質問主意書

第165回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二四号

内閣参質一六五第二四号
  平成十八年十一月二十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員紙智子君提出米軍再編にかかわる航空自衛隊千歳基地への米軍機の訓練移転に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出米軍再編にかかわる航空自衛隊千歳基地への米軍機の訓練移転に関する質問に対する答弁書

一及び五について

 御指摘の「実施要領」においては、航空機の離着陸の方向について、その基準を定めた上で、その変更に際しては他の管制官等との調整を経て決定する旨が定められているところ、これまでのその運用の実態としては、基本的に風上に向けて離着陸しているところであり、この定めについて所要の改定を行う必要があると考えているが、これにより「市街地への影響及び騒音がより増大する」とは考えていない。「実施要領」のその他の定めについては、現時点において、改定の必要性を含め検討中である。

二について

 御指摘の「実施要領」においては、自衛隊機及びアメリカ合衆国軍隊の航空機(以下「米軍機」という。)について、千歳飛行場の東西双方の滑走路が使用できる場合には、主として東側滑走路を指定する旨が定められており、この定めについて、現時点においては、改定する必要はないと考えている。
 また、西側滑走路を使用する場合の例としては、複数の自衛隊機又は米軍機が同時に着陸する場合等があるが、その使用頻度については、統計を作成しておらず、お答えすることは困難である。

三について

 今般の我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の兵力態勢の再編(以下「米軍再編」という。)に係る訓練移転に伴う日米共同訓練を実施する場合には、従来と同様に、主として東側滑走路を使用する考えであるが、御指摘の西側滑走路の使用頻度が増えるか否かについて、現時点においてお答えすることは困難である。

四について

 御指摘の「西側滑走路の南方延長線上の雑木林」が必ずしも明らかではないが、防衛庁において、平成十六年度及び平成十七年度に、東側滑走路に着陸する航空機のために設置した航空保安無線施設の運用上の障害を除去するために、同滑走路の南方に所在する立木を伐採しているところ、これは、御指摘のように西側滑走路の「着陸帯等施設用地として活用するためのもの」ではない。

六について

 今般の米軍再編に係る訓練移転に伴う日米共同訓練に参加する米軍機による千歳飛行場の使用の態様については、同訓練に参加する自衛隊機と同様とすることを考えている。

七及び八について

 政府としては、千歳飛行場周辺において「航空機騒音に係る環境基準について」(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)に定める環境基準が達成されていない地域があること等については認識しており、同飛行場周辺の航空機騒音により生ずる障害の防止等のため、消音装置の設置・使用、飛行方法への配慮等に努めるとともに、住宅防音工事に関する助成措置を始めとする各種の騒音対策を推進しているところであり、今後とも、同飛行場周辺の航空機騒音に係る環境基準が早期に達成されるよう努めていく考えである。
 また、今般の米軍再編に係る訓練移転に伴う日米共同訓練に当たっては、千歳飛行場における共同使用の合計日数及び一回の訓練の期間に関する制限を維持するなど、できる限り地元の負担が増えないよう配慮しつつ、平成十八年五月一日の日米安全保障協議委員会の際に発表された「再編実施のための日米のロードマップ」に従い、早期に訓練移転を実施できるよう努めていく考えである。

九について

 防衛施設庁では、防衛施設周辺地域において住宅防音工事を行っているところ、この住宅防音工事は、防衛施設周辺住宅防音事業工事標準仕方書に定める仕様に基づき、八十WECPNL(加重等価継続感覚騒音レベル)以上の区域に所在する住宅については二十五デシベル以上の、七十五WECPNL以上八十WECPNL未満の区域に所在する住宅については二十デシベル以上の計画防音量が確保されるよう設計・施工が行われており、工事完了後、その施工状況を確認しているところである。
 御指摘の「データ」について、千歳飛行場周辺の例をお示しすれば、昭和五十八年度に実施した調査で、八十WECPNL以上の区域に所在する住宅について、二十五デシベル以上の、七十五WECPNL以上八十WECPNL未満の区域に所在する住宅について、二十デシベル以上の防音量が確保されているとの結果が得られている。