質問主意書

第165回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三九号

内閣参質一六五第三九号
  平成十八年十二月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員峰崎直樹君提出道州制特別区域の設定による事務・事業の移譲及び憲法第九十五条に基づく住民投票等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員峰崎直樹君提出道州制特別区域の設定による事務・事業の移譲及び憲法第九十五条に基づく住民投票等に関する質問に対する答弁書

一について

 憲法第九十五条に規定する一の地方公共団体のみに適用される特別法とは、一般的には、特定の地方公共団体の組織、運営又は権能について他の地方公共団体とは異なる定めをする法律であると解されているところであり、政府としても同様に考えている。

二について

 自治事務及び法定受託事務は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱等を定めた地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第八項及び第九項に規定されており、ともに地方公共団体が処理する事務であるが、そのうち、自治事務とは法定受託事務以外のものをいい、法定受託事務とは国又は都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって国又は都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるものをいう。

三について

 国の事務又は事業について地方公共団体に権限を移譲し、当該事務又は事業が自治事務又は法定受託事務となることは、地方公共団体への権限の移譲に当たると考えている。

四について

 第百六十五回国会において成立した道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律(以下「道州制特別区域法」という。)第七条第二項第四号イからニまでに掲げる工事又は事業は、それぞれ当該イからニまでに規定する法律の規定により行われるものであり、同条の規定は、これらの法律の規定による国の行政機関の長の権限についての当該法律の規定の特例を定めるものではない。したがって、道州制特別区域法の規定によって同号イからニまでに掲げる工事又は事業について地方公共団体に権限の移譲は行われず、道州制特別区域法の制定に当たって、お尋ねの憲法第九十五条の規定による住民投票を実施する必要はないと考えている。

五について

 お尋ねの保安施設地区の指定については、平成十七年度においては、十二件の申請を受け、十二件の指定をしたところである。

六について

 法律の運用は、当該法律の規定に従い、適正に行っていく必要があると考えている。また、四についてでお答えしたとおり、道州制特別区域法第七条の規定は、同条第二項第四号イからニまでに掲げる工事又は事業について地方公共団体に権限を移譲することを規定したものではないことは明らかであると考えている。