質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一六六第二八号
  平成十九年四月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員大田昌秀君提出SACO最終報告及び在日米軍再編に伴う基地返還計画との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大田昌秀君提出SACO最終報告及び在日米軍再編に伴う基地返還計画との関係に関する質問に対する答弁書

一について

 「沖縄に関する特別行動委員会」(以下「SACO」という。)の最終報告の「土地の返還」の項で示された施設のうち、安波訓練場、楚辺通信所及び読谷補助飛行場については、全部返還されている。SACO最終報告において「マイクロ・ウェーブ塔部分(約〇・一ヘクタール)は、保持される。」とされている瀬名波通信施設については、当該部分を除き返還されている。また、「大部分(約九十九ヘクタール)を返還する。」とされているキャンプ桑江については、その一部が返還され、普天間飛行場、北部訓練場、ギンバル訓練場、牧港補給地区、那覇港湾施設及びキャンプ瑞慶覧については、いまだ返還に至っていないものであり、一部返還又は未返還の理由は、代替施設の建設工事が完了していないことや、関係機関との調整を行っていることである。
 また、右に述べた一部返還又は未返還の施設のうち、キャンプ桑江、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇港湾施設及びキャンプ瑞慶覧については、平成十八年五月一日の日米安全保障協議委員会の際に発表された「再編実施のための日米のロードマップ」(以下「ロードマップ」という。)の「土地の返還及び施設の共同使用」の項において、返還の候補施設として示されている。その理由については、当該施設が嘉手納飛行場以南の人口が集中している地域に所在しており、在日米軍施設及び区域が集中する沖縄県の負担軽減等を勘案した結果、当該施設を返還の候補施設としたものである。

二について

 お尋ねの「返還跡地整備」に「要した費用」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、防衛施設庁においては、平成九年度から平成十七年度までの間に、在日米軍の施設及び区域の返還後に跡地が有効利用できるよう、不要な建物及び工作物の撤去、在日米軍の使用に起因する土壌等の汚染の蓋然性があると判断された土地における汚染の有無の調査及び汚染が発見された場合の処理並びに在日米軍の使用に起因する土地の形質変更について、工事の実施、権利者への補償等の措置(以下「原状回復等の措置」という。)に要した費用として約三千万円を支出したところである。また、「施設周辺調整交付金や民生安定事業等に要した費用」として、平成九年度から平成十七年度までの間に、約千四百六十八億円を支出したところである。
 なお、平成十八年度予算において、右に述べた費用として、それぞれ約三十八億円及び約八十九億円を計上しているところであるが、支出額については、確定していないことからお答えすることは困難である。
 お尋ねの「今後実施する事案の予定とそれに係る経費の見通し」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、防衛施設庁においては、平成十九年度予算において、原状回復等の措置に係る経費については計上しておらず、また、「施設周辺調整交付金や民生安定事業等」に係る経費について、特定防衛施設周辺整備調整交付金に要する経費として約二十一億円、民生安定施設の助成に要する経費として約五億円、住宅の防音工事に要する経費として約六億円、移転の補償等に要する経費として約三億円、その他の周辺対策等に要する経費として約二億円を計上しているところである。

三について

 お尋ねの「SACO最終報告とロードマップとの関係」の意味するところが必ずしも明らかではないが、土地の返還については、ロードマップにおいて「SACO最終報告の着実な実施の重要性を強調しつつ、SACOによる移設・返還計画については、再評価が必要となる可能性がある。」とされている。
 また、ロードマップの作成に至るまでの在日米軍の兵力態勢の再編に係る日米間の協議において、在日米軍施設及び区域が集中する沖縄県の負担軽減等を勘案した結果、嘉手納飛行場以南の人口が集中している地域に所在している施設について、ロードマップにおいて返還の候補施設としたものである。
 土地の返還に関する措置を含めロードマップに盛り込まれた再編関連措置については、平成十八年五月三十日に閣議決定された「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」において、「着実に実施していくものとする。」とされている。