質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第六九号

内閣参質一六六第六九号
  平成十九年七月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員岡崎トミ子君提出改正介護保険法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員岡崎トミ子君提出改正介護保険法に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「費用対効果、「重度中心型への転換」の進捗状況」についてどのような内容を把握すべきか必ずしも明らかでないが、「介護給付費実態調査」によれば、在宅や施設において介護給付(介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第八条第一項に規定する居宅サービス(以下「居宅サービス」という。)、同条第十四項に規定する地域密着型サービス(以下「地域密着型サービス」という。)、同条第二十一項に規定する居宅介護支援(以下「居宅介護支援」という。)及び同条第二十三項に規定する施設サービスをいう。)を受ける中重度者(要介護三、要介護四又は要介護五の認定者をいう。以下同じ。)に関する介護保険の受給状況の推移は、改正介護保険法施行直後の平成十八年四月の一月間における介護保険の受給者数は約百三十五万人、費用額は約三千四十億円、現時点で把握できる直近の平成十九年三月の受給者数は約百五十万人、費用額は約三千四百七十六億円となっている。

一の2について

 お尋ねの各サービスの利用者数の減少の理由については、法第八条の二第十八項に規定する介護予防支援(以下「介護予防支援」という。)と居宅介護支援については、同項に規定する介護予防支援事業を行う法第百十五条の三十九第一項に規定する地域包括支援センター(以下「地域包括支援センター」という。)が法第八条第二十一項に規定する居宅介護支援事業を行う者に委託した介護予防支援事業の利用者を「平成十八年介護サービス施設・事業所調査結果速報」の利用者数に計上していないことが、法第八条の二第二項に規定する介護予防訪問介護(以下「介護予防訪問介護」という。)及び法第八条第二項に規定する訪問介護(以下「訪問介護」という。)については、法第七条第四項に規定する要支援者(以下「要支援者」という。)に係る適正な介護予防支援が実施されたことが、法第八条の二第十二項に規定する介護予防福祉用具貸与と法第八条第十二項に規定する福祉用具貸与(以下「福祉用具貸与等」という。)については、要支援者及び要介護一の認定者に対する福祉用具貸与等についての要件の見直しが行われたことが、同条第二十六項に規定する介護療養型医療施設(以下「介護療養型医療施設」という。)については、同施設の廃止に向けて、同施設の病床数が削減されたことが、それぞれ主な原因であると考えられる。

二の1について

 お尋ねの制度施行以降平成十七年度までの法第百三十一条に規定する普通徴収に係る保険料の未納付率の推移については、平成十二年度は六・八パーセント、平成十三年度は七・二パーセント、平成十四年度は八・一パーセント、平成十五年度は九・〇パーセント、平成十六年度は九・八パーセント、平成十七年度は十・〇パーセントであるが、平成十八年度は必要なデータが報告されておらず、把握していない。
 また、保険料を納付していない者の介護保険に係るサービス未利用の実態については把握していない。
 保険料については、低所得者層に配慮し、所得段階別に賦課することとしており、さらに、平成十八年四月から、従来の保険料第二段階(世帯員すべてが市町村民税非課税)を細分化し、世帯員すべてが市町村民税非課税である世帯のうち、前年の公的年金等の収入金額(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十五条第二項第一号に規定する公的年金等の収入金額をいう。)及び前年の合計所得金額(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二百九十二条第一項第十三号に規定する合計所得金額をいい、その額が零を下回る場合には、零とする。)の合計額が八十万円以下の者についての保険料に係る介護保険法施行令(平成十年政令第四百十二号)第三十八条第一項の基準額に対する同項に規定する標準割合を四分の三から四分の二に引き下げる措置を講じたところである。また、保険料の未納者対策については、平成十七年十月から市町村(特別区を含む。以下同じ。)が行う普通徴収の収納事務をコンビニエンスストア等の私人に委託できるように法の改正が行われたところであり、今後も必要な対策に取り組んでまいりたい。

二の2について

 お尋ねの「保険料賦課自体を減額又は免除するものではない」としている理由は、現行の介護保険関係法令においては、第一号被保険者の保険料は所得状況等に応じ設定されるものであり、介護支援ボランティア活動に応じて減免される仕組みになっていないことから、その旨御指摘の「介護支援ボランティア活動への地域支援事業交付金の活用について」(平成十九年五月七日付け老介発第○五○七○○一号・老振発第○五○七○○一号)において入念的に記述したものである。
 ボランティア活動は、一般的に個人の自由意思に基づいて、その技能や時間等を進んで提供し、社会に貢献することと考えられるが、お尋ねの「介護支援ボランティア活動」は、法第七条第五項に規定する要介護者等に対する介護予防に資することから、法第百二十二条の二による地域支援事業交付金を用いた一例としてお示ししたものであり、それ以外の地域支援事業として行う高齢者の生きがい及び健康づくりの推進に資するボランティア活動などについても、地域支援事業交付金を用いる事例は有り得るものである。

