質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一六八第一三号
  平成十九年十月九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大久保勉君提出日本銀行業務方法書に基づく株式の買入れ等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出日本銀行業務方法書に基づく株式の買入れ等に関する質問に対する答弁書

一について

 日本銀行が「日本銀行業務方法書」(平成十年三月二十四日付け日本銀行政策委員会決定)第四十九条の四に基づいて買い入れた株式(以下「買入れ株式」という。)については、日本銀行法(平成九年法律第八十九号。以下「法」という。)第五十五条の業務概況書に記載されており、平成十九年三月末時点における簿価総額、時価総額及び買入れ株式に係る評価益は、それぞれ、簿価総額が一兆七千六百七億円、時価総額が三兆六千四百三十七億円及び買入れ株式に係る評価益が一兆八千八百二十九億円であると承知している。

二について

 買入れ株式の処分については、日本銀行業務方法書第四十九条の四第八号において、日本銀行の損失発生を極力回避すること、及び、処分時期の分散に配慮すること等により日本銀行の株式処分により株式市場に与える影響を極力回避すること、を考慮して指針を定め、信託銀行のうち日本銀行が適当と認めるものに「当該指針の範囲で善管注意義務に従って」買入れ株式の処分を行わせることとされており、また、日本銀行は、個々の買入れ株式の処分について指図を行わないこととしているものと承知している。
 政府としては、日本銀行が、その業務及び財産の公共性にかんがみ、買入れ株式の処分に係る業務についても、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めているものと考えている。
 また、買入れ株式の処分による損益については、法第五十三条第一項の剰余金に反映されることとなり、当該剰余金から準備金等を控除した残額は、同条第五項に基づき国庫に納付されることとなる。

三について

 二についてで述べたように、日本銀行は、買入れ株式の処分について、日本銀行業務方法書第四十九条の四第八号に基づき、信託銀行のうち日本銀行が適当と認めるものに買入れ株式を処分させることとしているものと承知している。
 受託者である信託銀行の選定については、「株式の処分のために設定する信託の受託者選定基本要領」(平成十九年七月三十一日付け日本銀行政策委員会決定)において、本件の受託業務を円滑かつ適正に遂行できる体制が整っていると認められることが選定の条件として定められており、これに従い日本銀行において、適切な体制が整備されている信託銀行を選定しているものと考えている。

四について

 日本銀行と買入れ株式の処分を委託した信託銀行との間の契約内容を開示すべきか否かについては、基本的には日本銀行において判断されるべきものである。政府としては、日本銀行業務方法書第四十九条の四第八号等に基づき、日本銀行において適切に買入れ株式の処分を行うこととしているものと考えている。