質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

日米同盟の「双務性」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十月六日

喜納 昌吉   


       参議院議長 扇 千景 殿



   日米同盟の「双務性」に関する質問主意書

 安倍内閣総理大臣は従来より、日米同盟の「双務性」を高める必要性を強調してきた。安倍内閣総理大臣の姿勢からは、「双務性が足りない」との認識が見受けられる。
 そこで、安倍内閣総理大臣に対し、日米同盟の「双務性」の内容等について、以下質問する。

一 日本政府はこれまで毎年、在日米軍のために巨額の「思いやり予算」を支出してきたが、本来ならば米軍が支払って当然の項目ばかりである。このような重い負担を強いられているにもかかわらず、これを「双務性」の負担だと認識しているのか、明らかにされたい。また、「思いやり予算」の昨年度の執行額及び今年度の予算額を示すとともに、「思いやり予算」以外の日米安全保障条約の関連支出についても同様に明らかにされたい。

二 在日米軍施設・区域の約七十五パーセントが集中している沖縄県を始め、日本の多くの自治体には、基地、演習場などの米軍施設が置かれている。沖縄の現実に照らしても明確なように、これほど重すぎる「双務性」の負担はないと考えるが、認識を明らかにされたい。

三 日本人、とりわけ沖縄民族を始めとする米軍基地を多く抱える地域の住民は、「不平等条約」と言っても決して過言ではない日米地位協定のくびきに長年苦しめられてきた。「双務性」を主張する前に、日米地位協定の改正による平等化こそ急ぐべきではないか。この点につき、見解を明らかにされたい。

四 日本は、高額の米国製兵器類を大量に輸入してきた。このことも「双務性」の一端を補っていると考えるが、認識を明らかにされたい。

五 安倍内閣総理大臣のねらいどおり「双務性」を高めていけば、日本で軍産複合体が更に成長し、福祉予算などが一層削減されるなど国家予算を食い荒らし、民主制度を歪めることにもなりかねない。日本人の多くが抱くこのような懸念についての認識を明らかにされたい。

六 在沖縄米軍海兵隊のグアム島移転に関連し、日本人は、小泉前政権の約束によって、支払い根拠が定かではない膨大な「移転費」を負担させられることになった。これは理不尽であり、「双務性」の逸脱と言うしかないと考えるが、認識を明らかにされたい。

七 一から六までの答弁を踏まえ、安倍内閣総理大臣の言う「双務性」とは何かを具体的に明らかにされたい。また、「双務性」を高める必要性について、その理由を明確に示されたい。

八 安倍内閣総理大臣の言う「双務性」は一般的には、「集団的自衛権」すなわち「日米両軍合同の海外展開」を将来的に確立することだと解釈されている。数多くの世論調査で明らかなように、日本人有権者の多くはそのようなことは望んでいない。ましてや、海外に「出兵」させられる可能性のある若者たちの大多数は、それを望んでいないどころか反対している。安倍内閣総理大臣は、二〇〇四年四月にワシントンで講演した際、「双務性を高めることによって、我々の主張を米国に言うことができる、という信念に基づき、祖父は一九六〇年の安保改定を断行した」との趣旨を発言している。安倍内閣総理大臣は、海外出兵を望まない現在の日本人の世論よりも、岸信介元内閣総理大臣の遺志の方が大切だと考えているのか、明確に示されたい。

  右質問する。