三の1について

 現行の法第十九条第一項に規定する要介護認定及び同条第二項に規定する要支援認定(以下「要介護認定等」という。)については、樹形モデル(要介護認定等基準時間の推計の方法(平成十二年厚生省告示第九十一号)別表第二から別表第六までをいう。以下同じ。)等を使用したコンピュータ判定により一次判定が行われている。この樹形モデルの構築に当たっては、平成十三年及び平成十四年に開催された要介護認定調査検討会における御議論を踏まえながら、施設入所者に対して行われた各サービスの提供時間調査を基に原案を作成し、その後、抽出された市町村における法第八条第二項に規定する居宅要介護者(以下「居宅要介護者」という。)を含む要介護認定申請者を対象としたモデル事業及び全国の市町村における居宅要介護者を含む要介護認定申請者を対象にしたモデル事業による検証結果に基づき、随時、適正化を図り完成させたものであり、適切なものと考えている。

三の2及び3について

 現行の要介護認定等では、訪問調査等により把握した要介護認定等の申請者の状態像に基づきコンピュータによる一次判定を行い、その後、法第十四条に規定する介護認定審査会(以下「介護認定審査会」という。)において一次判定の確定及び二次判定を行っているところであるが、平成十八年四月より施行されている法の改正により、状態の改善可能性の高い者に対し、その状態像に応じたより適切なサービスが提供されるよう、要介護状態等の区分の見直しを行い、介護保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成十八年厚生労働省令第三十二号)において、要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成十一年厚生省令第五十八号。以下「認定省令」という。)を改正し、新たに認定省令第二条に要支援一及び要支援二の区分を設けたところである。具体的には、同月以降、一次判定において要介護一相当と判定された者のうち、疾病や外傷等により心身の状態が安定していない状態である者又は認知機能や思考・感情等の障害により十分な説明を行ってもなお予防給付の利用に係る適切な理解が困難である状態である者を、認定省令第一条第一項第一号に規定する要介護一とし、これらの状態像に該当しない者を認定省令第二条第一項第二号に規定する要支援二としているところであり、こうした現行の基準は、平成十六年に開催された介護予防スクリーニング検討小委員会の議論等を踏まえて決定されたものであることから、適切であると考えている。
 認知症の取扱いを含め、要介護認定等に係る審査及び判定の平準化については、「介護認定審査会平準化マニュアル」を用いて、都道府県又は指定都市において、介護認定審査会の委員に対して、研修などを実施しているほか、市町村等の職員に対して、当該マニュアルの周知徹底を図っており、市町村等の職員により、必要に応じ、要介護認定等に係る申請者に対する適切な説明が行われているものと考えている。
 介護認定審査会の運営については、公平かつ公正に行われることが極めて重要であり、市町村において適切になされるべきものと考えているが、「審査経過」は原則として非公開とすべきと考えている。
 お尋ねの要介護認定等に係る「実態把握と検証」については、現在も、対象者の心身の状態等を勘案し、介護認定審査会で判断しているところであり、適正に実施されているものと考えているが、必要に応じ、「要介護認定適正化事業」等の中で要介護認定等の実態の把握及び検証に努めてまいりたい。
 お尋ねの「認定審査会の変更率」については、一次判定により要介護一相当とされた者について二次判定で要支援二と認定された率は、平成十八年度において、全国集計では三十八・二パーセントであり、お尋ねの「区分変更申請率」及び「行政不服審査請求の件数」については把握していない。

三の4について

 平成十八年四月より施行されている法の改正により、従来の要介護一相当の者がそのままの状態の場合には要介護一又は要支援二に認定されることになるが、要支援二に認定された者については、新規認定となるため、その有効期間については六月間となる。このため、有効期間が六月間となる者が増加したものと考えられる。

四の1について

 法第八条第四項に規定する訪問看護及び同条第二十四項に規定する介護老人福祉施設(以下「介護老人福祉施設」という。)以外のサービスにおける「看取り加算」の創設については、各サービスごとの利用者へのターミナルケアの実施状況等も見極めながら、社会保障審議会介護給付費分科会における十分な御議論を踏まえ、検討してまいりたい。

