電磁波対策に関する質問に対する答弁書:答弁本文:参議院

質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第七七号

内閣参質一六六第七七号
  平成十九年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員紙智子君提出電磁波対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出電磁波対策に関する質問に対する答弁書

一の1について

 電磁界の健康影響等に関し、各省庁が過去十年間に実施し、又はその費用を拠出してきた研究及び平成十九年度以降に実施し、又はその費用を拠出することが決定している研究は以下のとおりである。
 総務省においては、平成九年度から平成十八年度まで「電波の安全性に関する調査」を財団法人テレコム先端技術研究支援センターに委託して行っており、その事業費は平成十八年度においては四億二千百万円である。文部科学省においては、平成十一年度から平成十三年度まで、独立行政法人国立環境研究所首席研究官兜真徳氏による「生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価に関する研究」に累計七億二千百万円を委託している。また、平成十一年度から平成十三年度まで、金沢大学工学部情報システム工学科教授長野勇氏による「地域産業の発展に寄与する電磁波技術に関する研究」に累計二億三千五百万円を委託している。厚生労働省においては、「居住環境における電磁界安全対策研究」に、平成九年度から平成十一年度まで、国立公衆衛生院生理衛生学部部長大久保千代次氏を主任研究者として、補助金累計四千二百万円、「電磁界の白血球及び免疫系機能に及ぼす影響に関する研究」に、平成十二年度から平成十四年度まで、国立保健医療科学院生理衛生学部部長大久保千代次氏を主任研究者として、補助金累計一億六千二百万円、「発達段階にある脳を対象とする携帯電話周波数帯電磁界曝露の血液脳関門に及ぼす影響に関する研究」に、平成十五年度から平成十六年度までは国立保健医療科学院生活環境部部長大久保千代次氏を主任研究者として、また、平成十七年度は国立保健医療科学院生活環境部主任研究官牛山明氏を主任研究者として、補助金累計四千九百万円を拠出している。さらに、平成十二年度から平成十四年度まで、「職場における電磁場による健康影響に関する調査研究」を中央労働災害防止協会に委託して行っており、その事業費は累計四千百万円である。経済産業省においては、平成九年度から平成十五年度まで「電力設備環境影響調査」を財団法人電力中央研究所に委託して、平成十六年度から平成十八年度まで「電力設備電磁環境影響調査」を財団法人電力中央研究所、財団法人電気安全環境研究所、財団法人日本生物科学研究所、株式会社野村総合研究所及び日本エヌ・ユー・エス株式会社に委託して、また、平成十九年度に「電力設備電磁界情報調査提供事業」を株式会社野村総合研究所及び財団法人電気安全環境研究所に委託して行っており、それらの事業費はそれぞれ累計二十五億円、累計十一億円、七千二百万円である。環境省においては、「電磁環境の健康影響に関する調査研究」を平成九年度から平成十年度までは財団法人日本環境協会に委託し、また、平成十一年度から平成十三年度までは同協会に請け負わせて、平成十四年度から平成十五年度まで「生活環境中電磁界と健康リスク評価に係る調査」を独立行政法人国立環境研究所に請け負わせて、平成十六年度に「生活環境中電磁界に係る調査」を独立行政法人国立環境研究所に請け負わせて、また、平成十七年度から平成十八年度まで「一般環境中電磁界暴露に係る情報収集」を社団法人環境情報科学センターに請け負わせて行っており、それらの事業費はそれぞれ累計四千万円、累計千二百万円、六百万円、累計千百万円である。なお、同省の研究に係る事業費については、他の調査の予算を含む額である。

一の2の(一)について

 電力施設については、国際非電離放射線防護委員会(以下「ICNIRP」という。)の千九百九十八年のガイドライン等に基づいて作成された電磁波・電磁界の基準、規制値はない。なお、電界については、昭和五十一年から電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)に基づき特別高圧の電線の静電誘導作用により人による感知のおそれがないよう、三キロボルト毎メートル以下という技術基準が定められている。この値は、欧州諸国の規制と比べても、厳しいものとなっている。
 電波については、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)に基づき、平成十一年に電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第二十一条の三及び平成十五年に無線設備規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十八号)第十四条の二で規制値等を定めており、これは、ICNIRPのガイドラインと同等なものである。高周波電磁界に関して、電波法に基づく我が国の規制値より厳しい値を採用している国の例としては、中華人民共和国がある。

