質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二一号

高等学校用日本史の教科書検定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十月十一日

糸数 慶子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   高等学校用日本史の教科書検定に関する質問主意書

 文部科学省は本年三月三十日、平成二十年度から使用される高等学校用日本史の教科書について審査する教科用図書検定調査審議会(以下、「審議会」という。)において、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍の関与を削除する修正を行った。沖縄戦における「集団自決」は、日本軍による命令・強制・誘導等なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、第一六八回国会の衆参本会議における代表質問等においても福田康夫内閣総理大臣は、教科書検定及び教科書検定意見撤回を求める県民大会に関し「日本軍の関与を否定するものでない」、「沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、多くの人々が犠牲になった」、「(そのことを)学校教育において子供たちにしっかりと教えていかなければならない」、「沖縄県民の思いを重く受け止める」、「文部科学省において審議の方法を含め検討している」等、審議会での再検討及び検定意見の撤回、「集団自決」の記述復活に前向きな答弁を行った。
 よって、以下質問する。

一 沖縄戦における「集団自決」ついて、政府としてどのような歴史認識を有しているのか示されたい。

二 審議会を再開し、検定意見を撤回するか否か、明らかにされたい。

三 「集団自決」の表記については、かねてから沖縄戦研究者の間では、その実相からして「強制的集団死」という表記にすべきだとの指摘もあるが、このような指摘に対する政府の見解を示されたい。

四 審議会の検定意見に従い、修正を余儀なくされ、検定合格した出版五社七点の記述に対し、文部科学省は、教科用図書検定規則第十三条第一項でいう「誤った事実の記載」という認定の基、同条第四項の「訂正申請勧告」を行ったのか、明らかにされたい。

五 「訂正申請勧告」を行ったのであれば、勧告に従い訂正を申告した出版社名及び記述の修正箇所等、詳細を明らかにされたい。

六 教科用図書の検定に当たっては、中立性・公共性・透明性を高める上で、審議会の在り方、教科用図書検定規則等の教科書検定の手続きの見直しが必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。