四の2について

 お尋ねの平成十八年四月の介護報酬改定による介護サービス事業者の経営への影響等の実態については、本年十月に実施する「介護事業経営概況調査」等の中で把握してまいりたい。
 また、平成十八年十一月における「介護給付費実態調査」によると、同月の訪問介護の算定件数に対する特定事業所加算の算定割合は約○・五パーセント、居宅介護支援の算定件数に対する特定事業所加算の算定割合は約○・一パーセント、居宅介護支援の算定件数に対する特定事業所集中減算の算定割合は約四・五パーセントとなっている。
 さらに、厚生労働省の実施した「平成十七年賃金構造基本統計調査」によれば、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」の労働条件については、平成十七年度の「きまって支給する現金給与額」は一月当たり二十六万七千四百円、「所定内実労働時間数」は一月当たり百六十七時間、「超過実労働時間数」は一月当たり四時間、「勤続年数」は七・七年、「年齢」は四十三・九歳となっているが、「平成十八年賃金構造基本統計調査」によれば、平成十八年度の「きまって支給する現金給与額」は一月当たり二十六万三百円、「所定内実労働時間数」は一月当たり百六十八時間、「超過実労働時間数」は一月当たり四時間、「勤続年数」は六・九年、「年齢」は四十四・四歳となっている。

四の3について

 居宅介護支援は、介護支援専門員が法第八条第二十一項に規定する居宅サービス計画(以下「居宅サービス計画」という。)の作成の過程を通じて利用者に最も効果的にサービスが提供されるよう支援を行うものであり、居宅サービス計画の作成後、当該計画に沿ってサービスの利用が行われるものである。
 このように、居宅介護支援は具体的なサービスを利用するための必要な手段となることから、利用者負担が設定されていないものである。

五の1について

 三の2及び3についてで述べたとおり、平成十八年四月において要介護認定等に係る区分の見直しを行い、要支援一及び要支援二の認定者において法第五十五条第一項に規定する介護予防サービス費等区分支給限度基準額を新たに設定したところであるが、当該基準額の水準については、要支援者の利用が見込まれる標準的な法第八条の二第一項に規定する介護予防サービス(以下「介護予防サービス」という。)の利用例を設定し、その中で最も高い水準としたものであり、適切であると考えている。
 また、法第四十三条第一項に規定する居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の水準については、介護保険制度の開始に当たって、法第七条第三項に規定する要介護者(以下「要介護者」という。)の利用が見込まれる標準的な居宅サービスの利用例を設定し、その中で最も高い水準としたものであり、また、支給限度額に対する利用率も支給限度基準額に達していない場合が多いことから、平成十八年四月の介護報酬の改定に際しては、現状を維持することを適切としたものである。

五の2について

 介護保険制度においては、サービスを利用する者の負担能力に応じて、月々の利用料である一割の自己負担の上限額の軽減を行う等低所得者でも必要なサービスを利用できるよう配慮しているところであり、平成十三年八月において、約八万人の利用者について、所得段階別の支給限度額に対する利用率を調査したところ、所得段階による大きな差は見られなかった。また、要介護認定を受けながらサービスを利用していない者について、平成十三年から平成十六年までにかけて仙台市等の一部の保険者がその理由を具体的に調査した結果によれば、「利用料が支払えないこと」を挙げている者は少数であった。
 こうしたことから、新たに御指摘の実態調査を実施することは考えていない。

六の1について

 高齢者が住み慣れた地域で、安心してその人らしい生活を継続することができるようにするためには、介護サービスをはじめ、様々なサービスが高齢者のニーズや状態の変化に応じて、切れ目なく提供される必要がある。地域包括支援センターは、こうした高齢者の生活を支える役割を果たす中核的機関として設置されたものであるが、地域包括支援センターに配置されている主任介護支援専門員(介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第百四十条の五十二第二号ハに規定する主任介護支援専門員をいう。以下同じ。)が、居宅介護支援事業所等の介護支援専門員に対して、その抱える困難事例の解決に向けた支援や日常的な業務を行う上での相談を行うこと等により、適切な居宅介護支援等の実施が図られ、高齢者等への適切な支援につながっているものと考えている。
 今後、地域包括支援センターの施行状況の把握等を通じ、主任介護支援専門員の新設の効果について必要な状況の把握に努めてまいりたい。

六の2について

 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に基づく介護扶助については、同法の目的である「最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」が重要であり、そのため、専門的知識を有する者が被保護者の要介護又は要支援の程度に応じて介護保険の保険給付の範囲内において最も効果的な介護扶助の内容を検討した上で実施することが適当であることから、同法第五十四条の二第一項の規定により指定を受けた機関が作成した同法第十五条の二第三項に規定する居宅介護支援計画又は同条第六項に規定する介護予防支援計画に基づき行うものに限っているところである。

