質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第八二号

内閣参質一六四第八二号
  平成十八年六月二十二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員前川清成君提出不招請勧誘禁止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出不招請勧誘禁止に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの調査については、御指摘の附帯決議の趣旨を尊重し、平成十八年度において必要な予算措置を講じたところであり、今後適切に実施していくこととしている。

一の2について

 平成九年九月八日に農林水産省及び旧通商産業省により取りまとめられた「委託者保護に関する研究会中間とりまとめ」(以下「中間とりまとめ」という。)によれば、取引が終了した時点での損益ではないが、委託手数料を含んだ損益状況として、利益を得た者の割合が二十三パーセント、損をした者の割合が七十五パーセント、損益不明である者の割合が二パーセントとなっている。また、農林水産省及び経済産業省が平成十六年三月に行ったアンケート調査では、平成十五年の一年間における個人委託者の損益状況は、取引が終了した時点での損益ではないが、委託手数料を含んだ損益状況として、利益を得た者の割合が約二十七パーセント、損をした者の割合が約七十三パーセントであり、損失を被った委託者の平均損失額は、約三百七十万円となっている。

一の3について

 中間とりまとめによれば、商品取引員と取引を行ったきっかけについて、電話勧誘又は飛び込み訪問による商品取引員の積極的勧誘によるものの割合が六十パーセント強となっている。

一の4について

 お尋ねについては、政府として把握している資料がないため、お答えすることができない。

二の1について

 御指摘の附帯決議に規定されている特定売買について、政府としてその定義をお示しする立場にはない。なお、一般に、特定売買とは、「委託者売買状況チェックシステムについて」(昭和六十三年十二月二十七日付け食流第六千五十号農林水産省食品流通局商業課長通達)及び「売買状況に関するミニマムモニタリングシステム(MMT)について」(平成元年一月二十三日付け通商産業省産業政策局商務室長通達)において規定されていた特定売買を指すと認識している。

二の2について

 御指摘の附帯決議に規定されている向玉について、政府としてその定義をお示しする立場にはない。なお、一般に、向玉とは、商品取引受託業務に係る取引と対当する自己の取引をすることをいい、御指摘の差玉向についてもこれに含まれるものであると認識している。向玉のうち、故意に商品取引受託業務に係る取引と自己の取引とを対当させて委託者の利益を害することとなる取引をすることについては、商品取引所法施行規則(平成十七年農林水産省・経済産業省令第三号)第百三条第二号において禁止されているところであるが、同号で禁止されている取引に該当するか否かについては、個々の取引内容等を把握した上で、個別具体に判断する必要がある。

二の3について

 商品取引所法の一部を改正する法律(平成十六年法律第四十三号)による商品取引所法(昭和二十五年法律第二百三十九号)の一部改正に伴う商品取引所法施行規則の改正により、例えば、両建て勧誘については、同規則第百三条第九号において、数量又は期限を同一にしない取引等の委託をその取引等を理解していない顧客から受けることを禁止することとし、また、向玉については、同規則第百三条二号において、故意に商品取引受託業務に係る取引と自己の取引を対当させて委託者の利益を害することとなる取引をすることを禁止行為として明確に規定した。

三について

 商品取引員に対する監督体制については、米国の商品先物取引委員会(CFTC)における規模等も参考として、農林水産省及び経済産業省における必要な監督体制の充実等について検討を行ってきたところであり、この検討結果を踏まえ、農林水産省及び経済産業省において、平成十六年度から平成十八年度にかけて、商品取引所法に基づく立入検査業務を行う検査官を二倍程度に増加させるとともに、事前通告なしでの立入検査を積極的に活用するなど監督体制等の強化を図ったところである。

四の1について

 中間とりまとめによれば、商品取引員と取引を行ったきっかけについて、電話勧誘又は飛び込み訪問による商品取引員の積極的勧誘によるものの割合が六十パーセント強となっている。

四の2について

 現時点においては、御指摘のような報告徴収等を行う予定はないが、商品取引員の法令遵守体制等について一斉に点検を行うため、報告徴収を行うことを予定している。

五について

 一般に、商品取引員に対して行政処分を行うに当たっては、関係者に対するヒアリング、商品取引所法に基づく立入検査及び報告徴収、関連する民事裁判及び刑事裁判等により事実関係の把握に努め、その結果、行政処分をするに足りる事実関係が認められる場合には、商品取引所法に照らし、厳正に行政処分を行っている。
 また、他のお尋ねの件数及び処分結果については、関係する情報を取りまとめた既存の資料が存在せず、また、新たに調査を行うことは膨大な作業を必要とすることから、お答えすることは困難である。