質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八一号

政府における情報システムの活用を通じた事務の効率化・サービスの高度化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十二月十日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   政府における情報システムの活用を通じた事務の効率化・サービスの高度化に関する質問主意書

 社会保険庁の年金システムや電子パスポートシステムなど政府の情報システムが大きな問題を起こしてきていたが、政府の情報システムに関しては、地方政府も含めると年二兆円近くの予算が使われており、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法の策定以来、様々な取組がなされている。二〇〇六年三月には「業務・システム最適化指針(ガイドライン)」(以下「本ガイドライン」という。)が策定され、サービス供給者側である政府側の利便性にのみ適した縦割り業務を廃し、国民、企業等の顧客の立場に立った各種行政サービスの組替えと質の向上、若しくは、サービスに要する行政コスト自体の削減を進めることを目指すこととなった。また、本年七月には「情報システムに係る政府調達の基本指針」(以下「本基本指針」という。)の適用が開始され、情報システムの調達手続の大幅な改善が図られたところである。
 そこで、以下質問する。

一 本ガイドラインに基づきいくつかの省庁で「業務・システム最適化計画」が策定されているものの、その計画の横断的な評価は行われていない。各省庁で既存の業務を単にIT化した顧客無視の形だけの「電子政府」化が進行している可能性も高いと考えられる。府省全体にどのような機能の業務と情報があるのか、部局を超えた組織全体の姿はだれも明確につかんでいない。行政サービスの質の向上とより質の高い電子政府を目指して調達改革を進めていくためには、EA(エンタープライズ・アーキテクチャ、組織全体を通じた業務の最適化を図る設計手法)の策定・管理プロセスを導入することで、組織全体の業務とシステムを一体的に可視化し、設計・管理することが不可欠である。

1 本ガイドラインを策定した各府省情報化統括責任者連絡会議において、すべての業務・システム最適化計画の効果測定指標を策定し、計画を評価し、評価に基づく計画の修正を行うべきと考えるが、政府の認識を示されたい。また、特に人事共通システムは十分機能していないと聞くが、事実関係を明らかにされたい。
2 他国の最先端事例を参考にして、政府の業務の効率化の観点だけでなく予算の管理執行の最適化、国民のサービス向上といった観点から、本ガイドラインの見直しも行うべきと考えるが、政府の認識を示されたい。

二 本基本指針に関して、何点か明らかにする必要がある。

1 既に本基本指針に基づきシステムの調達を行っている事例が生じているが、これらは評価を行っているのか。また、評価に基づき本基本指針を見直すことは検討しているのか。それぞれ明らかにされたい。
2 本基本指針においては、システムのオープン仕様の採用についての要求要件が低いと考える。よりオープンな情報システムの構築を目指すべきと考えるが、政府の認識を示されたい。

三 地方自治体のシステムの調達指針についても現在作成中であると聞いている。

1 地方自治体の業務には共通性が高いため、コストの削減、業務の効率化の観点から共通システムを政府が構築し、地方自治体に低価格で普及することも検討すべきだと考えるが、政府の認識を示されたい。
2 海外においては、既に地方政府用の共通システムやSaaS(サーズ)、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)といったインターネットを経由したサービスが普及しており、海外のシステムを活用することも検討する必要があると考えるが、政府の認識を示されたい。

  右質問する。