六の3について

 平成十八年四月より施行されている法の改正においては、従来の居宅介護支援に関し、介護予防サービス及び法第八条の二第十四項に規定する地域密着型介護予防サービスを効果的に実施するとともに、中重度者への支援を強化する観点から、要介護者に対する居宅介護支援と要支援者に対する介護予防支援を行う機関を分離し、要支援者に対する同条第十八項に規定する介護予防サービス計画(以下「介護予防サービス計画」という。)については、地域包括支援センターが法第五十八条第一項に規定する指定介護予防支援事業者(以下「指定介護予防支援事業者」という。)として作成することとするとともに、要介護者に対する居宅サービス計画の作成については、従来と同様に居宅介護支援事業所が、引き続き居宅サービス計画の作成を担うこととしたところである。
 また、地域包括支援センターは、介護予防サービス計画の作成の一部を、法第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援事業者(以下「指定居宅介護支援事業者」という。)に対し委託することができることとされているが、介護予防支援の質の向上の観点から、委託件数について介護支援専門員一人当たり八件との上限を設けたところである。
 厚生労働省としては、介護予防支援は、指定介護予防支援事業者たる地域包括支援センターにおいて行われるべきものであると考えているが、一部の市町村において新たな制度に対応する体制の整備が追いついていない状況が生じていたことから、従来の居宅介護支援から新たな介護予防支援へのより円滑な移行が行われるよう、①地域包括支援センターの委託件数の上限の規制の適用を本年三月まで猶予し、その間、指定居宅介護支援事業者の介護支援専門員が対応できること、②離島等のへき地に住所を有する利用者については、委託件数の上限の規制を適用しないこと、③市町村に地域包括支援センターの体制整備を指導し、その整備の状況を全国会議などを通じて把握するとともに、体制整備の推進方策等に関する自治体間の意見交換の場を設けること、などの方策を講じてきたところである。

七について

 御指摘の「介護保険と医療保険を組み合わせた給付」の趣旨は必ずしも明らかではないが、介護保険と医療保険を合わせて受給している事例は多種多様に存在していることから、実態把握の必要性の有無及びその方法については、慎重に検討する必要があると考えている。
 また、お尋ねの「介護給付費適正化事業」については、介護給付適正化担当者会議を通じて、介護給付を必要とする受給者を適切に認定した上で、受給者が真に必要とするサービスを、介護サービス事業所及び施設がルールに従って適正に提供するよう、都道府県及び市町村に対して周知しているところであり、適切な指導に努めているところである。
 なお、「「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」及び「身体介護が中心である場合」の適用関係等について」(平成十五年五月八日付け老振発第○五○八○○一号・老老発第○五○八○○一号)において通知しているとおり、院内介助は、基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであると考えており、適正にサービスが提供されるよう、今後とも、指導してまいりたい。

八の1について

 地域包括支援センターについては、本年一月一日時点で、三千五百二十四箇所が設けられ、平成十八年十二月末の第一号被保険者数と比較すると第一号被保険者数約七千五百人当たり一箇所となっており、市町村の約九割で設置されているところである。
 厚生労働省としては、今後の介護予防支援の需要の増加に対応するためには介護予防支援の安定的な実施体制を確保することが必要であることから、六の3についてで述べたとおり、様々な方策を講じてきたところであるが、今後とも地域包括支援センターの体制整備の推進に努めてまいりたい。
 平成十八年度の国から市町村へ交付される地域支援事業交付金のうち、介護予防事業(法第百十五条の三十八第一項第一号に掲げる事業をいう。以下同じ。)に対する交付額は六十四億円、包括的支援事業(同項第二号から第五号までに掲げる事業をいう。以下同じ。)及び任意事業(同条第二項各号に掲げる事業をいう。)に対する交付額は三百十六億円であり、これらの事業に対する資金投与による効果の具体的検証については、今後、検証方法も含め研究してまいりたい。

八の2について

 お尋ねの地域包括支援センターにおける地域ケアシステムの構築状況と総合相談機能の実態把握、三職種の業務実態と専門性による効果の検証などについては、地域包括支援センターの施行状況の把握等を通じ、必要な状況の把握に努めてまいりたい。

八の3について

 地域包括支援センターは、最も効果的及び効率的に運営することができるよう、市町村の判断で担当の圏域を定めることとされているが、介護予防支援に関しては、基礎的自治体である市町村が自ら実施する他のサービスとの連携も含め、その住民に対し責任を持って介護予防支援を行うことが介護予防サービスを実施する上で効果的であることから、市町村が設置ないし市町村から包括的支援事業の実施の委託を受けた事業者が設置した地域包括支援センターが指定介護予防支援事業者として作成することとしたものであり、被保険者への効果的な支援につながるものであると考えている。
 なお、指定介護予防支援事業者たる地域包括支援センターは、介護予防サービス計画の作成の一部を、指定居宅介護支援事業者に委託することも可能である。

