質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第八二号

不招請勧誘禁止に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年六月十五日

前川 清成   


       参議院議長 扇 千景 殿



   不招請勧誘禁止に関する質問主意書

 平成九年に農林水産省と通商産業省(現・経済産業省)がまとめた「委託者保護に関する研究会中間とりまとめ」においてさえ、商品先物取引において、個人投資者は、その八割が損失を被っている。さらに「仕切り拒否」、「仕切り回避」というトラブルが示す通り、勝ち逃げを許さない業界の体質が指摘されており、実際は、ほとんどの個人投資家が最後は出資金を全て失って取引を終了しているのではないかと思われる。
 それゆえ、独立行政法人国民生活センターも「一般消費者は絶対に手を出さない」と警告している。
 そこで、以下質問する。

一 二〇〇四年四月一四日の商品取引所法の一部を改正する法律案に対する衆議院経済産業委員会附帯決議(以下「衆議院附帯決議」という。)第三項には、「商品取引員の受託業務の実態を毎年調査し、公表するよう努めること。」となっている。

1 衆議院附帯決議を受けて、二〇〇四年四月一五日から今日までに、政府はどのような調査を行い、どのような方法で公表してきたか明らかにされたい。また、この調査の結果、どのような商品取引員の受託業務の実態が明らかになったか示されたい。
2 1の調査の結果を受け、又はその他政府が把握している資料に基づいて、取引が終了した時点において、個人委託者が利益を得た割合、あるいは損失を被った割合並びに平均的損失額を、取引損益だけでなく手数料も含めた計算にて明らかにされたい。
3 1の調査の結果を受け、又はその他政府が把握している資料に基づいて、個人委託者が取引を始めたきっかけについて、電話、訪問等の不招請勧誘による割合を明らかにされたい。
4 1の調査の結果を受け、又はその他政府が把握している資料に基づいて、多数の注文の値段が一致するまで調整し、単一約定値段で売買をする板寄せ手法をとる取引所において、売買の注文数の差額だけを取引所に出し、値段が決まった後に差額以外の残りを取引所に出して取引を成立させるバイカイ付け出しによる取引成立の割合を明確に示されたい。

二 衆議院附帯決議第二項及び二〇〇四年四月二七日の商品取引所法の一部を改正する法律案に対する参議院経済産業委員会附帯決議(以下「参議院附帯決議」という。)第二項には、両建て勧誘、特定売買、向玉については、悪用されることのないよう厳正に対処する旨が示されている。よって、参議院附帯決議に対する政府の認識について質問する。

1 ここでいう「特定売買」とはどのような取引を考えているのか。従前のチェックシステム、MMT(ミニマムモニタリング)の特定売買と同じか。政府の見解を示されたい。
2 ここでいう「向玉」とはどのような取引を考えているのか。いわゆる差玉向(差玉を埋めて取組高を均衡させるもの)も含むか。また、「向玉」かどうかはどのようにして判断するのか。政府の見解を示されたい。
3 「厳正に対処する」とは、具体的に何を指すのか。厳正に対処した例があれば明らかにされたい。

三 衆議院附帯決議第五項及び参議院附帯決議第三項には、商品取引員に対する監督体制について、米国の商品先物取引委員会(CFTC)等も参考として、今後の体制強化について検討を行う旨が示されている。政府は、これら附帯決議を受けて、具体的に、CFTCのどのような点を参考にし、商品取引員に対する監督体制強化について、どのような検討を行ってきたのか。

四 不招請勧誘禁止の議論の前提として、個人委託者に関して、取引を始めたきっかけが不招請勧誘による割合、取引を終了した時点での損益の割合及び金額、取引期間等を調査し、実態を把握する必要がある。これらは商品取引員から報告を求めれば容易に可能であり、立入検査でも目的は達する。また、外部に委託調査することも可能である。ついては、

1 政府は、これまでに、かかる報告徴収、立入検査、委託調査等を行ったことがあるか。あるならば、その年月日、結果について明らかにされたい。
2 今後、これらの報告徴収等を行うのか。

五 訴訟において、商品取引員又は外務員に対して損害賠償を命ずる判決が確定した場合、これによって法令違反等の違法行為が確定するが、これら違法行為に対して行政処分は行っているか。
 また、これまで、弁護士等から判決の送付・処分申立等を受けた件数及びそれに対する処分結果を明らかにされたい。

  右質問する。