質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二二号

市場公募地方債の発行条件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十一月十五日

大久保 勉   


       参議院議長 扇 千景 殿



   市場公募地方債の発行条件に関する質問主意書

 公正取引委員会は、地方公共団体が発行する市場公募地方債に関し、本年六月時点においては、「共同してシンジケート団の代表者と条件交渉を行う現行の方法には市場に明らかな弊害があるとは認められないため、直ちに競争政策上問題となるおそれはないとともに、独占禁止法に違反しない」旨の見解を採っていた。
 しかし、本年八月十四日付けの総務省自治財政局地方債課の事務連絡「市場公募地方債(九月債)の発行に係る条件交渉・決定について」では、「本年度から新たな協議制度が施行されたことを契機に、市場公募地方債の本来の姿を実現すべく、早急に、市場公募地方債の発行条件の統一条件交渉方式の廃止の姿に向けた具体的な検討が行われることが望ましい旨の見解が公正取引委員会より示された」として、「九月債の発行以降、個別交渉条件方式に移行し、発行額、条件交渉・決定日、払込日、発行条件等について、各発行団体がシンジケート団と協議の上、自主的に決定するよう検討願う」としている。また、同日、同課の事務連絡「個別条件交渉方式への移行について」においても、同趣旨の連絡がなされた。
 このように、わずか二か月で、政府の市場公募地方債の発行条件に関する独占禁止法上の見解が変わったことは、誠に不可解である。
 そこで、以下の質問をする。

一 総務省自治財政局地方債課が行った八月十四日付けの「市場公募地方債(九月債)の発行に係る条件交渉・決定について」及び「個別条件交渉方式への移行について」(以下「両事務連絡」という)の法的根拠を明らかにされたい。また、その法的な効果について、政府の見解を示されたい。

二 本年六月時点における公正取引委員会の見解は、総務省に対して口頭で伝えられ、文書は残っていないとされている。これに対し、両事務連絡で示された公正取引委員会の見解は、八月十四日付けで発出された同委員会の「市場公募地方債の統一条件交渉方式について」という文書が元となっている。一方が口頭で、他方が文書という伝達手段に差異が生じた理由について明らかにされたい。

三 本年七月三日に開かれた都道府県・市町村各財政担当課長会議では、総務省の担当者から、五月から全国型市場公募地方債の発行における統一条件交渉方式を採らなくなった旨の発言があったとされている。これが事実か否か明らかにされたい。また、仮に事実であれば、公正取引委員会の「市場公募地方債の統一条件交渉方式について」の文書中における「早急に、市場公募地方債の発行条件の統一条件交渉方式の廃止の姿に向けた具体的な検討が行われることが望ましい」とする見解は、総務省の方針と平仄が合わないと思われるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 両事務連絡の発出前における公正取引委員会の見解は、市場公募地方債発行団体及び公募地方債引受市場参加者等に対して伝えられていたか。伝えられていたならば、その法的根拠、伝達手段について明らかにされたい。また、伝えられていないならば、その理由について明らかにされたい。

五 両事務連絡の発出後においても、共同発行市場公募地方債(共同債)は、引き続き発行されている。全国型市場公募地方債(個別債)について、両事務連絡の中で示された総務省及び公正取引委員会の認識は、共同発行市場公募地方債においても該当するようにも思われるが、政府の見解を明らかにされたい。

六 本年九月に市場公募地方債の発行を計画していた地方公共団体及びその引受けを予定していた市場参加者にとって、直前の八月十四日に、発行条件に関して、これまでの政府の方針を大きく変更するとも取れる通知がなされることは、唐突であると言えるが、政府の見解を示されたい。

七 両事務連絡の発出後、市場公募地方債の発行条件のうち、表面利率に差が生じている。利率の差は、地方債を発行する各地方公共団体の財務内容を反映したものであり、財政健全化施策の現状と今後の見通しを市場が勘案しているとも思われるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。