八の4について

 地域包括支援センターが介護予防支援を提供するに当たっては、指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十七号)に基づき、要支援認定を受けている利用者が要介護認定を受けた場合には指定居宅介護支援事業者と当該利用者に係る必要な情報を提供する等の連携を図ることや利用者に対する支援が連続性及び一貫性を持って行われるよう配慮することとされているところであり、今後とも必要に応じ、市町村を通じ指定介護予防支援事業者に対する指導等に努めてまいりたい。

九の1について

 特定高齢者(要支援状態又は要介護状態(以下「要介護状態等」という。)になるおそれの高い高齢者をいう。以下同じ。)を対象とした介護予防事業については、参加者数が見込みよりも少なく、当初の特定高齢者の決定基準で事業を継続した場合には、介護予防事業の効果が十分に見込めない可能性があったことから、本年四月に特定高齢者の決定基準を緩和する見直しを行ったところである。
 従来の特定高齢者の決定基準に該当する者については、見直し後の決定基準においても特定高齢者であり、市町村に対しては、特定高齢者の把握率と介護予防事業への参加を促す努力を求めることにより、御指摘のような「当初想定されていた特定高齢者が対象から除外、放置される可能性が高い」といった事態が生じないよう努めてまいりたい。

九の2について

 お尋ねの「要支援認定者への給付」は、状態の維持・改善可能性の高い方を対象にできる限り状態が悪化しないよう、支給限度額の範囲内において、介護予防支援に沿って必要な介護予防サービスの給付を行うものであり、介護予防事業に対する費用が増加することとは無関係であることから、御指摘のような「要支援認定者への給付が全般的に抑制される」ことはないと考えている。
 なお、介護保険法施行令により、介護予防事業の費用は、市町村介護保険事業計画に定める介護保険給付費見込額の二パーセント以内(平成十九年度については一・五パーセント以内)と規定されているところである。

九の3について

 平成十八年四月より施行されている法の改正においては、できる限り要介護状態等にならないようにするため、又は、要介護状態等になる前からの介護予防を推進するため、介護予防サービスや介護予防事業を創設したところであるが、これらの効果については、現在、分析及び評価に向けた取組を行っている。
 具体的には、本年一月から全国の八十三市町村において、介護予防サービスや介護予防事業のサービスを受けた高齢者の心身の状態や活動状況等のデータを収集する継続的評価分析支援事業を実施するとともに、これらのデータを基に、厚生労働省においてこれらの高齢者の心身の状態や活動状況等の変化の分析及び評価を行う継続的評価分析等事業を実施しており、平成二十年秋頃に、中間報告を取りまとめ、公表する予定である。
 また、介護予防事業における特定高齢者施策において実施されるプログラムの対象者総数は、現在、集計中であり、現時点においては、把握していない。

十の1について

 九の3についてで述べたとおり、介護予防サービスや介護予防事業のサービスを受けた高齢者の心身の状態や活動状況等の変化の分析及び評価を行い、平成二十年秋頃にその中間報告を公表する予定である。
 また、お尋ねの「選択的メニューの実施事業者数」については、本年三月時点では、法第八条の二第七項に規定する介護予防通所介護において、運動器機能向上加算の算定体制を届け出た事業所数は九千八百六十五箇所、栄養改善加算の算定体制を届け出た事業所数は二千七百七十一箇所、口腔機能向上加算の算定体制を届け出た事業所数は七千百五十三箇所であり、同条第八項に規定する介護予防通所リハビリテーションにおいて、運動器機能向上加算の算定体制を届け出た事業所数は五千四百九十三箇所、栄養改善加算の算定体制を届け出た事業所数は三千九百十六箇所、口腔機能向上加算の算定体制を届け出た事業所数は四千三百四十一箇所である。

十の2について

 本年二月末現在の要支援一と要支援二の認定者数の合計は九十七万八千九百七十五人、同月の介護予防サービスの利用者数は六十一万百人で、これらを除して得た要支援認定を受けた者に対する介護予防サービス利用者数の割合は約六十二・三パーセントであり、一概に低いとは言えず、現時点において、お尋ねの現状を把握することは予定していない。
 なお、(一)の御指摘については、六の3についてで述べたとおりの方策を講じてきたところである。また、(二)の御指摘については、地域包括支援センターの職員の資質の向上を図るため、都道府県等において初任者への研修や介護予防支援に関する研修を実施しているところであり、今後とも職員の資質の向上に努めてまいりたい。さらに、(三)の御指摘については、平成十八年四月に福祉用具のサービス利用の適正化を図る見直しを行ったところであるが、その結果、要支援者の中で福祉用具を必要とする状態であるにもかかわらず、当該福祉用具の利用について保険給付の対象とならない一部の事例が指摘されたため、同年十一月、都道府県を通じて福祉用具の利用が必要な要支援者の事例調査により実態把握を行い、専門家による検討を踏まえ、本年四月より、疾病などの原因により頻繁に状態が変動する場合等について、一定の手続を経て給付の対象とするなど、運用の一部の見直しを行ったところであり、今後とも必要な給付が行われるよう、努めてまいりたい。

