質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇一号

タクシー運賃改定実施の影響の把握と対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十二月二十日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   タクシー運賃改定実施の影響の把握と対応に関する質問主意書

 平成十八年八月以降、全国九十のブロックのうち五十二地区から運転者の労働条件の改善を主な理由として、タクシー料金の改定申請がなされ、多くの地区において上限運賃改定の公示が行われたところである。
 そこで、以下質問する。

一 「平均一日売上七千円から一万円でこれからガス代など払うと、手取りは七千円くらい、十時間働いているがあまりにも低すぎる」との個人タクシーの運転手から指摘があったが、タクシー運賃の認可を行う国土交通省は、タクシー運転手の雇用環境までの配慮を十分に行っているのか明らかにされたい。

二 運賃改定実施後おおむね六箇月で労働条件の改善等の実績をタクシー経営者が自主的に公表するとしているが、自主公表ではなく、許認可を行った国土交通省が情報を集め公表すべきであり、また、収集された情報に基づきタクシー運転手の雇用環境の改善等への対応を行うべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 政府は、平成十八年六月二十二日の衆議院議員日森文尋君提出タクシーの運賃制度等に関する質問に対する答弁書(内閣衆質一六四第三三八号)において、「タクシー運転者の賃金体系や労働時間については、労働関係法令の遵守を前提として個々の労使間で決定される問題であることから、運送収入の減少により、賃金が低下するかどうかや労働時間が増加するかどうかについては、政府としてお答えする立場にない。」と答弁している。政府は、タクシーの経営者の料金改定要求を利用者の観点から審査するのではなく、タクシー運転手等雇用者の観点からも審査を行う必要があり、許認可を行う国土交通省が、運賃改定後のタクシー運転手の労働環境の推移を管理すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 様々な資料を収集しても、タクシー事業者がタクシー運転手の待遇改善のために、どのような経営努力をしているのか理解できない。国土交通省は、タクシー運転手の雇用環境を管理し、雇用環境改善のためにどのようなことを行うべきかを明示すべきではないかと考えるが、政府の認識を示されたい。

五 料金値上げをした地区のタクシー運転手の話を聞いたところ、「燃料高を理由にタクシー運賃が値上げになったが、客が減って逆に収入は減った。とても暮らしていけない。燃料高より客が減ったことが問題。」との指摘があった。そもそも燃料代は原価の一割以下と聞いており、燃料高騰が料金値上げの理由とはなりにくいと考えるが、政府の認識を示されたい。また、燃料高騰が理由になる場合、すべての申請が運賃値上げとならなければならないはずであるが、値下げ申請をしている地域があることと整合性がとれないのではないかと考えるが、政府の認識を示されたい。

六 運賃改定に伴い料金メーター交換に十五万円かかると聞く。政府は、融資による支援を行っているが、個人タクシーの負担は非常に大きなものがある。より一層の支援をすべきではないかと考えるが、政府の認識を示されたい。

七 タクシーの経営を見ると、例えば、東京地区では輸送人員は増えたが、一方で車両数が増加している。これは、改定前の運賃体系でタクシー事業への参入があるということであり、運賃引上げを行う必要はないと考えるが、政府の認識を示されたい。また、どのような判断基準で、運賃の引上げを始めとする運賃に関する審査をしているのか。明文化された基準はあるのか。それぞれ明らかにされたい。

八 国土交通省は、需要と供給が価格を決め、価格を上げると需要が減ることを認識していないのではないか。規制緩和後かなりの台数が増えたのに対し、利用客も増加しなければ利益が減るのは当然で、価格を上げるのであれば、需要が減り、全体として売上げが減ることもあり得る。東京地区の場合、タクシーの数を減らさなければ、効果はほとんど上がらないはずであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。