質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第五一号

内閣参質一六四第五一号
  平成十八年五月十二日
内閣総理大臣 小泉 純 一 郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員櫻井充君提出大学の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出大学の在り方に関する質問に対する答弁書

一について

 大学は、教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)第六条及び学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条の規定により、法律に定める学校として公の性質を持つものとされるとともに、同法第五十二条の規定により、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とするものとして位置付けられており、社会の負託にこたえ、優れた人材の養成や学術研究の発展等に貢献することが期待されているものと認識している。

二について

 大学は、教育基本法及び学校教育法を始めとする関係法令の規定にのっとり、その果たすべき役割と公の性質を持つものであることについての自覚の下に運営されるべきものであると考える。

三について

 大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号)は、昭和三十一年に、当時の文部省に置かれた大学設置基準研究協議会における検討を踏まえ定められたものである。大学設置基準の改正を行う場合は、昭和六十二年以降は学校教育法第六十条の規定により審議会に諮問しなければならないこととされている。大学設置基準の具体的内容については、社会の要請にこたえ、大学としてふさわしい教育及び研究を実施していく上で必要となる設備、編制等の最低限の水準の在り方について、大学関係者、有識者等で構成される審議会等における検討を踏まえ定めているものである。

四について

 政府としては、社会の要請に的確にこたえ、国際的にも評価される特色ある大学づくりを目指す観点に立って、大学の設備、編制その他に関する基準の在り方について、教育研究の質の確保に留意しつつ、不断の検討を行っているものである。

五について

 学校教育法の委任に基づく政令及び省令としては、大学設置基準のほか、学校教育法施行令(昭和二十八年政令第三百四十号)、学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)、学位規則(昭和二十八年文部省令第九号)、大学院設置基準(昭和四十九年文部省令第二十八号)、大学通信教育設置基準(昭和五十六年文部省令第三十三号)、学校教育法等の一部を改正する法律附則第二項の規定に基づき同法による改正後の学校教育法第五十五条の三の規定を適用しない者を定める省令(平成十一年文部省令第三十八号)、専門職大学院設置基準(平成十五年文部科学省令第十六号)、高等学校卒業程度認定試験規則(平成十七年文部科学省令第一号)及び大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則(平成十八年文部科学省令第十二号)がある。

六について

 教授となることのできる者について、大学設置基準第十四条第六号において、「専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有すると認められる者」と規定しているのは、大学や研究所のみならず、広く社会に人材を求め、その優れた知識及び経験を大学において活用することが必要であることにかんがみ、各界にあって優れた知識及び経験を有し、教育研究上の能力があると認められる者について、学位、研究上の業績又は教育の経歴の有無にかかわらず、大学の教授の資格を認めるという趣旨によるものである。具体的には、例えば、企業等において、多年にわたり実務に従事する中で培った豊富な知識や経験が、大学における教育研究の向上に資すると認められる者等が、この要件に該当するものである。

七について

 文部科学大臣は、公立又は私立の大学が、設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反していると認めるときは、その自主的な改善を促すとともに、学校教育法第十五条の規定に基づき、必要に応じて報告又は資料の提出を求め、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができ、当該勧告によってもなお勧告事項が改善されない場合には、変更を命ずることができ、当該命令によってもなお勧告事項が改善されない場合には、当該勧告事項に係る組織の廃止を命ずることができることとされている。
 また、同法第十三条の規定に基づき、文部科学大臣は、公立又は私立の大学が法令の規定に故意に違反したとき、法令の規定により文部科学大臣がした命令に違反したとき又は六か月以上授業を行わなかったときは、その学校の閉鎖を命ずることができることとされている。
 なお、国立大学については、国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第三十五条において準用する独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第六十五条第一項の規定により、文部科学大臣は、法令に違反する行為等の是正のために必要な措置を講ずることを求めることができることとされている。

八及び九について

 大学の運営においては、その教育研究の特性にかんがみ、大学の自主性が尊重されるべきである。このため、大学の授業の方法や単位の授与等については、関係法令の規定にのっとり、各大学において適切に判断した上で行われるべきものと考える。
 大学が、関係法令の趣旨を踏まえつつ、大学としての役割を適切に果たしていくよう、学校教育法第六十九条の三の規定により、大学の教育研究等の状況について当該大学自らが点検及び評価を行うこと並びに当該大学の教育研究等の総合的な状況について認証評価機関による評価を受けること等が義務付けられている。
 大学が、大学としての役割を適切に果たしていないと認められる場合には、大学にその自主的な改善を促すとともに、法令違反の事実が認められれば、七についてで述べたとおり、文部科学大臣は、学校教育法の規定に基づき、必要な措置をとるべきことを勧告する等の措置を講ずることができる。