十の3について

 介護予防訪問介護の利用に関しては、本人の状況等を勘案しながら、本人、地域包括支援センター、介護予防訪問介護事業者の三者が話し合い、適切な介護予防支援が行われ、それに基づいて必要な支援の内容とサービス提供量が決められるものであり、必要なサービスの利用等が制限されるものではないと考えているが、今後とも、介護予防訪問介護が適切に行われるよう、指導に努めてまいりたい。
 また、御指摘の介護予防訪問介護の評価などの点については、九の3についてで述べたとおり、検証を行ってまいりたい。

十一の1について

 訪問介護の生活援助の対象については、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第十九号)において、「単身の世帯に属する利用者又は家族若しくは親族(以下「家族等」という。)と同居している利用者であって、当該家族等の障害、疾病等の理由により、当該利用者又は当該家族等が家事を行うことが困難であるもの」としているところであり、お尋ねの「ケース別の具体的定義」や「「同居」の定義」に関しては、この基準の趣旨に沿って、個々の実態に応じて市町村において適切に判断されるべきものと考えている。
 また、お尋ねの利用実態については、把握していない。

十一の2について

 七についてで述べたとおり、院内介助は、基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであると考えている。また、お尋ねの医療機関との連携については、要介護者に対する指定居宅介護支援において、医療サービスとの連携に十分に配慮して行うこととされているところであり、今後とも利用者にとって自立した日常生活の支援のために必要なサービスの提供が可能となるよう、必要な指導に努めてまいりたい。

十二の1について

 地域密着型サービスについては、市町村が市町村介護保険事業計画において日常生活圏域におけるサービス量の見込みを定めるものの、住民は日常生活圏域にとらわれることなく、市町村内の指定を受けた事業所から地域密着型サービスの提供を受けることができるほか、事業所の所在地の市町村の同意を得て、当該市町村以外の市町村が事業所の指定を行うことも可能であり、今後事業所数が増加すれば、利用者が複数の事業所の中から選択することも可能な仕組みとしている。
 なお、地域密着型サービスの指定は、被保険者を含め、学識経験者、保健医療関係者等、介護サービスに関わる関係者が集まる介護保険事業計画作成委員会などの意見を反映させて、行われることになっているほか、市町村は、指定を受けた事業所に対して、立ち入り等を含め、適切な指導及び監督を行うこととなっており、こうしたことを通じて、サービスの質の確保が図られる仕組みとなっている。

十二の2から4までについて

 認知症高齢者のケアの充実については、認知症への対応を行う医療や介護に従事する者に対する研修等を通じて、ケアの質の向上に取り組んでいくことが必要であると考えている。認知症高齢者のケア体制については、認知症ケアが必要な者に行き届くような基盤整備が重要だと考えており、市町村ごとに作成する介護保険事業計画等に基づいて地域密着型サービスの整備に引き続き取り組むことが必要であると考えている。さらに、認知症高齢者やその家族が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、「認知症サポーター」の養成等を通じて認知症の理解の普及や家族に対する支援など地域の実情に応じた取組を行うことが必要であると考えている。
 また、法第八条第十七項に規定する小規模多機能型居宅介護(以下「小規模多機能型居宅介護」という。)の介護報酬については、認知症高齢者を積極的に受け入れている場合など、厚生労働大臣が認めた場合には、市町村が独自に高い介護報酬を設定することも可能であるが、いずれにせよ、小規模多機能型居宅介護及び同条第十八項に規定する認知症対応型共同生活介護(以下「認知症対応型共同生活介護」という。)の介護報酬の在り方については、社会保障審議会介護給付費分科会における議論を踏まえつつ、本年十月に実施する「介護事業経営概況調査」等の結果を待って検討してまいりたい。
 なお、認知症対応型共同生活介護の利用者については、他のサービスの利用者と同様に、食事や居住に要する費用は自ら負担していただくこととしており、その家賃などをいわゆる補足給付の対象とすることは考えていない。