一の2の(二)について

 電磁界関係省庁連絡会議は、平成八年四月に関係省庁が電磁界の健康影響に関する諸問題について情報交換を行うことを目的として設置されたものであり、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省及び環境省の六省から構成されている。
 同会議における最近五年間の主な議事は、以下のとおりである。
 平成十五年度は、関係省庁における取組について、平成十六年度から平成十八年度までは、超低周波電磁界に関する世界保健機関(以下「WHO」という。)環境保健基準について、平成十九年度は、総務省及び経済産業省の取組について並びに超低周波電磁界に関するWHO環境保健基準についてである。

一の3の(一)について

 お尋ねの二十件程度についての、年度別、自治体別の数については、把握していない。また、携帯電話用基地局の建設をめぐって周辺住民と携帯電話事業者との話合いがスムーズに進んでいないものの件数は把握していないが、携帯電話事業者が携帯電話用基地局を設置するにあたり、周辺地域の住民から説明を要求されるなどの理由により、当初の設置予定を変更したものの件数は、平成十八年十月現在において、四十件と承知している。

一の3の(二)について

 携帯電話用基地局の設置に関し、携帯電話事業者と当該基地局の周辺地域の住民との間で訴訟により係争中となっているものの件数は、平成十九年七月現在において九件と承知している。なお、訴訟及び調停申し立てがあった件数については把握していない。

一の3の(三)について

 家電製品からの電磁波に関連する健康影響等の理由による訴訟、調停申し立て件数については、承知していない。

二の1について

 送電線等については、経済産業省は総合エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会に電力設備電磁界対策ワーキンググループを設け、第一回会合を平成十九年六月一日に開催し、送電線等電力設備から発生する電磁界に関する規制の在り方を検討している。家電製品から発生する電磁波については、ICNIRPが定めたガイドラインに照らした実態を把握するために、経済産業省から財団法人家電製品協会に対して、家電製品から発する電磁波の強度の測定を要請している。今後、その結果を踏まえて、必要な対応を検討してまいりたい。

二の2の(一)及び(二)について

 電波法第四条の規定により、無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならないとされているところ、同法第十二条の規定により、総務大臣は、法令の規定に違反しないと認めるときは、遅滞なく申請者に対し免許を与えなければならないとされている。
 総務省においては、携帯電話用基地局を設置するにあたっては、地域住民に対して電波の安全性について周知すること等を要請しているところ、基地局の周辺地域の住民から要望が寄せられた場合には、その内容を関係の携帯電話事業者に連絡し、周辺地域の住民との話合いに努めるよう要請しており、総務省としては、住民とのトラブル回避に向けた努力を行っていると考えている。
 「事業者向けのガイドライン」を新たに作成することは予定していない。

二の2の(三)について

 総務省では、携帯電話用基地局の詳細な設置場所については、設置主体である法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることや、犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあること等により、明らかにしないこととしている。

二の3について

 平成十八年十月の総務省令改正等により使用することができるようになったのは、屋内において二メガヘルツから三十メガヘルツまでの周波数を使用する電力線搬送通信設備であり、送電線を利用した高速電力線通信は使用することはできない。

二の4について

 二千七年六月にWHOが発出したファクトシートも踏まえ、総合エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会に設置した、適切な構成員からなる電力設備電磁界対策ワーキンググループにおいて、送電線等電力設備から発生する電磁界に関する規制の在り方について検討を行っているところであり、そのメンバーには、電磁界の専門家をはじめ、医師、消費者団体職員等各界の有識者が含まれている。
 また、法令に基づく技術基準を定める場合などについては、行政手続法(平成五年法律第八十八号)に基づき、意見公募手続を行い、利害関係者を含め広く一般の意見を求めることとしている。

三の1について

 「REFLEXプロジェクト」の研究が行われたことは承知しているが、同研究の再現実験等も含め様々な研究結果を総合的に判断した結果、同プロジェクトの結果は信ぴょう性に欠けると考えられ、現時点では電波防護指針の値を改訂する必要はないと考えている。

三の2について

 電波が人体に与える影響を科学的に解明するために、行政としても取り組む必要があり、総務省において生体電磁環境研究推進委員会を設置し、研究を進めたところである。政府としては、国民の安全を確保するために、引き続き専門家の科学的知見を幅広く集め、電磁波の安全性に関する研究を進めていきたいと考えている。

三の3について

 お尋ねの電磁波に係る予防的アプローチについては、WHOの国際電磁界プロジェクトにおいて検討が進められており、同プロジェクトにおいて十分な検討が行われることが重要であると考えている。このため、引き続き、同プロジェクトに対する研究成果の提供等の協力に努めてまいりたい。また、政府としては、従前から、電磁波の人体に対する影響等について、国内外の情報の収集、各種調査研究、これらの成果に係る情報の提供等に取り組んできているところであり、引き続きその着実な実施に努めてまいりたい。