質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四八号

配置薬業の改正薬事法上の資格に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十一月七日

又市 征治   


       参議院議長 江田 五月 殿



   配置薬業の改正薬事法上の資格に関する質問主意書

 私は去る九月十四日、「改正薬事法に伴う配置販売員の資質向上と省令に関する質問主意書」(第一六八回国会質問第五号)において、薬事法の一部を改正する法律(平成十八年法律第六十九号)(以下「改正薬事法」という。)に伴う配置販売員の資質向上について、省令中に明文化するよう求め、質問したところである。九月二十五日付け政府答弁書の「一について」によれば、配置販売業については店舗販売業などと同様の基準で新制度における登録販売者試験への受験を求めるのみで、資質向上の具体化は、今回省令案の定める受験資格とは直接関連するものではない、と解しているようである。このため「配置」の歴史的特性及び今日的役割を踏まえた、改正薬事法附則第十二条の既存配置従事者の「資質の向上」の具体化に、進展がみられない。
 しかしながら、「資質の向上」は、論理的にも歴史的経緯からも、「配置」の「新制度への円滑な移行」の条件であって、附則は、「配置」従事者が継続的な研修を受け一定の研鑚を積むことにより、受験資格が得られ、登録販売者へ進む道を開いている趣旨だと解される。
 そこで、以下質問する。

一 「資質の向上」と「新制度への円滑な移行」の密接な関連性について

1 「資質の向上」が求められる背景について
 改正薬事法が附則において特に「配置」について「資質の向上」を求めたのは、薬剤の高度化・多様化、販売方法の大量化・大衆化等により、一般用医薬品においても濫用・誤用、副作用の実例やおそれが拡大したため、すべての医薬品販売従事者に一定の専門知識の習得・資格規定が必要とされるに至ったことのほかに、特に「配置」従事者にあっては、店舗と違い薬剤師等の常時指導監督下で従事するのでなく単独で行商する業態であることから、薬事知識はもとより、特定商取引に関する法律を始め販売モラルの面をも含めて「資質の向上」が求められたことが理由であると思うが、政府の見解を示されたい。
2 「店舗」との業態の相違を反映することについて
 「店舗」では、本来不特定多数の消費者を、それも様々な状況の消費者の様々な要求にこたえる必要があり、それに対応するためには「店舗」内に様々な要求にこたえることのできる高度な薬学の専門家(薬剤師、登録販売者)が常駐する必要性がある。他方「配置」では、一人一人の従事者が個々の消費者の家庭を、それも特定された多数の家庭を訪問し薬品の販売行為を行う以上、全員がそれなりの一定の専門家である必要がある。同時に、特定商取引に関する法律を始め行商としてのルールの徹底を行うことも社会正義の上からも、非常に重要である。ただし、行商としての性格上も、取り扱う薬品の品目は限定されている。だからこそ「配置」については「附則」において既存業者に期限を定めず従前どおりの営業を認めつつ、同時に「資質向上努力義務」を加えることにより、将来、「配置」が業界の自主努力で、現実的で国民生活に寄与する形で新制度へ円滑に移行する方向性を示し、そのための時間的猶予を与えたものと理解しているが、政府の見解を示されたい。
3 薬事法関連で講習を義務付けている類似の例について
 講習を義務付けている類似の例として、医療機器の製造業、販売業においては、「薬事法施行規則第九十一条第三項第三号、薬事法施行規則第百八十八条第二号イ、薬事法施行規則第百六十二条第一項第一号、薬事法施行規則第百七十五条第一項第一号、薬事法施行規則第百六十八条及び百七十五条第二項、薬事法施行規則第百九十四条、講習等を行う者の登録等に関する省令」が存在し、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習(基礎講習、資格取得講習、継続研修)が実施されている。「配置」についてもこれらを参考に、省令案の中に明文化することは、附則第十二条の趣旨にかなうと同時に、既存の法令とも整合し合理的だと考えるが、政府の見解を示されたい。
4 省令案への具体的反映方法について
 省令案中、「受験申請・登録販売者試験を受けようとする者」の「6」は、「その他知事が同等と認める者」として「1~5に該当する者と同等以上の知識経験を有すると都道府県知事が認めた者」を定めている。これはまさに「配置」等の歴史的事情を斟酌し、配置販売業における受験資格を取得するための制度を整備する可能性を想定させる。以上から具体案を示せば、省令案「6」の末尾に、例えば「厚生労働省の指定する講習を受講済の者」を明文化することにより、これに該当する「配置」従事者について、厚生労働省が「資質の向上」を認定し、受験資格に加えることは可能ではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 「一年の実務経験」の妥当性について

 受験資格について、省令案のように、自身の薬学的知識を立証する手段のない既存配置業者がその配下の従事者の「一年の実務経験」を認定することには無理があり、既に他の薬業団体及び薬害被害者団体から「絶対反対」の声が上がっている。まして平成二十四年以降「薬剤師または登録販売者の指導、管理の下で補助的な業務に一年従事する」ことをもって受験資格とするのは、「配置」の場合は厳密に解釈すれば従事者一人一人に有資格者がマン・ツー・マンで一年間同行することとなり、経営実態上、不可能である。中小零細の多い「配置」事業者・従事者は、薬事法改正に伴う対応に追われ、未知の体験である受験のための準備を含め、「資質の向上」のための十分な期間を必要としている。そこで、資格としては、①配置販売業における実務経験(知事の身分証明書で立証可能)に加えて、②前述した「継続的な資質向上のための厚生労働省指定講習」という二項目をもって、受験資格とするべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。