質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四一号

北大西洋条約機構との軍事提携に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十二月十四日

喜納 昌吉   


       参議院議長 扇 千景 殿



   北大西洋条約機構との軍事提携に関する質問主意書

 北大西洋条約機構(以下「NATO」という。)は、本年十一月二十九日の首脳会議で、日本を含む非加盟国との軍事協力関係の強化をうたった共同声明を採択した。政府はこれを歓迎し、NATOとの関係強化に向けた具体策の検討を始めたと聞いている。これは軍事上の極めて重要な展開であると言わねばならない。悲惨極まりない沖縄戦のさなかに、日本軍が非戦闘要員と呼ばれた一般市民を守らなかったどころか、見殺しにしたり殺傷したりした事実があった。だからこそ、私たち沖縄民族は米軍、自衛隊の動向が特に気になるが、NATOとの連携が始まれば、その懸念は一層強まる。
 そこで、以下質問する。

一 政府が、NATOの決定を歓迎する理由を明らかにされたい。

二 NATOとの連携という重要な事柄は、国会での慎重な議論を踏まえ、政府としての態度を明らかにすべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 NATOの主力である米軍は、日米安全保障条約に基づき、沖縄に大規模に駐留している。NATOと自衛隊が連携する場合、在沖米軍を始めとする在日米軍と自衛隊との連携関係がそのままNATOとの連携関係を構成することが懸念される。この点について明確に見解を示されたい。

四 NATOとの連携は、集団的自衛権の問題と抵触し、憲法上の問題が生ずると思われるが、政府の見解を示されたい。

五 NATOの対日連携強化については、防衛庁の防衛省への格上げに伴い、自衛隊と米軍が一体化して海外展開する道が開けようとしている時期に合わせたものと受け止められる。政府は、対日連携強化を共同声明に盛り込むよう、NATO側に働きかけた事実はないか明らかにされたい。

六 自衛隊と米軍の海外展開に道が開けようとしている時期に、自衛隊とNATOとの連携強化が現実味を帯びてくれば、日本の軍事的進出に対し警戒心や嫌悪の感情も国際社会に出てくることが予想される。日本の軍事的進出が外交に及ぼす悪影響について、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。