質問主意書

第166回国会(常会)

質問主意書


質問第五七号

司法試験考査委員による司法試験問題の事前漏えいに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年六月二十八日

前川 清成   


       参議院議長 扇 千景 殿



   司法試験考査委員による司法試験問題の事前漏えいに関する質問主意書

 司法試験考査委員である植村栄治慶応大学教授(以下「植村教授」という。)が、事前に司法試験の問題を、同教授の勤務する慶応大学の学生らに漏えいしていたとの疑惑が浮上している。国民から疑惑を持たれること自体、公正であるべき国家試験としてあってはならないことである。加えて、司法試験は、弁護士や裁判官、検察官になろうとする者の学識及び応用能力を判定する国家試験(司法試験法第一条)であり、司法試験に対する不信感は、国民の司法に対する不信感に直結し、司法に対する信頼を損なう。
 そこで、以下質問する。

一 政府は、植村教授による司法試験問題漏えい疑惑について、誰が、いかなる方法で、どこまで調査したか。また、その調査はいつまでに完了し、結果をいつ公表するのか。それぞれ明らかにされたい。

二 政府は、どのような経緯、理由で、植村教授を司法試験考査委員に任命したのか。また、任命に関する責任者は誰か。それぞれ明らかにされたい。

三 政府は、植村教授に対して、どのような処分を検討しているのか。また、司法試験考査委員の罷免は当然であるが、刑事告発等の厳正な処分は検討していないのか。それぞれ明らかにされたい。

四 政府は、不公正な受験指導が明るみとなった慶応大学法科大学院に対し、どのような処分を検討しているのか。また、仮に現時点での処分が困難であるならば、漏えいの事実、経緯等詳細が明らかになった時点では、どのような処分を検討するのか。それぞれ明らかにされたい。

五 植村教授が学内の施設で行われた勉強会で司法試験問題を漏えいしていたのであれば、慶応大学法科大学院の関与は否定できないのではないか。また、政府は、慶応大学に対する調査も進めているのか。それぞれ明らかにされたい。

六 万一、慶応大学法科大学院に対して厳正な処分を行わない場合、政府はいかにして不公正な受験指導に対するいわば「やった者勝ち」を阻止するのか明らかにされたい。

七 政府は、漏えいによって恩恵を受けた受験生が、他の受験生との間で不公正が生じないよう、どのように対処するのか明らかにされたい。

八 そもそも大部分の法律実務において行政法は必要ではないにもかかわらず、なぜ行政法が司法試験科目に加わっているのか明らかにされたい。また、この機会に司法試験科目の検証を行うべきではないかと考えるが政府の認識を示されたい。

九 植村教授以外の司法試験考査委員は、試験問題の事前漏えい等を行っていないのか明らかにされたい。

十 政府は、司法試験自体に対する疑惑払拭のためにいかなる措置を講ずるか明らかにされたい。

十一 そもそも当初の予定を大きく超えて、七十四校もの法科大学院が設立されたことが植村教授による司法試験問題漏えいの原因ではないかと考えるが、政府の認識を示されたい。

十二 七十四校もの法科大学院が設立された結果、法科大学院間の競争が激しくなり、学生が司法試験予備校に通う有様は、法科大学院を設置した際の法曹養成の理念を大きく損なっていると言わざるを得ないのではないか。また、政府による法科大学院設置許可に誤りはなかったか。それぞれ政府の認識を示されたい。

  右質問する。