質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第七三号

内閣参質一六四第七三号
  平成十八年六月二十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員喜納昌吉君提出捕鯨に対する日本政府の方針に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員喜納昌吉君提出捕鯨に対する日本政府の方針に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国は、鯨類を含む水産資源に食料の多くを依存してきており、国際捕鯨取締条約(昭和二十六年条約第二号)付表の修正による商業捕鯨の中断により昭和六十三年以降鯨肉の国内供給量が著しく減少したため、鯨肉の消費も減少したことは事実であるが、水産物の一つとして鯨肉は現在においても国内の多くの地域で伝統的な食材として利用されていると承知している。
 捕鯨に関する国際交渉に当たっては、政府は、食習慣及び食文化について各国が相互に尊重する精神が重要であること、また、鯨類は重要な水産資源の一つであり、科学的根拠に基づき持続可能な形で利用されるべきであることを主張しており、我が国の食習慣のみを強調する主張は行っていない。

二について

 鯨類調査捕獲事業については、「鯨類調査捕獲事業実施要領」(昭和六十二年十二月十七日付け農林水産事務次官依命通知)に基づき財団法人日本鯨類研究所(以下「研究所」という。)が実施しており、昨年度の鯨類調査捕獲事業に従事した者(非常勤職員を含む。)の総数は、延べ六百三十七名であると承知している。
 鯨類調査捕獲事業の実施により生じた収益については、国際捕鯨取締条約第八条の規定等に基づき、一部を国に納付するとともに、残部は次年度以降の鯨類捕獲調査の実施に要する経費に充てることとされている。

三及び四について

 水産無償資金協力は、開発途上国の水産分野におけるプロジェクトに対して我が国が資金供与を行うことにより、当該国の水産振興に寄与するとともに、漁業面における我が国と当該国との協力関係を維持発展させることを目的としており、昨年度の資金協力に係る相手国政府、案件名、限度額及び交換公文の署名日は、次のとおりである。
(一)ニカラグア共和国 「サン・ファン・デル・スル漁業施設整備計画」 十一億九千六百万円 平成十七年六月三日
(二)サモア独立国 「アピア漁港改善計画」 七億七百万円 平成十七年七月十五日
(三)セントクリストファー・ネーヴィス 「零細漁業振興計画」 六億一千七百万円 平成十七年七月一日
(四)パラオ共和国 「ペリリュー州北港整備計画」 五億八千一百万円 平成十七年十二月十九日
(五)アルジェリア民主人民共和国 「漁業養殖技術学院訓練機材整備計画(第一期)」 一億六百万円 平成十八年三月十九日
(六)ペルー共和国 「タララ漁港拡張・近代化計画(第一期)」 二億九千八百万円 平成十八年四月三日

五について

 水産庁が政府開発援助の一体化に反対しているという事実はない。

六について

 研究所は、昭和六十二年十月三十日に設立された。研究所の寄附行為第三条において、「本研究所は、鯨類その他の海産哺乳類に関する試験研究及び調査並びに鯨類その他の海産哺乳類に係る国際情勢に関する調査等を行うことによりもって水産資源の適切な管理と利用に寄与することを目的とする」と規定されている。設立に際し、研究所は、解散した財団法人日本捕鯨協会の残余財産を承継している。

七について

 昨年度において、水産庁から研究所に対し、「鯨類調査捕獲事業実施要領」に基づく鯨類調査捕獲事業に要する経費として五億三千七百七十八万二千円の補助金が、また、「漁業資源調査等委託費のうち鯨資源調査等対策委託事業実施要領」(平成十七年四月一日付け水産庁長官通知)に基づく鯨資源調査等対策委託事業に要する経費として四億三千百五十四万三千円の委託費が、それぞれ交付されている。

八について

 独立行政法人水産総合研究センター(以下「センター」という。)は、平成十三年四月一日に設立された。センターの目的は、独立行政法人水産総合研究センター法(平成十一年法律第百九十九号)第三条に規定されているとおりである。
 本年度予算において、水産庁からセンターに対する運営費交付金及び施設整備費補助金として、それぞれ百七十三億九千六百万円及び十六億七百万円が計上されている。

九について

 本年六月九日に農林水産省が公表した冷蔵水産物流通統計によると、本年四月末の鯨肉在庫量は五千九百六十九トンである。
 研究所においては、より多くの国民が鯨肉を購入しやすくなるよう、販売方法の改善等に取り組んでいるところであると承知している。