質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第八四号

医療・介護の訪問系サービスに用いる車両の駐車許可等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年六月十五日

小池 晃   


       参議院議長 扇 千景 殿



   医療・介護の訪問系サービスに用いる車両の駐車許可等に関する質問主意書

 六月一日から改正道路交通法が施行され、駐車違反に対する規制が強化された。全国の在宅医療や訪問介護等の提供事業者はサービスの提供にあたってどうしても短時間の駐車が避けられないため、不安と混乱が広がっている。
 そこで、以下質問する。

一 訪問診療や訪問看護など在宅医療サービスを提供する医療機関や介護保険法に基づいて都道府県知事の指定を受けて訪問介護サービスを提供する介護事業者が業務に用いる車両に対して、駐車禁止除外や駐車許可の扱いはどのようになっているか明らかにされたい。

二 在宅療養中の患者さんや在宅介護を受けておられる方に対して提供される在宅医療や訪問介護などの事業は公益性の非常に高い事業である。訪問事業という性格上、近くに駐車場が無い場合には路上に駐車をしてサービスを提供せざるを得ない。駐車できないからと言ってサービスの提供を断れば、日常生活や場合によって生命に重大な支障をきたすからである。本年六月から駐車違反に対する取り締まりが強化されたが、都道府県公安委員会、警視庁及び道府県警察本部(以下「都道府県警察本部等」という。)や警察署長は引き続き、このように公益性の高い在宅医療サービスや訪問介護サービスに用いられる車両に対し必要に応じて駐車禁止除外や駐車許可を行うべきと考えるが政府の見解を明らかにされたい。

三 介護保険によるデイサービスなどにともなう送迎サービスは、高齢者独身世帯や老老世帯が介護サービスを利用するにあたって必要不可欠なものである。二名以上の職員が車両に乗車して送迎にあたっていても、車いすの利用者の乗降などの場合、二人とも車両から離れて利用者の居宅に入り乗降介助を行わざるを得ない場合が多々生ずる。
 また、訪問診療にともなって薬局が行う訪問薬剤指導は、診療報酬の対象となっているように在宅医療サービスの提供にとって必要不可欠なものである。処方薬や流動食をヘルパー在宅時、必ず届くようにしなければならず患者さんの居宅の前に駐車せざるを得ない場合も多々ある。また、今国会で成立した「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」で薬局は医療提供施設と位置づけられ、今後は、患者の居宅での調剤等も行うこととなっている。
 直接的な医療・介護の提供でなかったとしても、在宅医療・介護にとって不可欠なこれらの事業について、都道府県警察本部等や警察署長は必要に応じて駐車禁止除外や駐車許可を行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 この問題で、いくつかの県警の対応の苦情が寄せられている。例えば富山県警では「医療保険による訪問看護について駐車許可できないが、介護保険による訪問看護は駐車許可できる。」「介護保険在宅訪問薬剤指導の際に駐車許可等の必要性は感ずるが、規定で認めていない以上認められない。」という対応であったと聞いている。また、京都府警ではデイサービスにともなう駐車許可などの要望に対して、三で述べた事情を説明しても当該のような事例では前例がないと許可を受けることができなかったと言う声も寄せられている。
 この六月から駐車違反の取り締まりについて新たな規制が始まっており、既存の規則や前例にとらわれず、在宅医療・介護・薬剤指導など公共性の高い事業について、地域の交通事情に配慮しつつも必要性に応じ臨機応変な規則の改正や柔軟な対応が求められると思うが見解を明らかにされたい。

五 駐車禁止の除外や駐車許可のありかたなどを含め、駐車禁止取り締まりガイドラインや駐車規制のありかたについて今後も地域の事情に応じて更新していくこととなる。警察協議会だけでなく地方自治体、業界団体、自治会などの地域団体、学校・幼稚園などの教育機関や保育園などの児童施設・関係機関、地域の子育て支援組織などNPO、当該地域の医療機関・介護事業者、関係する個人・団体・企業など様々な関係者の意見を聞き、かつ取り入れて、地域の駐車・交通実態を反映させたガイドラインの策定・改定を推進していくべきと思われるが、見解を明らかにされたい。

  右質問する。