十三について

 厚生労働省としても、介護職員や看護職員の人材確保については重要な課題であると考えており、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)及びこれに基づく社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針(平成五年厚生省告示第百十六号)や看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)及びこれに基づく看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針(平成四年文部省・厚生省・労働省告示第一号)を踏まえ、それぞれ人材確保のための取組を進めている。
 介護職員の現状については、訪問介護員の養成数や介護福祉士の資格取得者数及びこれらの就業者数等について把握するとともに、介護サービス事業所における教育・研修の実施状況や退職理由などについて、例えば財団法人介護労働安定センターや社団法人日本介護福祉士会の調査等により把握に努めているところである。また、看護職員の現状については、資格取得者数及び就業者数等について把握するとともに、都道府県等における研修等の実施状況について報告を受けている。また、退職理由等について、例えば社団法人日本看護協会による調査を通じて把握に努めているところである。
 今後とも、これらの機会を通じて現状の把握に努め、人材確保のための施策を進めることとしており、現時点において、全国的な実態調査を行う予定はない。

十四について

 介護給付費実態調査によると、御指摘の軽度者における車いす及び特殊寝台については、平成十七年十月サービス提供分と平成十八年十月サービス提供分を比較すると、車いすは約七万件の減少、費用額は約六億円の減少であり、特殊寝台は約二十六万件の減少、費用額は約三十五億円の減少である。また、お尋ねの利用者の動向については、介護報酬の請求件数について平成十八年十月と本年三月を比較すると、車いす及び特殊寝台はそれぞれ約一万件の減少となっている。
 お尋ねの本年四月以降の利用状況は、把握していない。

十五の1及び2について

 厚生労働省において、平成十七年十月以降の法第八条第二十二項に規定する介護保険施設(以下「介護保険施設」という。)の退所者に係る調査を独自に行っている自治体の結果を平成十八年八月に取りまとめた調査結果によると、調査時期等については各自治体により異なるが、二十四県及び四十四市区町の合計六十八自治体における介護保険施設の入所定員を単純合計した人数は、全国の介護保険施設の入所定員合計の約四割に相当する三十三万三千八百四人であり、そのうちの退所者数を単純合計した人数は千三百二十六人であり、この入所定員に対する比率は、○・四パーセントである。この退所者数は、県と市区町の調査により重複しているほか、在宅復帰施設である法第八条第二十五項に規定する介護老人保健施設(以下「介護老人保健施設」という。)からの退所者数の割合が約八割を占めている。また、退所者ごとの状況を具体的に把握した三県及び十七市区町の二十自治体の調査を分析した結果、退所後の移転先としては、介護保険施設から家族が同居している自宅へ転居した事例、特別な室料として高い利用料が設定されている施設から利用料の安い施設に移った事例等であり、当該自治体の調査の退所事例について申し上げれば、介護保険施設でサービスを受ける必要があるにもかかわらず、食費及び居住費の負担の見直しに伴い退所せざるを得ない事例ではなく、介護の必要の程度、家族の状況、居宅サービスの利用に関する状況等を総合的又は合理的に判断した結果、退所した事例であると考えている。
 厚生労働省においては、特別養護老人ホームの待機者数及び経済的理由により入所できない者の数を把握していないが、平成十七年十月の介護保険施設における食費及び居住費の見直しに当たっては、低所得者にとって過重な負担とならないよう、所得に応じた負担限度額を設けることなどにより、その負担の軽減を図る措置を講じており、今後とも適切に対応してまいりたい。

十五の3について

 平成二十三年度末をもって介護療養型医療施設が廃止されることに併せて、療養病床全体について再編成に取り組むこととしており、療養病床は医療の必要性が高い患者を受け入れるものに限定し、医療保険で対応するとともに、医療の必要性の低い者を受け入れている療養病床を介護老人保健施設等に転換することとしている。
 また、療養病床の介護老人保健施設等への具体的な転換状況については、現在のところ把握していないが、平成十八年十月に療養病床の転換意向を調査した結果、医療療養病床への転換意向を有する療養病床は約四十九・六パーセント、一般病床への転換意向を有する療養病床は約五・二パーセント、介護療養病床への転換意向を有する療養病床は約三・九パーセント、介護老人保健施設への転換意向を有する療養病床は約八・五パーセント、介護老人福祉施設への転換意向を有する療養病床は約○・三パーセントであり、約三十パーセントの療養病床の転換意向が未定であった。
 さらに、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第二条第三項の規定に基づき設置された介護施設等の在り方に関する委員会において、療養病床から転換した介護老人保健施設を対象に、夜間の看護体制や入所者の看取りへの体制を整備する等の医療機能を強化した介護老人保健施設を創設する旨の転換支援策の取りまとめが本年六月二十日に行われたところであり、当該施設の介護報酬や人員配置基準の設定等については、今後、社会保障審議会介護給付費分科会において御議論いただいた上、適切に対応することとしているが、いずれにせよ、医療ニーズの高い利用者への適切なサービス提供体制の整備に努めてまいりたい。

