質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第二四号

内閣参質一六六第二四号
  平成十九年四月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員荒井広幸君提出スマートインターチェンジの許可基準及び整備手順の明確化等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員荒井広幸君提出スマートインターチェンジの許可基準及び整備手順の明確化等に関する質問に対する答弁書

一について

 スマートインターチェンジ(地方公共団体が主体となって発意し、高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第十一条の二第一項の規定に基づき連結許可を受けた同法第十一条第一号の施設で、道路整備特別措置法施行規則(昭和三十一年建設省令第十八号)第十三条第二項第三号のETC専用施設が設置され、同号のETC通行車のみが通行可能なインターチェンジ。以下「スマートIC」という。)の設置の手続については、地方公共団体が「スマートインターチェンジ(スマートIC)[SA・PA接続型]制度実施要綱」(平成十八年七月十日国道有第二十八号国土交通省道路局長通知。以下「実施要綱」という。)に基づき、高速自動車国道法第十一条の二第一項の規定に基づく許可(以下「連結許可」という。)の申請を行った場合に、国土交通大臣が同条第二項の規定に基づき許可を行うものである。当該手続においては、御指摘の要望や陳情は必要ではなく、また、たとえこれらがあったとしても、御指摘の「事業の採択を左右する」ようなことはない。

二及び六について

 国土交通省としては、スマートICの設置の手続については、実施要綱に基づき支障なく進められているものと認識しているが、地方公共団体等から特段の要望等があれば、より具体的なガイドラインの作成等について、その必要性を含め、検討してまいりたい。

三及び四について

 スマートICの社会実験は、本格導入である設置に先立って、その効果や整備及び運営上の課題を事前に把握することを目的として行われるものであり、社会実験の透明性及び客観性を確保する観点から、御指摘の「時間短縮効果、地域施設の利活用、医療施設へのアクセス改善等」の社会実験において確認された効果について幅広く公表しているものである。
 社会実験を踏まえてスマートICを設置するに当たって、スマートICの整備に要する事業費並びに管理及び運営費用とスマートICの設置による目的地までの走行時間短縮、走行経費減少及び交通事故減少の便益の総和との比である費用対便益が一以上であることを社会的便益に係る数値的判断基準としている。また、スマートICの設置により、会社(道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第二条第四項に規定する会社をいう。以下同じ。)が支出する当該スマートICの管理及び運営費用が、料金の増収の範囲内であると見込まれることも数値的判断基準としている。

五について

 スマートICの社会実験については、地方整備局若しくは北海道開発局又は沖縄総合事務局(以下「地方整備局等」という。)、地方公共団体、会社その他の関係機関で構成される社会実験協議会により、社会実験の内容等がウェブサイト、報道機関等を通じて公表されているところであり、整備段階での透明性及び客観性は確保されているものと考えている。

七について

 地区協議会の開催手続、具体的な運営方法等については、地区協議会の構成員となる地方公共団体、地方整備局等、会社その他の関係機関の間で検討されて調整されることとなる。

八について

 地区協議会を設置するに当たって、地区協議会で検討及び調整される事項について、どの程度まで地方公共団体が主体的にあらかじめ調査しておくかは、発意者である地方公共団体において主体的に判断されるべきものであると考えている。

九について

 地方整備局等は、会議の議事進行、資料の調製、連絡調整等を行っている。

十について

 一についてで述べたとおり、スマートICの設置に当たっては連結許可が必要であり、連結許可に当たっては、連結位置及び連結予定施設、連結を必要とする理由、連結のために必要な工事に要する費用の概算額等、高速自動車国道法施行規則(昭和四十六年建設省令第十九号)第二条第一号から第五号までに掲げる事項について審査しているところである。
 また、連結許可の申請から連結許可までに通常要すべき標準的な期間は、二か月間としている。

十一及び十二について

 連結許可は、高速自動車国道における自動車の高速交通を確保することができるかという観点からなされるものであり、スマートICが連結されることによる高速自動車国道の交通への影響を個別のスマートICごとに勘案してなされる必要がある。一方、会社と独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)との間で締結する協定(独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(平成十六年法律第百号)第十三条第一項に規定する協定をいう。)は、機構が高速自動車国道に係る道路資産の保有及び貸付け、債務の早期の確実な返済等を行うといった業務を適切に実施していくために会社と締結するものであり、連結許可とは異なる観点で行われるものである。
 また、連結許可に当たっては、道路整備特別措置法第三十条第一項第一号により、国土交通大臣は会社の意見を聴取することとなっており、個別に連結許可を行うことが、会社の自主性を阻害することとはならないものと認識している。

十三について

 平成十九年四月二十日時点で設置されているスマートICは全国で三十一箇所であり、これらのスマートICへ連結する道路の道路管理者はすべて地方公共団体となっている。

十四について

 スマートICの実施計画書は、スマートICの設置により十分な社会的便益が得られるかどうかという観点等についての地区協議会における検討及び調査を踏まえて策定されるものであり、また、連結許可は、高速自動車国道における自動車の高速交通を確保することができるかという観点から行われるものである。
 一方、道路の整備に係る補助金等は、地方公共団体の申請に基づき、予算の範囲内で、効率的かつ効果的な事業について交付するものであり、その際には、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第六条第一項に基づき補助事業等の目的及び内容が適正であるかどうか、金額の算定に誤りがないか等の観点で審査等を行うものであり、スマートICの実施計画書の作成や連結許可とは異なる観点で行われるものであるため、改めて審査が必要なものである。
 また、当該補助金等に係る具体的な基準については、公表しているところであり、個々の事業については、地方公共団体の申請に基づき、国土交通省において、当該基準に該当することを確認し、費用対効果分析を含め総合的な評価を行った上で、補助金等の交付を行っているところである。

十五について

 公共事業については、事業の効率性やその実施過程における透明性の一層の向上を図るため、新規事業の採択時等における評価システムを導入し、評価に当たっては、定量的及び定性的な評価を実施するとともに、評価手法、評価結果等を公表すること等により、透明性や合理性を確保するよう努めているところである。