質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第八一号

内閣参質一六四第八一号
  平成十八年六月二十二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員櫻井充君提出カネボウ株式会社等の事業再生に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出カネボウ株式会社等の事業再生に関する質問に対する答弁書

一について

 株式会社産業再生機構法(平成十五年法律第二十七号。以下「機構法」という。)においては、いわゆるスポンサー企業が、株式会社産業再生機構(以下「機構」という。)に提出した計画に関する規定はない。

二について

 一般論として申し上げれば、機構の支援が終了した後、いわゆるスポンサー企業が策定した当初の計画の内容と実際の再生の経緯が異なることはあり得ると考えている。

三について

 「スポンサー企業による再生計画と実際の作業の食い違いの監視」については、関係省庁はこれを行っておらず、また、機構もこれを行っていないと聞いている。

四について

 機構法上、機構の支援が終了した案件について、いわゆるスポンサー企業が機構に提出した計画の内容と実際の再生の経緯が合致することの検証を機構に義務付けている規定はない。

五について

 一般に、公開買付けにおける買付価格の算定根拠については、公開買付届出書において可能な限り具体的に記載することが求められており、トリニティ・インベストメント株式会社(以下「トリニティ・インベストメント」という。)によるカネボウ株式会社(以下「カネボウ」という。)の株式に対する公開買付けに関しては、トリニティ・インベストメントから提出された公開買付届出書に係る訂正届出書において、算定根拠等の開示が行われているが、本年一月三十一日に機構からカネボウC種類株式を買い付けた価格については、守秘義務があるため開示できない旨の記載がなされている。

六について

 「産活法第十二条の三による簡易営業譲渡を認可」の意味するところが明らかではないが、カネボウ等から申請があった産業活力再生特別措置法(平成十一年法律第百三十一号。以下「産活法」という。)に基づく事業再構築計画については、産活法第三条第六項各号に掲げる要件に適合するか否かを審査した結果、当該計画がこれらの要件に適合するものであることから、厚生労働大臣及び経済産業大臣が本年四月十四日付けで認定したものであり、厚生労働省及び経済産業省としては、当該認定は適切であったと考えている。
 また、御指摘の株価の差については、株式会社カネボウ化粧品及びカネボウが平成十七年六月六日付けで発表した「第三者割当増資、カネボウの主要株主等の異動、業務提携及びカネボウの役員人事に関するお知らせ」の記載内容等により承知しているが、産活法第三条第一項の規定に基づく認定に当たっては、株価を審査することとはされていない。

七について

 カネボウが本年二月二十一日付けで発表した「公開買付けの賛同に関するお知らせ」等により、みずほ証券株式会社により作成されたカネボウの株式価値に関する算定報告書(以下「算定報告書」という。)が存在することは承知しているが、産活法第三条第一項の規定に基づく認定に当たっては、カネボウによる営業譲渡の価格の妥当性について審査することとはされていない。
 また、一般に、公開買付者に対して、証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十七条の二十二に基づき資料の提出を命じることにより、金融庁が当該資料の内容を把握する場合はあるが、個別事案について金融庁がいかなる事実を把握しているかについて明らかにすることは、相手方の権利又は競争上の地位を害するおそれがあること等から、答弁を差し控えたい。
 機構が、算定報告書の存在及びその内容を把握しているかどうかについては、政府として承知する立場にはない。

八について

 「改正産業活力再生特別措置法ハンドブック(経済産業省産業再生課編)」には、「公序良俗に反する場合、産活法第十二条の三の簡易営業譲渡の認定はしない」旨の記載はない。

九について

 一般論として申し上げれば、産活法第十二条の九第一項の主務大臣の認定に係る申請があった場合には、事業再構築等を行うために必要かつ適切であるかについて審査を行い、認定を行うかどうかについて判断することとなる。

十について

 産活法第三条第一項の規定に基づく認定に当たっては、産活法第三条第六項各号に掲げる要件に適合するか否かについて審査するものである。

十一について

 一般に、公開買付けにおける買付価格の算定根拠については、公開買付届出書において可能な限り具体的な記載が求められているが、当該公開買付け以前の取引における買付価格そのものの開示が求められているわけではない。
 また、機構法第三十条の規定に基づき機構が公表すべき事項については、株式会社産業再生機構法施行規則(平成十五年内閣府・財務省・経済産業省令第一号)第十二条第一項第五号において規定されているが、この中には、機構による株式等の売却価格は含まれておらず、さらに、産活法第三条第一項の規定に基づく事業再構築計画の認定に当たっては営業譲渡の価格の妥当性について審査することとはされておらず、当該認定に際して営業譲渡の価格の算定根拠についても公表することとはされていない。