質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五六号

障害者の権利に関する条約の国内履行に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十一月十二日

谷 博之   


       参議院議長 江田 五月 殿



   障害者の権利に関する条約の国内履行に関する質問主意書

 政府は本年九月二十八日、障害者の権利に関する条約(以下「本条約」という。)に署名し、批准に向け、国内法や制度の見直しと履行が急務となっている。
 そこで、以下質問する。

一 「差別の定義」を定めている本条約第二条は、「合理的配慮の否定」を含めるとしているが、現行の障害者基本法上の「差別」に「合理的配慮の否定」は含まれるのか、あるいは含まれないのか。法文上明らかでないと承知しているが、政府の法解釈を明らかにされたい。

二 今後政府は、前記一で述べた「合理的配慮の否定」を国内法上においても「障害に基づく差別」の定義に含めるとともに、「合理的配慮の有無」についての判断基準を政省令で規定していくことが求められている。その前に、既に英米において行われているように、障がい当事者団体と緊密な連携と協議を重ねることで、多様な具体的事例の分析、蓄積を行い、合理的配慮を提供する場合に「過度な負担」があるかどうかの判断に資する指針(ガイドライン)作りに早急に着手するべきではないか。政府の見解を示されたい。

三 前記二で述べた「過度な負担」の有無については、これも英米の差別禁止法又は日本弁護士連合会の「障がいを理由とする差別を禁止する法律」要綱案にあるように、具体的な根拠及び資料に基づき、雇用主や事業主の財務状況、被用者の人数、負担すべき費用、被る不利益の内容及び程度その他雇用主・事業主側の事情並びに障がいのある人の被る不利益の内容及び程度を総合的に考慮して判断されなければならないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。