十六の1について

 介護老人福祉施設については、平成十四年八月に指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十九号)を改正し、介護の必要性の程度及び家族等の状況を勘案し、介護老人福祉施設におけるサービスを受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるように努めなければならないとする旨の規定を設けたところであるが、その必要性を判断する際は、入所申込者の要介護度のみでなく、単身世帯か否か、同居家族が高齢又は病弱か否かなどの状況を勘案するよう都道府県を通じ、管内市町村、関係団体等に周知を図っているところである。

十六の2について

 平成十八年四月より施行されている法の改正は、法の目的である高齢者等がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するとの視点から、介護予防サービスや介護予防事業を創設するなどの見直しを行ったものであり、改正の前後を通じて、引き続き必要なサービスを確保することとしていることから、家族介護者の負担が過重なものになるとは考えていない。介護放棄などの高齢者虐待の状況については、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成十七年法律第百二十四号)が平成十八年四月から施行されており、同法に基づいて、都道府県及び市町村における平成十八年度の対応状況について、現在、調査を実施しているところである。介護支援専門員による支援困難の事例については、様々なものが考えられるが、支援困難の事例を抱える介護支援専門員に対しては、地域包括支援センターが支援することとしており、必要に応じ、同センターの取組状況等の把握を行うこととしている。介護休業の実態については、女性雇用管理基本調査で把握しているところである。今後とも介護者の負担も含め、高齢者介護の実態把握に努めてまいりたい。

十七について

 介護サービス情報の公表制度は、利用者等と事業者との対等な関係を構築し、利用者等の選択を通じてサービスの質の向上を図る観点から制度化され、平成十八年四月から、サービスの種類に応じて順次実施しているところであり、その実施状況を踏まえながら、必要に応じ、その効果と課題の検証について検討してまいりたい。

十八の1について

 御指摘の事務連絡の内容については、その発出後に内容の変更及び追加は行っていない。

十八の2について

 お尋ねの数値については、把握していない。
 なお、本年五月末現在の株式会社コムスンの法第四十一条第一項に規定する指定居宅サービス、法四十二条の二第一項に規定する指定地域密着型サービス及び法第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援の指定を受けている事業所数は、都道府県からの報告によると二千八十一事業所であり、指定更新の期限が到来する事業所数は、平成二十年度中に六百五十七事業所、平成二十一年度中に三百六十五事業所、平成二十二年度中に三百三十九事業所、平成二十三年度中に二百九十四事業所であると承知している。

十八の3について

 株式会社コムスンの事業所の指定更新の時期は早くても平成二十年四月以降に到来するため、それまでの期間においては、介護サービス事業者として、介護保険関係法令に基づき、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならず、また、サービスの提供が困難な場合には、他の事業者等の紹介その他の必要な措置を講じなければならないなどの義務が課せられていることから、全国の自治体に対し、同社の各事業所に対して、介護サービス事業者として法令を遵守し、指定更新時期の到来までの間は利用者の求めに応じてサービスを提供するよう適切に指導する旨、「株式会社コムスンの不正行為への対応等について」(平成十九年六月六日付け老総発第○六○六○○一号・老計発第○六○六○○一号・老振発第○六○六○○一号・老老発第○六○六○○一号)により通知したところである。

十八の4について

 株式会社コムスンの事業所の指定更新の時期が順次到来する平成二十年四月以降において、利用者がサービスを引き続き利用することができるよう、全国の自治体に対し、同社の各事業所に対して、サービス利用の移行のための計画を作成させ、適切に履行させるなどの必要な指導を行うよう「株式会社コムスンの不正行為への対応等について」により通知している。
 また、各自治体において地域包括支援センターなどを活用して、利用者からの相談に応じることや、他の事業者との調整を行うなど、利用者のサービスの確保に努めることを求めている。
 厚生労働省としては、利用者のサービスの保護のために、利用者の代替サービスを確保することが最優先の課題と考えており、「介護サービス利用者保護・不正防止対策本部」を設置し、利用者のサービス確保や不正行為に対する再発防止のための対策を検討している。今後とも、自治体と連携を図りながら、利用者保護のための対策に万全を期してまいりたい。

十八の5について

 株式会社コムスンの従業者の雇用については、同社が本年七月末までに作成する事業移行計画において、利用者のサービス確保を図りつつ、雇用の確保についても配慮するよう、同社に対して指導したところである。

十八の6について

 お尋ねの検討の場については、法律、経営、地方行政及び利用者保護に知見を有する者の中から、厚生労働省老健局長が委嘱した有識者から成る「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」を設けたところであり、不正事案の再発を防止し、介護事業運営の適正化を図るために必要な措置等について検討していただくこととしている。