質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質一六四第一六号
  平成十八年二月二十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員大田昌秀君提出防衛庁及び在日米軍の弾道ミサイル用新型警戒監視レーダー配備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大田昌秀君提出防衛庁及び在日米軍の弾道ミサイル用新型警戒監視レーダー配備に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねのXバンド・レーダー・システムは、弾道ミサイルを探知し及び追尾するための機能を備えた移動式地上設置型レーダー・システムである。このシステムは、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)のレイセオン社が開発していると承知している。お尋ねの「本体の価格」については、現時点においては承知していない。その他のお尋ねの点については、現在、合衆国と協議中であることから、お答えすることは差し控えたい。

一の2について

 仮にXバンド・レーダー・システムが我が国において展開される場合には、政府としては、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するとともに、人体に危害を及ぼすことのないよう、必要な措置をとる考えである。

一の3について

 これまでに日米間において議論した結果、我が国に向かう弾道ミサイルを迎撃する能力等を支援するとのXバンド・レーダー・システムの展開の趣旨を考慮すると、航空自衛隊車力分屯基地がXバンド・レーダー・システムを展開する有力な候補地となり得るとの共通認識を得るに至った。このため、合衆国が同分屯基地において平成十七年十二月に実施した現地調査に協力したものである。

一の4について

 お尋ねの点を含む我が国に駐留する合衆国軍隊の兵力態勢の再編については、その着実かつ早期の実施を図るために、本年三月の具体案の最終的な取りまとめに向け、合衆国との協議を進めているところである。

二の1について

 お尋ねのFPS-XXは、航空機等の警戒監視を行うとともに、弾道ミサイルを探知し及び追尾するための機能を備えた固定式地上設置型レーダーであり、高さ約三十メートル、幅約三十メートル、奥行約二十五メートルの規模となる予定である。また、FPS-XXについても、他の警戒管制レーダーと同様に、各レーダーサイトに配備された航空警戒管制部隊によって運用されることとなるが、その人員は、レーダーサイトごとに約二百名である。
 平成十八年度予算案においては、航空自衛隊下甑島分屯基地に配備する予定のFPS-XX自体の経費及び同分屯基地ほか三分屯基地におけるFPS-XXを配備するための施設整備等に要する経費として合計約百八十四億円を計上しているところである。FPS-XX開発試作機の契約の相手方は、三菱電機株式会社であるが、平成十八年度予算案に計上しているFPS-XXの契約の方法及び相手方は、今後検討していくこととしている。

二の2について

 FPS-XXを配備するに当たり、政府としては、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するとともに、人体に危害を及ぼすことのないよう、必要な措置をとる考えである。

二の3について

 お尋ねの「平成十八年度から行う「FPS-XX」の実用運転」がいかなるものを指すのか必ずしも明らかではないが、防衛庁においては、平成十八年度に、技術研究本部第二研究所飯岡支所に所在するFPS-XX開発試作機を活用し、その運用研究を実施することを計画している。この研究においては、FPS-XXと既存のレーダーであるFPS-3改との間で弾道ミサイルの追尾の連携要領の検証等を行い、平成二十年度末に配備される予定のFPS-XX初号機を円滑に運用し得る態勢の確立を図ることとしている。

二の4について

 FPS-XXについては、我が国に飛来する弾道ミサイルの効果的な探知、その配備のための用地取得の容易性、既存のレーダーの換装時期等を踏まえ、御指摘のレーダーサイトに配備することとしたものである。

三の1について

 お尋ねの共同統合運用調整所は、平成十七年十月二十九日に開催された日米安全保障協議委員会で発表された文書に述べられているように、「自衛隊と在日米軍の間の連接性、調整及び相互運用性」を「不断に確保」する役割を有するものであり、その具体的な内容は、現在、日米間で協議しているところである。

三の2について

 弾道ミサイル防衛に係るレーダーに関する日米間の運用面の協力の在り方の詳細については、今後日米間で調整していくこととしているが、一般論として言えば、政府は、従来から、自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動により得られた情報を合衆国軍隊に対して一般的な情報交換の一環として提供することは、実力の行使に当たらず、憲法上認められていない集団的自衛権の行使に当たらないと解してきている。

四について

 Xバンド・レーダー・システムに係る合衆国による現地調査の実施については、事前に関係する地方公共団体に対して説明を行ったところであり、FPS-XXの配備については、これを予定しているレーダーサイトが所在する地方公共団体に対してFPS-XXの概要等の説明を行ったところである。
 今後とも、Xバンド・レーダー・システムの展開候補地に関係する地方公共団体等及びFPS-XXの配備を予定しているレーダーサイトが所在する地方公共団体等の理解と協力が得られるように努めていく考えである。