質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六六号

柏崎刈羽原発敷地内における地殻構造運動・活褶曲の無視及び海底活断層の見落としについての国の責任に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十一月二十六日

近藤 正道   


       参議院議長 江田 五月 殿



   柏崎刈羽原発敷地内における地殻構造運動・活褶曲の無視及び海底活断層の見落としについての国の責任に関する質問主意書

 中越沖地震では、柏崎刈羽原発の地下の南東傾斜の逆断層が動いたこと、逆断層の上盤に相当する海岸線から小木ノ城背斜の丘陵部が隆起し平野部が沈降したことが、国土地理院の調査等で明らかになった。柏崎刈羽原発は、羽越活褶曲帯の中にあり、地域一帯は背斜部(地層の山に当たる部分)が隆起し向斜部(地層の谷に当たる部分)が沈降する構造運動が継続していることは、原発の設置以前から、測地学や地質学関係者の常識である。また、中越沖地震の震源断層面は佐渡海盆の東縁の急傾斜部に連なること、それは原発の海洋地質調査で明らかであること、柏崎刈羽原発の設置許可当時の知見でも十分に把握可能だったこと等が報道されている。
 こうした事実を踏まえ、以下質問する。

一 柏崎刈羽原発敷地を含む柏崎刈羽一帯の地殻構造運動は、後期更新世以降は存在しないとした東京電力の主張とそれを追認した設置許可は、中越沖地震の発生で隆起沈降が起こったことから、誤りだったことになるが、地殻構造運動がないとした判断は誤りだったことを政府は認めるか明らかにされたい。

二 柏崎刈羽原発の炉心部にはα・β・F系・V系等の西山層と共に安田層を切る多数の断層が存在している。柏崎刈羽一帯には安田層と共に番神砂層を切る多数の断層が存在する。東京電力は、「炉心部にはα・β・F系・V系等の断層は構造性だが再活動はない。安田層と共に番神砂層を切る断層は、すべて表層の地すべり性のもので構造性断層ではない。」と主張し、国はそれを追認した。中越沖地震では、原発敷地が隆起沈降しており、空中写真では線状の変位が多数確認され、敷地周辺の丘陵部でも隆起沈降が起こっているが、これらの調査計画は発表されていない。また、逆断層の上盤に位置する地域では中越沖地震の震源断層に連動して多数の断層が活動したと推測される。原発敷地内外の断層活動の調査が必要だと考えるが、政府は調査をするか明らかにされたい。

三 原発敷地沖合海底には断層が存在することが、地形等から容易に確認できる。しかし、東京電力は判断を誤り、国も東京電力の判断を追認した。こうした過ちは、東京電力の調査・判断にかかわった関係者と審査した国の関係者の能力不足や審査体制の欠陥を示すと考えるが、政府は、海底活断層を見落とした原因及びその責任の所在をそれぞれ明らかにされたい。

  右質問する。