質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二四号

米軍再編にかかわる航空自衛隊千歳基地への米軍機の訓練移転に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十一月十七日

紙 智子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   米軍再編にかかわる航空自衛隊千歳基地への米軍機の訓練移転に関する質問主意書

 政府はさきの米軍再編にかかわる日米合意に基づき、在日米軍基地での米軍戦闘機の訓練を北海道千歳などの航空自衛隊基地に移転する計画を進めている。米軍再編は、沖縄の負担軽減どころか新基地建設を始めとして新たな負担を押し付け、嘉手納基地などで行われている米軍機の無法な訓練を全国に拡大するものである。千歳基地周辺でも、自衛隊機等の騒音は国の環境基準を上回り、地域住民は今でも耐え難い騒音被害に苦しんでいる。もしこの上に米軍機の訓練が加わるならば、さらなる激しい騒音等の被害をもたらすことになるので、このまま移転計画を看過することはできない。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 現在、千歳基地配属の第二航空団は、いわゆる自主規制として、訓練の時間帯、使用滑走路、離陸の方向等について定めた実施要領(以下「本実施要領」という。)の改定を準備中であると聞くが、改定項目及び改定内容を明らかにされたい。また、この時期に改定する理由も明らかにされたい。

二 自衛隊が使用する千歳飛行場には、東側と西側に各一本の滑走路があるが、本実施要領では、市街地への影響を考慮してか、戦闘機については主として東側滑走路を使用すると規定している。今後ともこの規定は引き続き継続するのか、明らかにされたい。また、東側滑走路が塞がっている場合などの戦闘機による西側滑走路の使用例及び使用頻度など、これまでの使用状況について明らかにされたい。

三 もし米軍機の訓練移転が行われた場合、政府が示した典型訓練規模によると、タイプ一では、自衛隊機及び米軍機合わせて二機から十機、タイプ二では、同様に十二機から二十四機が同時に訓練をすることになるほか、これ以上の規模になることもあり得るとしている。そうなれば東側一本の滑走路だけでなく、市街地により影響を与える西側滑走路の使用頻度が増えると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

四 最近、西側滑走路の南方延長線上の雑木林の立木が幅数十メートル、距離数百メートルにわたって伐採されていることが明らかになった。これについて、地域住民の中には、西側滑走路を本格的に戦闘機訓練で使用するための着陸帯等施設用地として活用するためのものでないかとの不安の声がある。この立木伐採と西側滑走路の本格使用との関係について、明らかにされたい。

五 本実施要領では、離陸の方向についても一定の風速(五ノット)以内とそれ以上の場合に分けて離陸方向を分けていると聞いている。しかしこの点につき、防衛庁に説明を求めたところ、現実には風速によらずほぼ風向き方向に離陸しているのが実態であり、本実施要領をそのように変更するとのことであった。そのように変更された場合、市街地への影響及び騒音がより増大する可能性について、明らかにされたい。

六 第二航空団は午後十時から午前七時までの間は飛行訓練を実施しないとしているが、上級部隊の演習及び事前に通知した場合を除くとしている。土日祝祭日については基本的に訓練は実施されていないが、本年十一月十二日の日曜日には、上級部隊の計画ということで訓練が行われた。政府は米軍機訓練移転の態様について、航空自衛隊と同様の態様にするとしているが、米軍機訓練が早朝、深夜、土日祝祭日にも行われる可能性があるのか明らかにされたい。

七 政府が定める航空機騒音の環境基準値であるWECPNL(いわゆる「うるささ指数」)は、七十五であり、千歳市の場合、制定時の一九八三年から数えて十年を超える期間内に可及的速やかに環境基準値以下にすることを目標にしている。しかしいまだに、青葉丘局、住吉局、東郊局、稲穂局など市内の数か所の測定点でこの基準を上回っているのが実態であり、これらの地域のうるささ指数は、沖縄の嘉手納地域における二〇〇四年度平均の七十六・九に匹敵するか上回っている。また、音圧レベルの最高デシベル値では、前記以外の数か所の測定点とともに、嘉手納地域の百一・八デシベルを上回っているのが現状である。政府は、千歳市のこうした実態を踏まえてもなお米軍機の訓練移転を強行するのか、明らかにされたい。

八 七のように、現状では千歳市における航空機騒音の環境基準値は未達成であるが、政府はいつまでにこの基準を達成しようとしているのか、明らかにされたい。

九 防衛施設庁は千歳市のうるささ指数七十五以上の地域について、住宅防音工事を進めているが、環境基準では室内は六十以内にすることを目標にしている。目標の達成状況をどのように検証しているのか明らかにされたい。また、防音工事を行った住宅で実際に測定している場合は、そのデータを明らかにされたい。

  右質問する。