質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第八六号

内閣参質一六四第八六号
  平成十八年六月二十二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員岡崎トミ子君提出朝鮮半島における戦時労働動員死亡者の遺骨問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員岡崎トミ子君提出朝鮮半島における戦時労働動員死亡者の遺骨問題に関する質問に対する答弁書

一、二及び六について

 政府としては、旧国家総動員法(昭和十三年法律第五十五号)により、朝鮮半島出身者が徴用されたことは承知しているが、徴用された朝鮮半島出身者の人数及び死亡者数は把握していない。政府としては、徴用された朝鮮半島出身者の問題を含め、当時多数の方々が不幸な状況に陥ったことは否定できないと考えており、戦争という異常な状況下とはいえ、多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは極めて遺憾なことであったと考える。
 朝鮮半島出身者の徴用及び「遺族」に対する金銭の支払等の問題については、大韓民国(以下「韓国」という。)との間では、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四十年条約第二十七号)第二条1において「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が・・・完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認」している。また、北朝鮮との間では、日朝平壌宣言において「双方は、国交正常化を実現するにあたっては、千九百四十五年八月十五日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議する」ことが明記されており、朝鮮半島出身者の徴用及び「遺族」に対する金銭の支払等の問題を含め、右のとおり日朝平壌宣言に明記されているところに従い、日朝国交正常化交渉において協議されるべきものである。

三から五までについて

 国内に存在する朝鮮半島出身者の遺骨について、遺族がその送還を希望するものについては、可能な限り遺族に対し送還することが望ましいものと考えており、遺骨の送還方法等については、韓国政府との協議を踏まえ、人道的観点から可能な限り対応していく考えであるが、現時点では、遺骨の送還に関連する状況以外の「死亡者の状況」まで把握することは考えていない。また、「関係企業」の謝罪については、政府としてお答えする立場にない。

七について

 御指摘の調査については、現時点で実施する予定はない。いずれにせよ、政府としては、今後も、悲惨な戦争の教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく世界の平和と繁栄に貢献していく決意であることに変わりはなく、また、我が国の戦後の歴史は、こうした戦争への反省を行動で示してきていると考える。