問題に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 厚生労働省としては、柔道整復師の施術に係る療養費(以下「療養費」という。)について、支払実績等の抽出調査を実施しているが、お尋ねの点については、新たにこれを調査することは膨大な作業を要することから、把握していない。

四について

 厚生労働省としては、「柔道整復師の施術に係る療養費に関する審査委員会の設置及び指導監査について」(平成十一年十月二十日付け老発第六百八十三号・保発第百四十五号厚生省老人保健福祉局長及び保険局長連名通知)により、保険者等が行う指導監査の基準等を示すなどにより、療養費に係る制度の適切な運用が行われるよう、保険者等に対する指導等を行ってきているところである。

五について

 厚生労働省としては、平成五年度に会計検査院から、療養費について、その適正な支給を期するため、①柔道整復師、保険者等に対する療養費制度等の趣旨の周知徹底、②不適正な請求を防止するための算定基準等の改正、③審査体制の整備、④柔道整復師に対する指導監査基準の明確化等の療養費に係る指導・監査体制の整備といった改善処置要求を受けたところであるが、これを踏まえ、「柔道整復師の施術料金の算定方法」(昭和三十三年九月三十日付け保発第六十四号厚生省保険局長通知)の累次の改正、審査委員会の全都道府県における設置の推進及び都道府県関係部局及び地方社会保険事務局(以下「都道府県等」という。)において実施される指導監査に係る基準の提示等の措置を講じてきたところであり、これらの措置に基づき、都道府県等において療養費の不正請求の防止のために適切な取組がなされてきているものと考えている。

六について

 御指摘の厚生労働大臣の答弁は、不正請求が確認された場合の取扱いについて答弁したものであるが、厚生労働省としては、四について及び五についてで述べたとおり、平成十四年以前から、療養費の不正請求の防止のために適切な措置を講じてきているところである。

七について

 柔道整復施術療養費支給申請書(以下「申請書」という。)の負傷の原因欄については、当該負傷について適用されるのが健康保険であるか労働者災害補償保険であるかといった点を明らかにするために設けられているものであるという本来の趣旨にかんがみ、昭和四十九年に記載の簡素化を行い、それを明らかにするのに必要な「業務災害による」等の記載で足りることとしたものであるが、その記載の簡素化と不正請求とは直接関係しないものと考える。

八について

 厚生労働省として、御指摘のような報道があったことは承知しているが、その事実関係については承知していない。

九について

 お尋ねの「社会問題化している」の意味が明らかではないが、厚生労働省としては、御指摘のような事例があることは承知しており、四について及び五についてで述べたとおり、療養費の不正請求の防止のために、適切な措置を講じてきているところである。

十について

 療養費の支給については、患者から施術者への受領委任(保険者と柔道整復師により構成される団体又は柔道整復師との間で契約を締結するとともに、被保険者が療養費の受領を当該契約に係る柔道整復師に委任することをいう。以下同じ。)の制度が認められており、柔道整復師の施術所がその申請書を作成するのが一般的である。当該申請書については、療養費は一か月を単位として請求されるものであり、当月の最後の施術の際に患者が一か月分の施術内容を確認した上で署名を行い、これを作成することが原則であるが、柔道整復師の施術所への来所が患者により一方的に中止される場合があること等から、患者が来所した月の初めに署名を行い、当該申請書を作成する場合もあることは、厚生労働省としても承知している。
 厚生労働省としては、受領委任の制度については、患者が施術に係る費用の負担を心配することなく、その傷病に対する手当等を迅速に利用することを可能とする趣旨から認めているものであり、今後とも必要な制度と考えている。今後とも、その適切な運用について、関係者に対する周知に努めてまいりたい。

十一について

 お尋ねの「架空水増し請求」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省としては、捻挫等の部位の数を偽り、療養費の請求が行われる事例があることは承知しており、四について及び五についてで述べたとおり、療養費の不正請求の防止のために、適切な措置を講じてきているところである。

十二について

 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第四十三条においては、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には当該命令等の公布と同時期に当該意見公募手続の結果等を公示しなければならないこととされ、また、命令等を定めないこととした場合には速やかにその旨等を公示しなければならないこととされている。
 御指摘の意見公募手続においては、御指摘の告示案に対し慎重な意見が多数寄せられていることもあり、当該告示案の取り扱いについての結論がいまだ得られていないことから、同条に基づく公示を行っていないところであるが、結論が得られ次第、当該公示を行うこととしている。

十三について

 十についてで述べたとおり、厚生労働省としては、受領委任の制度については、患者が施術に係る費用の負担を心配することなく、その傷病に対する手当等を迅速に利用することを可能とする趣旨から認めているものであり、今後とも必要な制度と考えていることから、それ自体の見直しを行うことは考えていない。