質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六九号

国立大学法人の会計制度の改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十一月二十八日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   国立大学法人の会計制度の改善に関する質問主意書

 国立大学は、平成十六年四月に国立大学法人となり、四年近くが経過した。国立大学法人化に伴い会計制度も企業会計に準じるものに変更され、会計監査が義務化されたが、現状において様々な問題が露見しつつある。
 そこで、国立大学法人化に伴う会計制度の問題について、以下質問する。

一 国立大学法人の会計については、「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」により定められた企業会計原則に基づき、財務諸表の作成、利益及び損失の処理、会計監査人による監査などが行われている。
 しかしながら、①国立大学法人の財源は、運営交付金、競争的研究資金、民間資金など多様であり、財源の種類ごとに会計処理を行う必要があることから、会計事務が非常に複雑化・煩雑化している、②違う資金を組み合わせて使用する場合や積立金として一旦繰り越した後で使用した場合の会計処理について問題がある、③施設整備は施設整備費補助金、運営事業は運営費交付金等という形で、それぞれ財源が分かれていることにより、施設整備と運営事業を一体的に行うことで業務の効率化を目指すというPFI方式のメリットが減殺されてしまう可能性が生じる、という問題が生じている。これらの三つの問題について、政府はどのように対応するのか明らかにされたい。

二 財務情報開示の区分にも問題がないか。国立大学法人のセグメントにおける財務情報については、その業務内容が多岐にわたる場合、説明責任の観点から、業務ごとのセグメントにかかる財務情報を開示することが求められている。セグメント区分は、「附属病院」を除き、当分の間、各法人が適切と考える区分によることとなっている。しかしながら、国立大学法人間の比較の確保という観点から、適切なセグメント区分の早急な共通化と情報開示が求められると考えるが、政府の認識を示されたい。

三 現在の会計基準は、大学の設置形態によりそれぞれ異なる。そのため、明確な情報開示や公開された情報の比較を行うことができない。我が国の平成十八年度における大学数は、国立大学法人が八十七、公立大学法人が二十三、公立大学が五十三、学校法人が五百六十五、株式会社が六となっている。在学者数でみても、私立大学は全体の約七十五パーセントを占めているだけに、国立大学法人について、私立大学との比較可能性を一段と高めるための会計基準及び公開基準の改訂を進めるべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

  右質問する。