質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一六六第二号
  平成十九年二月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員福山哲郎君提出視覚障がい者のための選挙公報の音声データ化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福山哲郎君提出視覚障がい者のための選挙公報の音声データ化に関する質問に対する答弁書

一について

 点字による選挙公報の発行を制度化することについては、従来から、各選挙管理委員会が選挙運動の期間中の限られた期間内に誤りなく点字による選挙公報を調製することができるか、その調製した選挙公報を視覚障害者に公平に配布することができるか等の技術的な問題があり、これを実現することは困難であると考えている。
 また、各選挙管理委員会が選挙公報の内容を朗読したものをテープに録音し、配布することについては、必ずしも選挙公報の全文が文章形式となっておらず、それを朗読する際には要約や原文の加工が必要となるため、公正の確保の観点から困難であると考えている。
 しかしながら、これまでも視覚障害者が公職の候補者又は名簿届出政党等の政策、公約等を知ることができるように、衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙が行われる都度、各都道府県の選挙管理委員会に対して、啓発活動の一環として公職の候補者の氏名、経歴等や名簿届出政党等の政見等を点字で掲載した「選挙のお知らせ版」を視覚障害者等に配布するように助言してきているところであり、平成十七年に執行された衆議院議員総選挙においては、すべての都道府県において配布されているものと承知している。

二の1及び4について

 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百六十九条第二項の規定により、都道府県の選挙管理委員会は、同法第百六十八条第一項の規定により申請のあった掲載文又は同法第百六十九条第一項の規定により送付のあった掲載文の写しを、原文のまま選挙公報に掲載しなければならないとされているところ、お尋ねの「写真・イラスト、文字の太字化・下線等による強調」についても、原文のまま選挙公報に掲載しなければならないものと考える。

二の2について

 お尋ねの「視覚障がい者」は、「写真・イラスト、文字の太字化・下線等による強調」について認識することができないものと考えている。

二の3について

 公職選挙法第百六十七条及び第百七十二条の二に規定する選挙公報に加えて、視覚障害者のための点字による選挙公報の発行を新たに制度化することについては、一についてで述べたとおり、困難であると考えており、啓発活動の一環として配布されている「選挙のお知らせ版」の普及及び内容の充実について、各選挙管理委員会に助言してまいりたい。また、憲法第三十一条は、刑罰や行政上の不利益処分を課す場合に、法定の手続を保障することを定めたものであり、お尋ねは、同条と関係がないものと考える。

三の1について

 各選挙管理委員会が選挙公報の内容を朗読したものをテープに録音し、配布することについては、一についてで述べたとおり、公正の確保の観点から困難であると考えている。

三の2について

 公職の候補者が録音した政見等を各選挙管理委員会が音声記録媒体に記録し当該音声記録媒体を希望者に配布することを制度化することについては、選挙運動の期間中の限られた期間内に、すべての音声記録媒体について、正確に記録されていることの確認も含め誤りなく調製できるか等の課題があると考えている。

三の3及び4について

 御指摘の「音声テープ化」について、公職の候補者が録音した政見等を各選挙管理委員会が音声記録媒体に記録し当該音声記録媒体を希望者に配布する場合における録音の順番を殊更問題としているものではない。

三の5について

 公職選挙法第百六十七条に規定する選挙公報は、同法第百六十九条第二項の規定により掲載文又はその写しを原文のまま掲載しなければならないとされているため、音声記録媒体による選挙公報を発行することはできないと考える。また、任意制選挙公報については、同法第百七十二条の二において、同法第百六十七条から第百七十一条までの規定に準じて条例で定めることと規定しているため、音声記録媒体による選挙公報を発行することとする条例の制定はできないものと考える。

三の6について

 各選挙管理委員会が、お尋ねの選挙公報を発行するためには、公職選挙法の改正が必要であると考える。